【マンガ 第1回】岸本卓×山岸菜 クリエイターズSQ.

第2回【アニメ業界編】
シリーズ構成・脚本
岸本卓
『うさぎドロップ』『ハイキュー!!』
このコーナーは
身近な存在でありながら、意外と実態を知らないエンタテインメント業界。本コーナーでは業界で活躍するクリエイターたちを取材し、その仕事の実態を探っていく!今号では、シリーズ全体から各話の隅々まで「お話」を担う脚本家・岸本卓氏が登場!全3回に渡って「脚本家の仕事」についてご教示頂く!!
デビュー作でシリーズ構成!
そして解任騒ぎに…!?

――岸本さんは脚本の書き方はどのように学ばれましたか?

岸本 半年間くらい脚本の学校に通ったり、映像作品の脚本を買ってきて読んでいました。ただ、勉強したのは実写の脚本で、アニメの仕事をしようとは思っていなかった。今アニメの仕事ができているのは、たまたま知り合いにアニメ関係者が多く、依頼が来たからというだけです。最初に当時プロダクションI.G.にいた中武哲也プロデューサーから『うさぎドロップ』のお話を頂いた時も、僕は「シリーズ構成」という言葉自体を知らなかった。「岸本さんにはシリーズ構成をお願いしたいのですが…」と言われて「シリーズ構成って何をすればいいんですか?」と(笑)。そうしたら中武さんも中武さんで「取りあえず全部書いたら同じことなんで!」と。そんなこんなで、実写の脚本を参考にしながら書いていたので、今でも僕の脚本は実写っぽいところがあるのかも知れません。

――現在心掛けられている監督との擦り合わせは、その頃からされていましたか?

岸本 いやいや、当時はそんな余裕ないです!初めは漫画原作にどう接していいか分からず、好き勝手に変えてしまっていたんです。「これはないっすよ!何やってんすか!!」と会議でタコ殴りにされて。で、書いても書いても通らずに第1話が10稿くらいまで行き、第3話の頃には全部で25稿くらい引っ張ってしまいました。「岸本に書かせたらいつまで経っても終わらない」と、解任騒ぎになって…。これはやばいと思い、スタジオで作業している亀井幹太監督の横に席を作ってもらったんです。そして脚本を書いては見てもらい、細かく意見を聞くようにしました。会議に出す前に監督のOKが出ている状態にして、監督だけでも味方につけておこうと。最初は解任されないための苦肉の策でした(笑)。

――ここまで岸本さんが仕事を続けられてきて、アニメ脚本家にとって大切なことは何だと思いますか?

岸本 他の現場を知らないから比較できないのですが…。今のアニメは原作ありきの場合が多く、そうなると原作を汲みつつも監督や色々な人の考えも入れていくので、「本読みへの接し方」が重要だと思っています。脚本を書いて会議でボコボコにされて、大抵はそこで嫌になってしまうんです。「はいはい、言われた通りに直しますよ!」とか。でもそれで上がった脚本は、文句は出なくても皆心の中で「ああ、コイツはこなすだけのヤツだな」と感じています。そして次の仕事は来なくなる。誰かが脚本に意見するのは、違和感を抱いたり、もっと良くなると期待しているからです。脚本がさらに良くなるきっかけをもらったと捉えて稿を重ねられることが、アニメ脚本家のあり方だと思います。

――修正も前向きにできるということですね。

岸本 そうです。自分の書いたものにとやかく言われるのは、なかなか辛いです。でも最終的に、脚本にクレジットされるのは自分の名前ですからね。良くなったら僕の手柄になるんです!だから本読みの態度としては、「皆、僕のために寄ってたかって智恵を絞ってくれている」でありたい。でもこれをやり過ぎると「岸本さん、ちゃんと自分で考えてよ!」と言われますが(笑)。

〈次回へ続く〉

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