ジャンプSQ.
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マンガ家 直撃インタビュー[モノガタリ]

――『幻覚ピカソ』を入れて3本月刊連載をされていて、すごくお忙しいと思うのですが。

●古屋 いや、そんなこともないです。週刊連載をしている人に比べたら、そんなに多くはないですよ。僕の場合は月産60枚から70枚をコンスタントに描く、という感じなんです。ちょっと特殊なのは、僕が週刊作家ではないにも関わらず、15〜16ページずつ毎週描いているところ(笑)。

――しめきりに関係なく、週刊ペースで描き続けている、ということですよね。

●古屋 まあ自分ルールですね。そういうペースを作ってしまえば、常にスイッチオンな状態でいられる。今は月刊、次は隔月刊、とかその都度変えているとスイッチの入れ方がわからなくなってしまう。常に週刊ペースであれば、アシスタントの人たちも予定をたてやすくなるでしょうし。僕の基本的な考えとしては、サラリーマンの方たちが朝から夕方まで、毎日会社に行くのと同じで。働くというのはそういうこと。漫画家も、毎日描き続けるのは、まあ、半分大人の義務というか。僕は量をたくさん描こうとしているわけではなくて、コンスタントに描き続けたいだけなんですよね。だから例えば、依頼してくる出版社がなくなったとしても、一人で毎日1ページずつは描き続ける、多分そういう感じになると思います。

――なるほど。以前、丸尾末広先生のことを「職人的に漫画を『生産』し続けている」職業漫画家として尊敬している、とおっしゃっていましたが、そういうことですね。

●古屋 そうですね。丸尾先生は、マンガはほぼ一人で描かれていて、一日一枚描くと聞きました。実際のペースまではよくわからないんですが、ただ本当に長年に渡って……僕が十代のころからだから30年近い年月、コンスタントにずーっと描き続けている。しかもあの作家性を保ちつつ、です。それは非常にプロフェッショナルだなと思って尊敬しています。 僕は漫画家になろうと決めたのが24歳のときなんですが、17年間、一日のうちで描いている時間は同じなんです。デビューは細かい絵の4コマだったのですが1ページ描くのに4日かかっていたので毎日描いても月にぎりぎり8枚。それが今は60枚から70枚になっただけで、コンスタントに描くということにおいてはずっと変わってはいない。

――一日何時間くらい描かれるんですか? 高校の講師を務めながら漫画家を続けていらしたこともあると思うのですが。

●古屋 少なくとも8時間以上は。多い日だと18時間は座って描く。ブログにも書いたんですけど「人間の脳が一つのことを修得するには1万時間が必要」ということがあるらしくて。それを聞いて、ああなるほどと。1万時間って、毎日6時間ずつでも5、6年はかかる。僕の場合、作画してる時間と、ネームしてる時間、両方とも多分1万時間ずつぐらいは超えたところにいると思うんです。だから、ようやく脳みそがネームを描くという作業や作画をするという作業に、慣れたころ。

――毎日続けて時間を重ねていくことなしで、いきなり脳のその状態には行けないんですね。

●古屋 たぶんそうでしょうね。やっぱり毎日何時間ずつ、と決めちゃうのがいいと思いますよ。僕は、決め事が好きなんですよ。例えば、原稿を描くときは常にストップウオッチを片手に持って、5分はかる。飽き性なので1ページ5分だけ描いて、終わってなくても次のページに行き、また5分たったら次のページに……。30枚最後まで終わったらまた最初に戻って、5分、30枚を繰り返す、という。作画だけではなくて、ネームもそのやり方ですね。シナリオが完成したら、あとは1枚5分ずつ、のやり方でネームを作っていきます。こうするとネームの時間も、ある程度は予定に入れられるんです。

――よく、ネーム作成は完成までどのくらい時間がかかるか予想しずらい工程だと聞きますので、その方法はいいですね!漫画を描いている方は、試してみるといいかもしれません。

●古屋 でも、これは、僕なりの方法論かもしれないですね。みんなそれぞれの方法論を模索していると思うので。僕はここ3年ぐらいやっとこの方法で固定することができました。それまでは試行錯誤の連続でぐちゃぐちゃでした。