ジャンプSQ.
ジャンプSQ.
マンガ家 直撃インタビュー[モノガタリ]

――上野先生、今日はよろしくお願いします。

●上野 よろしくお願いします。あの、僕『モノガタリ』の最終回なんですか……?

――はい!30人目のご登場で、最終回です。

●上野 僕、第1回の助野嘉昭先生からずっと読んできたんですよ。だから、最終回が僕でいいのかなと……。

――そんな!

●上野 自分だったらどう答えようかな、とは思って読んでいたんですけどね(笑)。

――シミュレーションを(笑)。

●上野 はい。落ち着いた、静かな感じのほうがいいのかなとかいろいろ考えたんですけど……僕は、しゃべってないと落ちつかないタイプなのでいっぱいしゃべってしまうと思います!

――嬉しいです!お仕事中もたくさん話すんですか。

●上野 むしろ黙ってることがほとんどないです。沈黙が嫌いなんですよね。アシスタントさんも、1話目のころは「はい、はい」って全部答えてくれてたんですけど、3話目ともなると「そんなの知らないっすよー」みたいな感じになってきてます(笑)。

――アシスタントさんが入って漫画を描くのは『長谷部さんのいる野球部』の連載が始まってからですよね。すごくいい関係が築けているようですね。

●上野 そうですね。みんな漫画家を目指している人たちなので、仲間意識もあるし、1つの作品をみんなで仕上げているという連帯感もあります。アシスタントさんが「みんなの『長谷部さん』ですね」とか言ってくれたりするとやっぱり嬉しいです。

――じゃあいつも「早くアシスタントさんこないかなあ」と思ったり。

●上野 帰る時間になると「あ、もうこんな時間か。もう帰っちゃうのか」みたいな。

――なるほど。慣れないうちはアシスタントさんにどう接していいかわからなくてちょっと大変になる、というような話も聞きますが、先生にはそういったストレスはなさそうですね。

●上野 幸いなことにいい人ばっかり来てくれるんで、今までアシスタントさんにストレスを感じたことはないですね。

――それはいいですね。

●上野 はい。アシスタントさんは僕にストレスを感じてるかもしれませんけどね。僕がしゃべりすぎるので。黙ってたほうが集中できる、みたいなことは言われましたから(笑)。


写真奥が、先生の机。机、棚、椅子など、基本的に家具は大好きな色、黒で統一。机の上には、グローブとボールが 「キャッチャーミットとグローブ、ボールは1つずつ揃えました。改めて見たら、ここはこんなつくりになってたんだなと思ったりも。長谷部は左投げなんですけど、僕がキャッチボールで使いたかったので、右投げ用のグローブに(笑)。写真を撮って反転したものを見ながら描いています」。


ネームはノリ重視で!

――先生ご自身は、しゃべりながら描いたりできるんですか。

●上野 はい。逆に、ずっと机の上でうーんと黙って座っているほうがうまく描けないんですよ。口を動かしているうちに、無意識に手が動く感じが好きなんです。描くぞ、と思いながら描くのと、しゃべりながら意識を分散させて手を動かすのでは、後者のほうが僕は全然やりやすい。

――無理やり考えて出したものじゃなくて、自然に出てきたものになる、ということですか。

●上野 そうです。ネームもいつもそうですよ。

――ネームもしゃべりながらですか。

●上野 考える時はさすがにしゃべりながらではないですが、描くとなったらその時のノリで一気に描くことが多いです。でも考えるのも机ではなくて散歩しながらが多いですね。

――散歩ですか。

●上野 寒い時期でも、温かい缶コーヒーをすすりながら散歩するのが結構好きなんですよ。歩いたほうが頭が回って話がまとまる気がします。外に出ることによって、偶然見るものもありますしね。

――考えがまとまってからは描くのは一気に。

●上野 はい。今まで掲載された読み切り3作は最長でも3日でネームができています。思いついたやつをそのままノリで描くといいものになることが多いんです。うーんうーんって悩みながら描いたものは、だいたい担当さんに思いっきりダメ出しされますね。

――ノリで描かれているから、読むほうもスーッと読めるのかもしれません。

●上野 特にセリフはノリ重視ですね。


担当さんにはいつかポルシェを買います!?

●上野 僕のネームって、いつもオールOKか全ボツかなんです。極端なんですよ(笑)。一部を直すことはほとんどない。ダメな時は、担当さん、本当にきついこと言いますからね。デビュー直後ですけど、「このままだったらずっとアシスタントだね」って言って、全ボツとか。

――うわ、厳しいですね……。

●上野 それで「くそーこのやろう」と思って『ドM‐ANZAI!!』ができたんですけど。僕はなにくそって思えたからよかったですけど……言い方ってものがありますよ!

●担当 そのあと「僕は褒められて伸びるタイプなんです」って、強調してましたよね(笑)。

――でも、お話を伺ってるときつく言われて伸びるタイプに見えますが。

●上野 いやそんなことないですよ!でもぼろくそに言われて落ち込んでも、そのままずるずる行ってしまうような凡人にはならねえぞ!と思いました。ここで踏ん張ったら俺、かっこよくね?とも思いましたし(笑)。

――やはりハートが強いんですよ。弱そうだけど、強いという。

●上野 一喜一憂が激しいんです。基本はネガティブだけど、すごくポジティブにもなるというか。

――ネガティブでポジティブ。

●担当 僕はいいものさえ描いて頂ければそれでいいので(笑)。

●上野 ほんとひどいですよね(笑)。

●担当 そういえば、売れたら僕にポルシェを買ってくれるっていう約束までしたんですよね。

――えっポルシェですか!

●上野 いやもともと担当さんのほうから言ってきたんですよ。

●上野 これは俺にもプレゼントしろって言ってるんだと思いまして。

●担当 言ってません!!

――ずばり催促ですね。

●上野 なので、この間担当さんの誕生日にプレゼントしたんですよ、ポルシェを。

――えっ!?

●担当 小さいミニカーです(笑)。

●上野 298円の(笑)。でも最初、僕ポルシェってどれなのかわかんなかったんですよ。店員さんに「ポルシェってどれですか?」って聞きましたから(笑)。「お子さんへのプレゼントですか」って聞かれて「はい」って答えときましたけど。まあ、来年は2、3千円ぐらいのラジコンのポルシェになるんじゃないかなと思います。

――だんだん本格化していくんですね(笑)。

●上野 で、何年後かには、本物をと。この話は、ぜひ書いておいてください(笑)。

――お二人は、いいコンビですね。

●上野 いやいや、僕からの一方通行ですからね。初めての担当さんなので、最初のころはテンション上がっちゃって。いつも担当さんのことばっかり考えてて、何かもう、乙女みたいになってました。

●担当 ええっ!?

――乙女!!

●上野 それなのに、担当さんは来るなら相手はするけど……みたいなスタンスなんですよ、きっと。

●担当 じゃあどうすればいいんですか?

――もっと俺を追ってくれ、ということですかね。

●担当 確かに「もっと電話ください」って言われたことが……。

――あの、なんだかちょっと……。

●上野 え?いやいや違いますよ、僕ノーマルですからね(笑)!!