ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」加藤和恵 先生 & 廣瀬ゆい

《1》漫画の描き方

<カラーについて>

廣瀬ゆい先生(以下略、廣瀬):加藤先生、初めまして!若手の廣瀬と申します。本日は貴重な時間を割いて頂きありがとうございます。よろしくお願い致します。

加藤和恵先生(以下略、加藤):こちらこそよろしくお願いします。うまくアドバイスできるか心配ですけれど、皆さんのお役に立てるよう精一杯頑張ります!

廣瀬:では早速、先生の漫画の執筆方法からお伺いしたいのですが、加藤先生はアナログ派でしょうか?

加藤:下描きからペン入れまで、原稿の全行程がアナログです。それに慣れてしまっているので、今から急にデジタルに移行するのは大変ですね(笑)。

廣瀬:そうするとカラーのイラストもアナログですか?あちらはデジタルっぽい印象があるのですが…。

加藤:基本的に漫画原稿はアナログ、カラーは全てデジタルです。スキャナで下描きを取り込んで、SAIというソフトで着色しています。最近で言うと「SQ.9月号」の表紙イラストはSAIで塗りましたよ。

廣瀬:先生もSAIを使っておられるとは!私も使っているソフトなので、なんだかすごく嬉しいです…!!

加藤:使いやすくて良いですよね!前はPainterを使っていたんですけれど、コミックスでいうと12巻の表紙あたりからSAIを導入してます。

廣瀬:「カラーのみデジタル」というのは、いつ頃から始められたのでしょうか?

加藤:SQ.の時に完全に移行しました。デジタル塗りは、重い印象だったそれまでの自分の絵に軽さを与えてくれたんですよね。分かりやすく言うと「今風」っぽくなりました(笑)。それにアナログよりも、自分の思い通りの色を出しやすいことに気がついたので。コピックには色の限界がありますし、私のアナログ技術では、絵の具でイメージ通りの色を作るだけでひと苦労ですし(笑)。

廣瀬:デジタルは塗りを失敗しても、すぐにやり直せるところも良いですよね。

加藤:確かにそれもあります(笑)。

廣瀬:ちなみにSAIの他に、現在使用されている道具で何かこだわりなどはありますか?

加藤:恥ずかしながら特にありません。液晶タブレットは、当時では最大の大きさのものだったような…?それくらい…?

廣瀬:SAIのブラシはカスタマイズされていますか?

加藤:ブラシは……初期設定のままです(笑)。デジタルの良いところを全く活用できていないという…。

廣瀬:え!?では感覚的には、ほとんどアナログと変わらないですよね?

加藤: もはやアナログですよね(笑)。色々な機能があることは知っているんですけれど、100%は使いこなせていないという状態なんです(笑)。

廣瀬:まさかそんな!驚きです!!機能を使わずに、あんなに素敵な絵を描かれるなんて…。

加藤:私がデジタル塗りを始めた頃はHPを作って、そこをカラーイラストの練習場にしてました。ほとんど独学ですね。今だったら「pixiv」などのイラストSNSで、参考になる講座がたくさんあると思うんですけれど。

廣瀬:どんな環境においても、変わらないクオリティの絵が産みだせるなんて…「功法筆を選ばず」ですね。

加藤:ただハウツーを読んで勉強するのが面倒くさかっただけなんですけどね…!むしろ私は最近の新人の方々、廣瀬さんももちろんですけれど、カラーがうますぎて驚いています。「みんなもうちょっと力を抜いても良いんだよ!?」って(笑)。

廣瀬:カラーが好きなので、気合が入っちゃうんです(笑)。それに加藤先生を含めたベテラン作家さんたちが本気で色を塗っているのを見ると、私たち新人も頑張らないと!という気持ちになるので、ついつい(笑)。

加藤:お互いが良い刺激になっているんですね。それなら逆に、この関係がこのまま続くと良いのかもしれない!

取材&マンガ 廣瀬ゆい
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