ジャンプSQ.
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影木栄貴先生 直撃インタビュー 完全版
 








★――巷で話題の本作ですが、個性派一家の内情を、ここまで披露しようと思われたきっかけは?

影木:最初から、こんなふうにぶっちゃけようと思っていたわけではないんです。’98年に「週刊文春」で、影木栄貴=竹下登の孫とスッパ抜かれたのは、本にも書いたとおりですけど。その後色々あって’05年にTV番組の「トリビアの泉」にも出演することになったので、その裏側を「ウンポコ」で描こうということから始まったんです。

★――こういったことを書きたいという構想自体は、前からお持ちだったんですか?

影木:そうです。…悪人と言われた祖父のホントの優しい面、面白い面とかを全部描きたいな、という気持ちはあったんですよね。でも、「じいちゃんと私」っていう部分が、なかなか描けなくて。心の整理がつかず泣いちゃったりして、うまく描けなかったので、1〜2年間休載したんですよ。そうしているうち、今度はTV番組「世界バリバリ★バリュー」に出ることになりまして(笑)。じゃあ、その裏側のことを描こうと復帰したら、時が経ったせいか、じいちゃんのことも描けるようになっていたんです。そしたら、その番組がきっかけでDAIGOがブレイクしたので、急きょ、家族のエピソードを増やそうと(笑)。ですので全部、運命に流されて発売された本なんです(笑)。

★――おじいさまのことを描けなかったというのは、具体的にはどういう心情ですか?

影木:やっぱり、祖父があれだけ攻撃されていたことへの…マスコミへの怒りとかわだかまりが残っていて、恨み節になっちゃいそうになるんですよ。それと、私は自分の力で頑張って漫画家になったのに、「孫だから」って言われることへの抵抗が、強かったんです。だからって、見る人が不快になる描き方はしたくないから、筆を止めていたんです。そしたらDAIGOが「全部じいちゃんのおかげでーす!」って、100%祖父の力を借りたような形で出ていったので、なんかもう、いいのかな〜と(笑)。結果的には、イヤな形ではなくじいちゃんへの思いを伝えきれたと思っています。

★――政策批判のはずが個人非難になって、自宅まで抗議デモに来るって…まだ十代の影木先生には相当のトラウマだったろうと思いますが。

影木:今、思い出しても、自宅にデモに来るのは卑怯じゃないかなぁと思います。自宅には家族もいるし、周りの家のこともあるし、そこに押しかけるのってルール違反ですよね。でも、「私はどんなに気に入らない政治家がいても、絶対自宅にデモには行かないです」っていう感想をいただいた時、もう十分伝わったなと思いました。

★――良かったです。政治家って一度バッシングの渦にはまると、良いことをしても評価されないように思えますが…あのー、確か「ふるさと創生金(※)」を交付されたのは、竹下首相でしたよね?

影木:あれも、無駄遣いと言われましたけどね(笑)。もう、何をしても叩かれてましたから。だけどじいちゃんは忍耐力がすごかったんですよ。病気でずっと入院していて最期の最期、本当の死の間際の苦しいときに、「よく来たな」って笑ってくれましたから。死の直前に笑うなんて、普通はできないと思うので、やっぱりすごい人だったなーと思って。

★――重ねてきた経験が、常人の経験ではないので、並の忍耐力じゃなかったのでしょうね。…そのDNAを受け継ぐ3人の姉弟はまったく個性が違う?

影木:誰もそれほどの忍耐力はないという(笑)。DAIGOは、まったく人を怒らないという点では、じいちゃんに近いかもしれませんね。喜怒哀楽の「怒」がない人です。長男は、我が家のまんがやアニメ文化、音楽のパイオニアとして個性的で…。そして長女の私はもう、「怒」だけ。「怒」と「哀」だけの人間です(笑)。

★――(笑)。先ほどの、読者さんの感想には、「喜」だと思いますが、感想って他にはどんなものがありました?

影木:例えば、「おじいちゃんを他人事とは思えなくて、自分のおじいちゃんが死んだときと重ねました」とか、「竹下元首相の意外な一面を知れて面白かった」とか、「全然違う境遇なはずなのに、身近に感じます」とか。あと、私が漫画家になるまでのストーリーを読んで、「私も夢に向かって頑張ろうと思いました」とか。「DAIGOのことを知れて面白かったです」というファンの方も多いし、「長男がおかしくて気になる」っていう人も(笑)。そんな意見をいただいて、つくづく「告白して良かったな」って思えました。たくさんの共感のメール等をいただけて、これでやっと「終われたな…」と、昇華できた感じです。

※ふるさと創生事業(ふるさとそうせいじぎょう)=竹下登内閣が行った政策で、1988年から1989年にかけ、日本の各市区町村に対し、地域振興に使える資金1億円を交付したもの。正式名称は「自ら考え自ら行う地域づくり事業」。