ジャンプSQ.
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伊藤 悠先生 直撃インタビュー 完全版
 







★−−というわけで男性諸君が大騒ぎの『皇国の守護者』・伊藤先生にインタビューです。コミカライズの傑作といわれていますが…。

伊藤:いえいえ、原作があったからこそのコミカライズですよ。

SQ:と謙遜されますが、作画としてはどうでしょう、あれだけギッチリと描き込まれると、けっこう時間を取られるんでしょうか?

伊藤:人様に比べて自分の速度がどうかわからないですけど、手は遅いほうで…この間、34枚分のお仕事をしてみて、そこがギリギリの月産枚数かなと思いました。もっとモブがワーッてあって、馬がワーッてあって、背景がオワーッてあって、しかも攻城兵器みたいな大道具があった時なんて、たった20枚でも、やっとですから。

SQ:え、まさか、お一人で描くんですか?

伊藤:大道具とか背景は人にお願いしますけど、動物…馬なんかは自分で描かないとって思うので。

SQ:凄い。動物をどこからでも描ける人は、なんでも描ける、っておっしゃった作家さんがいましたけどね。

伊藤:若いころ、パロディものを描いてた時から、馬とかは好きだったんですよね。多分みんなそうだと思うんですけど、ちっちゃい時から動物を従えてる図ってカッコいいと思うじゃないですか。ロデムがいる!とか、肩にでかいオウムが!とか。

SQ:あ〜(笑)。

伊藤:もう誰だって、動物がいる図って好きなんですよ。従えるにしても友達になるにしても。それってほんとに子ども的な、永遠の夢だと思うので、ずっとやっていきたいなあと。

SQ:全く動物が出てこない作品でも、なぜか背景のモブで動物がちょっと出てたり(笑)。

★――習作時代はパロディ作品を描かれていたそうですが、そもそも、ウルトラジャンプに作品を描かれるようになったいきさつは?

伊藤:ウルトラでイラストを描いていた同人誌の友達が、「編集者さんに会ってみる?」と連れていってくれたんです。そこで「なんでもいいから絵を見してごらん!」と言われ、当時はお仕事歴もなかったので、忍者ゲームのパロディ同人誌を見せたら、「じゃあ、忍者モノ描いてみる?」って(笑)。

SQ:話が早いですね。作品を描かれてみてどうでした?

伊藤:それまで描いていたのは、ゲームのファン同人ものばかりでしたから、オリジナルってなんて難しいんだろうと…マンガ家には向いていないと思うほど悩みました。ちなみに『皇国』の前に『面影丸』という短編集が1冊出ていますが、残念ながら売れずに絶版になっております(笑)。

SQ:今、ヤフーオークションとかで、プレミアがついているという噂が…。

伊藤:そんな訳ないですよー。

SQ:でも、今度の新作(ビッグコミックスピリッツ12/22号〜にて『シュトヘル』新連載)に合わせて、ちょっとカバーを描き直したりすると、ガーッと商売に…。

伊藤:抜け目なく(笑)。

SQ:いやいや、喜ばれるんじゃないでしょうか、ファンの方にも。

伊藤:ウーン、どうでしょうね。初期の作品ですし…。

SQ:では、お話を戻しますと、オリジナル作品が大変で、とても悩まれて。

伊藤:「じゃあ原作つきでお勉強してごらんなさい」ということになって、三本の小説を提示されて、「どれスキ?」って。

SQ:どれも、描くのはハードそうな原作だったんですよね。

伊藤:はい。「こ、こ、これ(『皇国』)すかね」って恐る恐る選ばせていただきました。歩兵が騎兵に向かっていくっていうところが一番カッコイイと思ったので、その場面が一番描きたかったです。そこに行くまでに2年かかっていますけど。私は、絵柄そのものに迫力があるタイプではないので、大勢と大勢がゴチャゴチャっとぶつかるような、物量で補っていこうと思っていました。そうでないと…どうしたって女の子らしい絵になってしまうので。

SQ:ええ〜っ。否定してなんですが、ぱっと見は男性か女性か判らない、力のあるタッチで。迫力がないと言われるとびっくりしちゃうんですけど。

伊藤:なんていうか、イキオイや迫力を看板にしてらっしゃる先生に敵うとは思えないんです。パロディ出身だから、ってこともないですけど、絵そのものに鉄球!みたいなものがないので。

SQ:じゃあ、伊藤先生が思う迫力のある作家さんってどなたですか?

伊藤:藤田和日郎先生とか…やっぱり、絵そのものに破壊力があってスゴイですよね。

SQ:あ〜。何かニオイというか汗というか、「ぶわっ!」ときますよね。ドス!みたいな。