ジャンプSQ.
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伊藤 悠先生 直撃インタビュー 完全版
 







★――では、そういった迫力作家さんでなくても、過去に影響を受けたとか、この絵を見て自分も描き始めた…という作家さんはいますか。

伊藤:中学生の頃は、山本貴嗣先生の『シンバッド』がすごく好きでした。絵柄の迫力というより、なんでも描けるニュートラルなうまさがあって、しかも可愛くてあたたかい。

SQ:デザインは漫画的だけど、絵の質としては劇画寄りっていう…。

伊藤:そう、良いところを融合している感じで、自分が進みたい道だなあと思いました。自分は結構、マンガよりもゲームをやって育ったので、山本先生がデザインしていらしたメタルマックスの絵とか、ほんとうに素晴らしいと思ってました。

SQ:初めてマンガを描いてみたのは?

伊藤:中学生の頃、『鎧伝サムライトルーパー』を乙女っぽい絵でコマ割りしてみたのが初めてだったんですが。その後『AKIRA』や『女神転生』の影響にやられたのがいけなかった。可憐に、花散る感じで行きたかったのが…。

SQ:今や、血とか臓物とかが飛び散る感じで。

伊藤:イヤ、臓物はそんなに描いてませんから!

SQ:失礼しました!

伊藤:あと、今でも教科書のように思っているのは、坂口尚さんです。あんな風にトーンを1枚貼ってペリペリ削るだけで、どんな色合いも表現できるのがすばらしい。しわしわのおじいちゃんから絶世の美女まで、同じ絵で表現できるようになりたいものです。

SQ:ああ、伊藤先生のあこがれの系譜として、なんだかわかるような気がします。高校時代はどうでした?

伊藤:当時はカプコンの絵にハマってました。カプコンが一番流行っていた頃で、「う、う、うまい〜!」って。

SQ:一番流行ってたというと、安田朗さんの時代ですかね。

伊藤:そうですね。日々ゲームに明け暮れ、ゲームセンターにある落書きノートに、エイリアンVSプレデターを描いたり…あれが私の青春でした(笑)。

SQ:やはり破壊系の青春なんですね(笑)。こう言っちゃなんですけど、あの世代のゲームって、マンガに比べてデザインセンスがハンパなく進んでましたよね。今でも正直、そういうところもあるかなって思うんですけど。

伊藤:どうかなあ。最近ゲームのスペックが上がってるから、間を持たすために衣装とかが細かくなりすぎてるじゃないですか。それがかえってカッコ悪くなってきたような気もします。

SQ:ああ、いろいろ情報量が増えすぎて、かえってデザインとしてトンガリ感がなくなっちゃって。

伊藤:キャラデザインとしては、『ジャイアントロボ』ではじめて触れた横山光輝先生の『水滸伝』のキャラなど、線数が少ないのにカッコいいものが好きだったんです。マンガにしても、白黒だけの平面の…シンプルなカッコ良さっていうのがあると思うので。

SQ:制限されたところで逆に削ぎ落とされて、デザインとしては先鋭化していくっていう感じですかね。

伊藤:そう。そういうカッコ良さでいえば、宮田雅之さんという切り絵作家さんがいて、別冊太陽などによく載ってらしたんですけど、『八犬伝』なんて、本当にすごいんですよ。カッコよくて色っぽくて、マンガのキャラのように萌えるんです。

SQ:切り絵…。

伊藤:多分、ご想像されている「切り絵」の、40段階ぐらい上かもしれません(笑)。「この”毛”、描いてるでしょ?描いてるでしょ?切ってないでしょ!?」みたいな。動物の毛とか、とんでもないんです。切り絵と思えないような細かい作業を実現しつつ、たぶん切り絵でしか出来ないような表現もやってる、みたいな。それこそ、能力が高いゆえに自由度がある感じなんですよ!

SQ:へえ…。

伊藤:は…、ついつい切り絵を語ってしまった。でもほんとカッコイイので、ぜひ見てください!