ジャンプSQ.
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伊藤 悠先生 直撃インタビュー 完全版
 







★−−でも、そういう地に足の着いた感覚こそ、『皇国』のコミカライズが読者に絶賛されたところでは?

SQ:…というのは、主人公の捉え方が、原作の印象よりもギリギリ普通人寄りで、自分の中の狂気を恐れているっていうふうに見えましたので。原作では、完全にイっちゃってるけど普通のフリをしている、って感じだったので。

伊藤:それを心がけていたわけじゃないですけど、残念ながら自分がフツーの枠を出れないタチなので、そういう人物造形になってしまったのかもしれません。悪いアクのあるフリとか逸脱したフリをしたかったこともあったんですが…若いときに(笑)。どうしても自分の中にファン気質があって、好きなものを「皆さんこれおもしろいよ」って、読みやすい形で出すということを優先したい、というところがあるんです。例えば漢字がいっぱいあって難解な部分でも、イイところなら、損なわないように、でも読みやすく、伝わるようにネームを書きたい…っていうのは苦心していたと思います。

SQ:確かにネームや演出が良くて、スッと世界観に入れました。

伊藤:これ言ってもいいのかな。当初はそんなにページ数を頂けず、全2巻?ぐらいな予定だったんです(笑)。だから最初のシーンも原作通り、主人公部隊は待機&撤退するだけ…みたいな地味な感じで。でも、担当編集さんに「最初に魅せるアクション、見せ所が要るんだ!」と言われて。「ええ、そういうものですか〜?」「絶対入れなきゃダメ!!」って。それは後から考えると正しかった。巻数も増やしていただいてありがたいことです(笑)。

★――見せ所といえば、主人公を始め、ワキに美形じゃないキャラクターがいるのが、また馴染めますね。

伊藤:当初、原作の先生に「美形がいませんね」って言ったら、「美形なんか出してたまるか!」っておっしゃっていまして (笑)。

SQ:(ボソ)全員美形にしておくと、ミュージカルになる可能性が…。

伊藤:いえいえ、そういう訳ではないですけど、少尉たちはみんな美形にする予定だったんですよ。あまりに美形がいないと、自分が干上がると思って(笑)。でも、揃ってキレイだと何かやっぱり…「妹尾はやっぱりブサイクかな」と(笑)。そのほうが世界観に合うなあと。

SQ:僕も全員が美形だとツラくなるんですよね。トシのせいかもしれませんけど。そういう世界観が好きな人がいるのはわかるし、決してキライじゃないんですが。

伊藤:やっぱり、味わいですよね。時には美形がブサイクを引き立てることもあるし、キレイじゃないのがカッコいいよね!っていうキャラも必要だし、美形じゃないほうが、私自身が思い入れできる部分もあります。時には、美形の煌きよりブサイクの輝きのほうが勝るのだ!世界の美しさというのは“多様性”にあるのだ!!だから自分の物差しを自分で作っていこう!!! みたいな(笑)。

SQ:でっかくおっしゃいましたね。それは大賛成ですけどね。ヨーロッパのことわざに『若い頃からもて続けた男の想像力は犬以下だ』というのがあります。…脱線しましたね。

伊藤:その脱線に乗っていきたいです(笑)。まあ、スピリッツ新連載の主人公は美人なんですけど。ああ〜、でも主要キャラがみんなキレイめなので、脇にもっとブサイクを投入するべきだなあ。かっこいいブサイクが足りないなあ。気づきがあってよかったです(笑)

★――では、そんな“多様性”に満ちた新連載も楽しみにしております。伊藤先生、どうもありがとうございました!