◆――オリオン書房・池本美和氏の絶賛の『ヒストリエ』ですが、この作品を生み出されたきっかけについて。どのように古代史へご興味を持たれたのですか。
もうだいぶ前になりますが、まず歴史上の武将を主人公にした物語を作りたいと思ったわけです。その際、「どんな性格の人物か」ではなく、「何をした人物か」という目で、歴史の本をいろいろ読んでいた気がします。はじめは日本の歴史上、特に戦国時代を調べていたのですが、何だか見つからなくて、ふと視点を変えてみたのが古代西洋で、そしたら何人か面白そうかな、という人物に突き当たりました。映画にもなったスパルタカスやハンニバルなども考えましたが、全く無名ながらもエウネメスが一番面白くできそうだ、ということで構想を練り始めました。
◆――「寄生獣(完全版)」に収録された言葉に、『物語には着地点があって、うまくそこに辿り着けた作品は幸せだ』とありますが…本作にもそんな着地点が用意されているのでしょうか。アレクサンドロス大王の死後も展開される想定ですか?
私の心身に問題がないかぎり、「あそこまで」という着地点はあります。アレクサンドロスは確かに歴史上の大スターで、この物語内でも存在感をもって登場しますが、それでも脇役なので、その死後も物語は続く予定です。
◆――今後、主人公エウメネスは、どんな人間模様に取り巻かれ、どんな活躍をしていくのでしょう。差し支えない範囲で、「今後描かれたい」展開について聞かせてください。
具体的にはお答えしづらいですが…主人公自体は決して強烈なキャラではありませんが、その周囲には名の知れた偉人や奇人変人、大事件や歴史上の転換点がゴロゴロしているので、有名な東方大遠征ばかりを特に、というよりは、その前後にやや広く範囲を取り、全体を一つながりの荒海のように描ければと思っています。エウネメスはそれに乗り出す高性能の船、といったイメージです。
◆――歴史的な大事件ばかりでなく、奴隷制、猫、キャビアなど…衣装・装備や「文化が違〜う」など、ディテールも本作の楽しみですが、取材はどんな風になさっているのですか?
もっぱら関連書籍を集める、というのがほとんどですが、歴史と関係なさそうなテレビ番組や人との会話がヒントになることもよくあります。この前、たまたま知り合った獣医学博士に、馬のことをあれこれ尋ねました。あと、参考資料費の名目でキャビアを買って食べました。
◆――『寄生獣』『七夕の国』『ヘウレーカ』に比するとも劣らぬ大作…とファンは熱く語りますが、作者ご自身からみて、過去作品とここが違う、こういう新たな思いやテーマがある、ということはありますか?
繊細で思いやりがあり、したたかで冷徹というのが私の考えるヒーロー像なのですが、そのうちの「したたか」と「冷徹」が備わった主人公をこれまであまり描いたことがなかった気がするので、それをガシッと描きたいと思います。
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