★――…学生時代には、もうマンガや文章は描き始めていたのですか? 著書『小人たちが騒ぐので』の中で、学生時代の「ハズカシ〜っ」自作の詩集を披露していらっしゃいますが、ほかにも若気の至り的な作品があれば、教えてください。
川原:ここだけの話、実はその詩集「白の終焉」と対をなす、「黒の発動」とゆータイトルの詩集が存在しました。この二つは例えて言うなら、静と動、陰と陽、キュウリとナスビといった、対照的イメージに縁取られた作品集と申せましょう。ファンタスティックでとんちんかんな白に対し、黒はダークな色調と、寒い世界観がステキなあんぽんたんであります。何年も前に燃えるゴミに出して正解。燃えろ、完膚無きまでに! すべて焼き尽くしてしまえ、鹿児島市の焼却炉!早く死ねばいいのに自分。
★――死なずにまだまだ作品を描いていただかないと困ります…。さぞかし想像力豊かで、多感な少女時代だったのだろうとお見受けしますが。
川原:特筆すべき長所も無く(短所はあるけど言いたくない)、運動神経も人並みだし、非行に走る気力も無く、普通に生きてるつもりなのに、「カーラ君って変わってるよね」とよく言われて不本意でした。しかも、クラスメートの女子は「○○さん」と呼び合っていたのに、私だけ「カーラ君」と呼ばれていた理由が今でもわからない。
★――(笑)。そんな「カーラ君」も、恥ずかしい過去を肥やしにしてマンガ家になられたわけですね。
川原:でもマンガを読むのは好きだけど、描くのはそーだとは限らないってことに後で気がつきまして。「やっちまったな〜!」のクールポコ的人生です。SQの読者の皆さんには、「マンガは楽しい。読むだけなら」と言いたいです。
★――たしかに、生みの苦しみは「小人たちが騒ぐので」(白泉社)などの作中でも描かれてますよね。それでも、見事なアイデアで苦境を切り抜けていらっしゃる。
川原:てゆーか、そーゆー時の切り抜け方法があれば、ぜひ教えてもらいたいものです。たいていの場合、切り抜けられなくて悲惨な結果に…。早く死ねばいいのに自分。まあ強いて言えば、アイデアはマズイ時にマズイ場所で思いつくことがしばしばなので、メモも取れずに忘却の彼方に消え去ったアイデアもいくつか…。この前は、親戚の伯母さんの一周忌の法事の最中、お坊さんの念仏をBGMに思いついたので、バチ当たりな感じ。
★――(笑)。BGMといえば、どんな環境で仕事をなさっているのでしょう。また、オフタイムは? 日常で「幸せ」を感じられる瞬間は…?
川原:まったくの無音だと不安が増大するので、テレビのボリュームを仕事の邪魔にならない程度に小さくして、机の前で一見マジメな感じでやってます。オンタイムは早朝から深夜、もしくは夜明けまで、遠い悲しい目をして働き者の小人のよーにコツコツと。でも仕事は遅いですが。オフタイムは一日中ゴロゴロして、時々何か食べてます。日常で「幸せ」
を感じたことは…去年ちょっとしたアクシデントで左ヒザと左肩を痛めて手術までしましたが、その後の辛く苦しいリハビリで経過は良好。だんだん良くなってる実感があるので幸せ。元気な若者にはまだわかるまいが、やっぱ健康って大事っスよ
★――というように、コツコツ(?)描かれた近作「レナード現象には理由がある」について。恋愛に積極的でない淡々とした男女がいつしか距離を縮め…のような”川原節”の作風のものを描かれたのは久々だと思いますが、何か思うところがあったのでしょうか?
川原:『ブレーメンU』(白泉社)というSF的なマンガを連載中、ずっと未来の宇宙空間と変なヌイグルミみたいな動物ばかり描いてたら、なんか現代の普通空間がなつかしくなってしまったのかも。でも、いまどきの高校生が主人公のマンガなのに、オバサンが描いているので全然オシャレじゃないし、あんまイケてない気がする。無念。
★――タッチが、スッキリとシャープに変化されたように思います。かなりデジタルを導入していらっしゃるのでしょうか? ほかに作画環境で工夫されていることは?
川原:メカ音痴なので、本格的なデジタル導入はやりたくてもできませんが、コピー機にはとてもお世話になってます。あと、腱鞘炎気味だったのでペン先をGペンから丸ペンのみに変えました。いずれにせよ、何年経っても絵がヘタな者には作画環境もへったくれもないでしゅ。
★――そう言わないでください、これからも期待しております!この先、川原ワールドはさらに広がっていくのでしょうか? SQ読者へのメッセージをお願いします。
川原:いやいやいや。そんな新境地を開拓しろみたいな野望はこれっぽっちも。めっそーもないです。…てゆーかメッセージとかは、もっと若くて人気も実力もあるちゃんとした作家さんに頼んだほうが、いくね?
★――というところを無理にお願いした川原先生、要所要所のカーラ節がやっぱりステキです。お忙しい中、本当にありがとうございました!!
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