ジャンプSQ.
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きづきあきら先生+サトウナンキ先生 直撃インタビュー 完全版
 







★――とんでもない時にインタビューをお願いしてしまいましたが;;新連載の調子はいかがですか。

きづき:『うそつきパラドクス』は、担当さんからおっぱいのダメ出しが出て、直したりしました(笑)。

SQ:どんなダメ出しですか?

きづき:もっともっと、やわらかく、さわりたくなるようにって。

SQ:「IKKI」のおっぱいとは違います?

きづき:違いますね。IKKIさんでやると、ちょっと品がない感じになって話の雰囲気を壊しかねないので。

SQ:まるで「ヤングアニマル」さんは品がないみたいな…。

きづき:ちょっ、違いますー、違うんですよー!!

サトウ:要するに、サービスを重視するかどうかっていうことです(笑)。

SQ:ということですよね。いえ、正直「ヤングアニマル」さんはいい雑誌だと思います。硬・軟を取り揃え、エンターテインメントに徹していて。

きづき:だから、エッチなマンガをいっぱい資料として渡されて、「頑張ってください」って言われた時に、「ああ、ヤングアニマルでおっぱいを頑張らせてもらえるって、すごい名誉だ!」って思いまして、日記にも書きましたよ、「おっぱい番長を目指そう」って。

サトウ:我々もその点に関しては、作家として生き延びるため、そろそろやるべきことだという担当さんび意見に賛成でしたので。

SQ:アニマルさんにはおっぱいの大家たる、克・亜樹先生(『ふたりエッチ』)がいらっしゃいますしね。

きづき:そうなんです。そういう雑誌だから余計に、頑張れって言われるのはありがたいことです。

SQ:当誌ジャンプSQも、そんなにモロの描写でなければ…「朝チュン」(※)のシーンとか、「これ確実にしちゃったね」みたいなけだるいシーンくらい、全然OKだと思ってるんですけど。面白さにつながっているのであれば。

サトウ:でも、ジャンプって冠してあると、皆さんが空気を読んで…。

SQ:そうなんです、みんな少年誌出身が多いので、何だかそういう空気になっています。お話がずれましたね。

★――では、『うそつきパラドクス』の内容について。これはHしそうでしない、近づきそうで近づかない2人という…モヤモヤしたプラトニックのまま行くんでしょうか?

きづき:しないというのが編集さんからのオーダーでして。でも大人の恋愛なのに、しないって、どういう無茶ぶり!?

一同:笑

SQ:しないよう、あの手この手で引っ張られると。

きづき:次のネームを渡しましたら、「あ〜、末恐ろしい…」って編集さんに言われました。

SQ:おっと〜、お二人の作品にしては、わりと幸せな感じのままいく話になるのかな?って思ったんですけど、そんなわけがない…。

サトウ:いえいえ、幸せにしてねっていうのも編集さんのオーダーですので(笑)。でも、『メイド諸君!』もそういう前提で始まったのに、サイン会をやったときに、読者さんから「いつ黒くなるんですか、暗くなるんですか」って言われて。それで、編集さんに「黒くしていいんですか?」って聞いたら「もう、黒くしちゃってください!」

一同:笑

SQ:皆さんの期待が…もう、ありますからね。

きづき:読者さんと編集さんのバイアスというか、要求にのっとって描きたいですので。

SQ:なんせ“パラドクス”(逆説)ですから破壊力はすごそうですよね。たくさん女のコも出てくるし、思い通りの幸せになんかさせねえぜ!

きづき&サトウ:いえいえいえ(笑)。もう、皆さんの要求を汲んでいきます。

★――このまま幸せに行くはずがないという、人の弱いところを描かれるのがうまいから、つい共感してしまいますよね。

きづき:自分がイタイからでしょうね…なーんて。ジャンプに出てくるような、ハツラツとした主人公を見ると「かっこいい!」って思うけれど、「どうしてアタシはこうできないんだ…」ってなっちゃいますので。

SQ:代表作の『ヨイコノミライ』は、高校漫研部のイタイ青春を描いた、衝撃的な作品ですが、お二人の高校時代の経験からですか?

きづき:かなり…踏まえていますね。こんな話ありえないよ、こんな極端な人達はいないよっていう意見もあるんですけど、本当はもっと極端なこともあったんですよ。でも本当に起こったことを描いたら、逆に信憑性がない、というか。

SQ:事実は、小説より…。

きづき:自分と同じ30代くらいの、大人になりきれない人たち…自分達も含めて、夢と現実との折り合いがつかずグズグズとくすぶっている人たちに向けて、「続けるなり、やめるなり、どちらでもいいから踏み出せたらいいな」っていう思いで描いたんですよ。

サトウ:ちょうど30代あたりって苦しい世代だと思うんですが、夢(マンガ)をとことん目指すか、逆にちゃんと仕事をやるために、見切りをつけるか。でも、そこでくすぶっていて。よくある理屈としては「投稿しても、編集が色々言ってくるので自由に描けない」。でも、商業なんか関係なく好きなものを描こうっていう方向にもいけず、結局、同人活動でもやりたいものは描けないって、悩んでばかりいたり。

SQ:結果が出ないのが一番安心っていうか、居心地がいいんですよね。気持ちとしては、わかるんですけど。

サトウ:あと、かつてのオタクには、今よりも風当たりが強かったから、そういう人たちが大人になっても持ち続けている後ろめたさを、何となく清算できるような作品にしたかったんです。

SQ:清算といえば、あのラストシーンは衝撃でしたよね…(震)。

サトウ:最初ネームを出したら、担当さんから電話かかってきて、「ラストを変えてもらえませんか」って。

SQ:もっと柔らかい表現にしてほしいと。編集さんの気持ちも分かります(震)。やっぱりラストは救いがある感じに…っていう、個人の願望ですけど。

サトウ:ラストシーンが悲惨だっていう方もいれば、あれが幸せだっていう解釈もあります。歳月を経て読み返してもらえたら、その度、いろんな想像や解釈を生み出していただけたらいいですね。

きづき:物語が終わっても、読む人の中ではお話が続いて、あとから「あれってこういう意味だったのかな?」と思い返して、モヤモヤ考え続けてもらえたら嬉しいです。

サトウ:「お土産を持って帰ってもらう」って言ってるんですけど。

きづき:やっぱり、人の心の弱さみたいなものを好きで描くんですけれど、心の弱いことをいいとは思っていないので、いずれはそこから立ち直ったり、「気にすることないよ」と思ってほしいというか…自分に言い聞かせているというか。

サトウ:沈むことに酔う作品もありますし、需要はありますが、そこを読者さんの逃げ場にするんじゃなくて、ちょっと正気に返っていただけるようなものにしたいです。

★――最終的には、前向きな方向に向かってほしいと。そんな「弱いけれど強い作品」を、今後も期待しています。お忙しい中、どうもありがとうございました!

※SEXシーンを詳しく描写しないまま、行為があったという事実だけを伝えてシーンを切り替えること、またはそのシーン。(例)朝ベッドで目覚める男女×小鳥の鳴き声