★――最初に携帯コミックの依頼が来たのは、どんな経緯だったのですか?
小林:『ヴァージンな関係』(竹書房)の連載終了後、2007年の秋くらいに編集部から打診のお電話をいただきまして。私は携帯配信なんて全くわからない人なので、「お好きに使ってください」って返事をしました。その後、「バナーを立ててくれることになったので、ちょっと期待してください」と言われたんですが、「そんなオイシイことが、世の中にあるわけないでしょう」くらいに思っていたんです(笑)。すると、年末頃にまたお電話がありまして、「大変です。配信と同時にエラいアクセス数になってます!!」って(笑)。
SQ:ご自身でも携帯で配信をご覧になってみて、どういう感想を?
小林:それまでは、「携帯のこんなちっちゃな画面でどうやって見せるの?」と疑問だったんですよ。漫画って、見開き単位で計算して描いていますから、ひとコマずつの見せ方で大丈夫なのかな〜と。でも実際に見てみたら、意外と映画っぽいというか、下からパンしてみたり、色々工夫されていますよね。”漫画の文法”とはちょっと違う気がするけど、これはこれで面白いなあと。
★――携帯での人気を受けて、続編『ヴァージンな関係R』が始まって、さらに月刊ヤングジャンプでは『おはにゅ〜』が始まったわけですが、近作で、以前と変えられた点などはありますか?
小林:前作の『ヴァージン…』は成年誌で描いていたわけですが、新章は、一般青年誌に掲載することになったので、Hシーンを抑えめにということで。『おはにゅ〜』も青年誌ですから、そこは気をつけました。
月刊ヤングジャンプ担当(=以下、YJ担):ヤングジャンプでも、Hシーンのリミットはあるんですよ。よく言うのは「連続するカラミのシーンはOページまでにしましょう」とか。そこはすごく小林先生は上手く描いてくださるので、ページ数以上に厚みがある印象ですね。制約の中でも工夫してやってくださるので。
SQ:制約というと、具体的にはどんなことが?
YJ担:まあ、ヘアや体液は控えめにしようと。あと声で「はあはあ」言うのはいいけれど、擬音はなるべくやめようとか、時代によって各編集部が決めている“ライン”があるんですね。ヤンジャンの月刊だと少しグレーゾーンが広いけれど、週刊はもっと清らかに、とか。明確に行きわたっている基準ではないのですが。
SQ:過去に、PTAから指摘が来た例などを踏まえて、「この辺までは描けるかな〜、おっと、キキキキーッ(ブレーキ)」みたいな、チキンレースなところもありますよね(笑)。小林先生ご自身、表現で「本当はもっと描きたい」と思うところはありますか?
小林:意外とないんですよ。そういうご要望があったら、その範囲内でやれることをやります。今は比較的、『おはにゅ〜』も『ヴァージンな関係R』も抑え気味に描いているので、この間、久々に『ヴァージン…』の前作を見返したら、ビックリしましたけど(笑)。
SQ:こんなにスゴいの、描いてたっけ(笑)。作品を拝見していて思ったんですけど、女性作家さんが描くH漫画って、どれだけ過激でも、女性キャラに無理なポーズはさせないですよね。でも男性作家が描くHって、かなりアクロバティックなことをさせますね。180度開脚、「折れる折れる!」みたいな(笑)。それを見てイタターッてなると、女子の興奮が冷めちゃう。小林先生の作品はそういう無理がないので、女の子も気持ち良く読めるんじゃないでしょうか。
小林:『ヴァージンな関係R』では、読者アンケートで男女半々くらい来るというのは聞いていました。ただ、あくまで自分は青年誌に描いているつもりなので、そんなに女性の読者を意識することはなかったんですけども。
★――ちなみに、『おはにゅ〜』を女子アナものにされたのは? YJ担当さんのご趣味ですか。
小林:最初は「秘書もの」ってことで打合せをしていたんですけど、秘書のお仕事って、わりと事務的な事が中心じゃないですか。するとネ−ムをきろうとしても、絵になりにくいし、話も絡ませにくい。
SQ:それに秘書だと、絡む相手が年配の…上司とかと絡みそうですもんね。ヤンジャン読者の年齢層とは、重ならないかもしれない。
小林:それでギリギリになって、急きょ変更させていただきました
SQ:急きょ取材にも行かれたり?
小林:取材にはそれほど行っていないんです。逆にきっちり取材しすぎると、こんなふうには描けないと思うんですよね。
YJ担:読者は「女子アナって野球選手といっぱい合コンしているんだろうな〜」みたいに期待されるわけですが(笑)、実際に女子アナの方に取材して、「そんなのありえない」って言われちゃうと、気を使って、合コンシーンとか描きづらくなっちゃうんですよね。
小林:合コンはしていると思いますが(笑)。実際の仕事をリアルに把握してしまったら、話を作る上で制限ができてしまうので。
YJ担:青年誌なので、リアルな部分も求められるんですけど、必要なのはリアルじゃなくて「リアリティ」ですよね。読者より先の妄想であることが大事ですよね。
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