ジャンプSQ.
ジャンプSQ.
おがきちか先生 直撃インタビュー 完全版
 







★――楽天ブックススタッフさんより、ラブコールの熱い『Landreaall』ですが、連載の経緯はどういう感じだったんですか?

おがき:今の担当さんには、「ZERO-SUM」(ゼロサム)での連載当初からお世話になってます。「ヤングキングアワーズ」の増刊号でおがきちか名義の商業作品を初めて見てくださったそうで、偶然、私の友人の作家を担当していた縁で紹介してもらいました。ゼロサムで短い読み切りのギャグマンガとかやりましょうか…とお仕事の話をしはじめたとき、連載していた雑誌が休刊になりまして。急きょ6Pのショートギャグマンガじゃなくて、冒険ファンタジー(笑)を描かせていただけることに。

SQ:『Landreaall』の原型になるお話って、同人誌で描いていらしたんですよね?

おがき:はい。『クレシェンドマリオン』という作品を描いていました。

(一迅社・担当氏):がっつりファンタジー漫画を描きたいということで、その同人誌の作品をリメイクというか、描き直して連載スタートしたんですよ。「ヤングキングアワーズライト」はお兄さん向けの雑誌だったんですが、「ゼロサム」は中高生女子読者が多いので、男子をいっぱい出さないと受けないだろうから(笑)、主人公に友達を作ろうよと言ったら、おがきさんも面白がってくれて。

★――王国の世界観とか、政治的なこととかをしっかり作り込まれていて、男性ファンも多いそうですが、設定はけっこう細かく決めているんですか?

おがき:世界観とか社会設定とかは、実はそんなに考えているわけではないんですけど(笑)、人間のことはすごく考えます。そのキャラがどんな人かって考えたときに、その人に関係のある社会の姿が見えてくるんです。箱庭をずっと眺めているというか、たくさんの定点カメラがあって、そのカメラのスイッチを頭の中で切り替えてシーンを見てる感じで…。その世界の中に、透明人間のように入り込んで見ているので、こんな読者さんならこういうカメラで見たいだろうと、読み手の視点になりきらないと、画面が見えてこないんですけど。

SQ:社会状況とか、政治まわりのこととかで、「ここから見るとこの動きはこうなる」って複眼で見られるのって、女性作家でできる方はそんなに多くないような気がします。

担当氏:そうですね。キャラの関係性や性格みたいな部分に集中する方が多いかもしれない。

SQ:どの手法が良いとか悪いとかいうことではないですけど、『Landreaall』は相当デカいフィールドで描かれてる印象がありますね。

おがき:女性らしくないとはよく言われます。ペンネームが「ちか」なのに、男性作家だと思われていることがあって(笑)。

SQ:こう言うのもナンですが、アカデミーで登場する女子学生たちも、「男から見てかわいい女の子だったりするんですよね。男子にとって、こういうふうな会話をしててほしいな〜目線というか(笑)。たくさんのカメラから眺めるような感覚があるから、多重構造で描けるんでしょうね。

★――各キャラから見た社会はこう…っていう視点もうまく絡み合っていますが、キャラについてはどんな工夫をされていますか。特に学園編に入ってから、いろんなタイプの生徒が出てきますよね。軍人、商人、スター騎士…。

おがき:乙女ゲームの雑誌などで、女の子向けに用意されている男の子のバリエーションをよく読み込んで…作っていますね。まずは、職業分けからキャラを立てます。『ウィザードリィ』っていうゲームが好きで、忍者、僧侶、魔法使いとか…。

SQ:ああそうか、ウィザードリィってそういうゲームですもんね。キャラ立ての参考になりますね。

おがき:でも、正直、ゼロサムを読んでいる読者さんが、どんなキャラを好きか嫌いか掴みきれないので、いろいろ取り揃えて、反応を見ようと思っていたんです。それで人気キャラが絞れてきたら、あざとくパーティーメンバーを選んでいこうと思ってたんですけど、けっこう皆さんの好みがバラけていて、結局、オールキャラを引き連れている状態になって、どうしようかと(笑)。

担当氏:例えば最新の15巻で、「フィル」という貧民層出身の奨学生が出てこないので、フィル好きの読者は焦れてますね。

おがき:もー、スミマセン。たまにはそういうこともありますが、また順番が回ってきますので。好きなキャラが出てこない巻は寂しいし買わない、という読者さんもいますから、回転を速くしていきたいとは思っています。

★――読者によって、いろんな読み方をされる作品なんですね。

おがき:作品はどう読んでいただいても構わないので、自分がどんなつもりで描いたとかはどうでもいいんです。ゲームとか小説とか、自分が取りこんできたものの中から、ただ皆さんに楽しんでいただけるタマを投げたいんですけど、乙女心をもつ担当さん(♂)に「それ、ボール球だから」とよく言われてます(笑)。

SQ:少なくとも、我々オトナにとってはストライクゾーンですが。

おがき:いや、「ゼロサム」読者の中学生の女の子のストライクゾーンには……(笑)。まだまだハッタリが足りないのかなぁ。

(担当氏):20〜30代とかの漫画好きの方々にはハマるようで、3〜4巻まで読み進めてくれた方は、ずーっと離れないでいてくださるんですが…こんなティーンズ漫画雑誌に載っている作品を、なんで三十男子達がすごく熱くネットで語っているんだ!? っていう(笑)。

SQ:折々の深いセリフとか伏線とか、社会性とか、20〜30代男子が分析したがるのはわかります。

おがき:私が描きたいことをうまく描けてないから、描き足りてない部分を読者さんに補完してもらいながら読んでもらってるような。それが楽しいって言ってくださる方もいますが、自分では力不足だなと…。

SQ:いえ、読み手に、+αを想像させる材料がほどよく沢山あるということですから。そういう意味でも、オトナ受けする作品かもしれませんね。

おがき:ネットでけっこうレスポンスがあるので、今はすごくいい時代だなーって。ネットで声をあげてくれる人が、かなり限定されているのはわかってるし、読者さんの意見でお話の展開が左右されたりってことはまずないんですけど、話をどう描くか、どこを強調するかとかって演出は、どんな人が何を考えて読んでるか想像しながら絵や小ネタを作ることもあるので…。

SQ:ある意味、キャッチボールしながら描いてる感じっていう。

おがき:そうですねー、読者さんがどんな人か想像しないと私は描けないので。でも、やっぱり年代も性別もかなり幅が広くて、カテゴライズできないくらい、いろんな感想をもらえて、そのみんなに面白くなるように描こうとして混乱しています。最近は特にそう。もともと同人誌をやっていたころっていうのは、買ってくれる人が読んでくれる人なので、すごく距離が近くて。商業誌はそういうことがないんで、どんな人に向かって描けばいいのかわかりにくいし、わかったらわかったで難しいですね。