★――ゲームや小説、そして美大での経験…今まで吸収されてきた文化が、作品にも生きている気がします。
おがき:小説が好きで影響を受けてきたせいか、小説っぽい作りだとよく言われます。絵がうまくないんで、表現しきれないところは結構あるんですけど…それを逆手にとって、いらないものは描かないで、見せたいところだけを描けばいいかなと。
SQ:そういえば、この作品はファンタジーに必須のものが、あんまり出てこないですね。魔法とか。
おがき:私の画力だと、大魔法とかはちょっと…映画に比べたらもう、迫力負けしちゃうし、表現しきれないんで、そういう魔法とかはあまり使わない世界にしようかと。
SQ:そういうフシギ部分が抑えめだからこそ、現実の制限の中でキャラクターがどう切り抜けられるかっていうことが、読者にもすごくリアルに感じられる。「武器がこのくらいの重さだから、じゃあ20本持っていこう」とか。
おがき:あと、漫画だからこそできることは、絵とセリフにギャップが付けられることかな。ティティとか、太っていてコミカルなキャラなんだけど、頭が良くて指揮官ができるというギャップは、絵で見せた方が映える。小説で、セリフの後に「だが表情に違和感がある」って書くと、読者みんながそれに気付いちゃいますけど、漫画だと、例えば「目立たないように」描けたり、キャラクターによって気付くキャラと気付かないキャラがいるってことを1コマで描けます。そういうふうに描けるところが漫画のいいところなので。
★――キャラやエピソードの交錯具合も、巧みですよね。終わりが予測できない感じがあって。
おがき:あるエピソードを完全に終わらせちゃうと、後で使えなくなっちゃうんで。放置しておくと、後で使えるし、だいたい何事も…本当は始まりと終わりっていう区切りってないじゃないですか、人生の中のいろんな出来事って。例えば恋愛も、「いま始まって、ハイ終わり」みたいなものはなく、絶えず変化する過程の一部だし、変化しなくなっても、いらなくなるわけじゃないので。そういう意味でも、世界はすごくよくできていて、変化しながら影響し合うんだっていうファンタジーを描きたいんです。
SQ:彼らの動いてる軸が単に恋愛とかじゃなくて、ちゃんとそれぞれの立場で、人生を良くするために生きていますよね。
おがき:ずーっと戦っています、みたいな、すごく厳しい世界を描くファンタジーも多いじゃないですか。誰々を倒したり、侵略されている国を取り戻したり…とか。そういう目的があったほうがわかりやすいし、面白くて大好きな作品がいっぱいあるけど、自分は別の面白さを探そうと思っています。家族や国を良くしよう、幸せにしようって考えてるオトナ…が教育している子ども達なら、絶対いい国が作れるだろうっていう空気が根底にあるお話を。そこに大逆転とかは多分あんまりなくて、だから甘っちょろいと言われるかもしれないんですけど(笑)。
★――「一人一人を尊重しながら、世界をより良くしていこう」みたいな世界観があるからこそ、この作品は“オトナ萌え”を呼ぶのかもしれませんね。おがきちか先生、どうもありがとうございました!!
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