[アグリッパ-AGRIPPA-]内水融

Web連載
12/11/02
前回までのあらすじ

 ――紀元前52年、ガリア(現フランス)は、ユリウス・カエサルの侵攻によりローマに支配されていた。圧倒的な武力と差別によって、厳しい迫害を受ける人々。そんなガリアの中に、ローマに反旗を翻す男が現れる。かつてローマに全てを奪われた者、ヴェルチンジェトリクス。彼の奮起は、誇りを失ったガリア人の心に再び火を灯していき、次第にガリアの団結を強めていく。

 ここに反ローマ戦争の狼煙があがった――…

 ゲルゴヴィアにてカエサルを迎え撃つヴェルチン。反ローマ軍の劣勢は否めず、少しずつ兵は減っていき、ついにはゲルゴヴィアの生命線である“北東の丘”が攻め落とされてしまう。だが、ヴェルチンはすでに策を打っていた。ローマ軍を援護すべく戦地に向かう、ヘドゥイ族の軍勢へ、タラニスを送り込んでいたのだ。タラニスは、凄まじい覚悟をもって参謀・リタウィクスを仲間に引き入れ、落城寸前のゲルゴヴィアに、ヘドゥイ族と共に到着。以前のヴェルチンの作戦により、兵糧が不足していたローマ軍にとって、ヘドゥイ族の離反は致命的だった。ローマ軍は撤退を決め、ついにヴェルチンは正面からカエサルに勝利。しかし、リタウィクスがタラニスに出した仲間になる条件は、「カエサルを倒した後、ヴェルチンの築き上げたガリアの王の座をもらう」というものだった…。それを承知した上で、兵の士気を高めローマを追撃せんとするヴェルチンだが───!?

キャラクター紹介
  • ヴェルチン
    本物語の主人公。ガリアのアルヴェル二族族長の息子に生まれたがクーデターにより国を追われ、ローマの傭兵として生きることで一族を養っていた。しかしローマ人であり、戦友でもあった「アントニウス」に裏切られ、一族を皆殺しにされる。ヴェルカッシと共に打倒ローマに立ち上がる。
  • ヴェルカッシ
    ヴェルチンの従兄。共に打倒ローマを掲げている。剣においては、幼くしてアルヴェルニ随一と言われていた腕の持ち主で、ヴェルチンの師匠でもある。冷静な判断で、熱くなりがちなヴェルチンの歯止めの役割も担っている。
  • タラニス
    前カルヌテス族長であり、英雄であった「アッコ」の息子。ヴェルチンに命を救われ、父と似た匂いを持つヴェルチンに着いていくことを決める。
  • グトゥルアトス
    現カルテヌス族族長。タラニスの意見を尊重し、タラニスを支える存在。
  • ケルティルス
    アルヴェルニ族の前族長にしてヴェルチンの父。かつて英雄と呼ばれ、ローマに戦いを挑んだが、弟の裏切りにより殺される。
  • ゴバンニティオ
    ケルティルスの弟。クーデターを起こし兄を殺害した後、アルヴェルニ族族長となる。現在はローマと同盟を結び、アントニウスに従っている。
  • マルクス・アントニウス
    ローマの軍人。ヴェルチンとヴェルカッシの宿敵。戦友であったヴェルチンを裏切った後、ヴェルチンの村を滅ぼし、民を皆殺しにした張本人。また、ヴェルチンに村を与えたのもアントニウスがしたこと。
  • セクアナ
    ヴェルカッシの妹。ヴェルチン達がゲルゴヴィアから逃げる際、死んだと思われていたが、人質として生かされていた。民からの人望が厚く、奴隷のような辛い生活の中でも行き抜く、強さと優しさを持っている。
  • ユリウス・カエサル
    (ユリアクス)
    絶大な力を誇るローマ軍の総司令官。ヴェルチン達にとって最大の敵であり、部下達からも絶対的な信頼を寄せられている。
  • ガイウス・オクタヴィウス・ トゥリヌス
    ユリウスの家系に生まれた少年。カエサルは大叔父にあたる。軟弱(モリティア)の異名を付けられているが、実際は意思の強さと、冷酷な一面を持ち合わせている。カエサルからも一目置かれている存在。
  • コンミウス
    アトレバテース族の族長。“ガリアで最も英明な族長”にして、“最もローマのことを知る男”と言われている。ローマ軍への鞍替えも考慮していたが、ヴェルチンの器の大きさを目の当たりにし、反ローマ軍につくことに。
  • リタウィクス
    長年ローマと同盟を結んでいた、ガリアの二大最強部族の一つ・ヘドゥイ族の参謀であり“影の支配者”。彼の眼中にあるのは自分の利益のみで、戦には極力加担せず、勝てると決まってから本気を出すという考えの持ち主。
『アグリッパ-AGRIPPA-』全4巻 内水 融
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