
19世紀末――。古くから根付く完全階級制度により、上流階級の人間達に支配されている「大英帝国」。生まれ落ちた時から一生涯の身分が決まるこの社会制度は、必然的に人間同士の差別を生んだ。そんな中、階級制度による悪を取り除き、理想の国を作ろうとする青年がいた。これはジェームズ・モリアーティ、或いはシャーロック・ホームズの敵の話――。
最後の事件から3年後、ウィリアムは犯罪卿から英国を護る相談役となり、暗躍していた。
国内で密かに取り引きされているという正体不明の薬物。ルイス達は情報部長官・マイクロフトから、その薬物の流通ルートの調査・元締めの正体・拡散目的を突き止める指令を受ける。
水圧機の秘密を知ってしまったハザリーは殺されたかに思えたが、ヘルダーとエリーゼにより救出。屋敷は燃やされすべては闇に葬られた。
ヘルダーは不信感を持つダーレム研究所にあえて帰還。意外にも帰還を喜ばれ、迎えてくれたマルコ先生に自身の潰された目のことを聞くと、すんなり知らない過去を語りだした。そこで、目を奪ったのはヘルダーの父親・ダーレム研究所局長であること、その理由は彼の妻…つまりヘルダーの母親が失った視力を取り戻すための“パーツ”にされたこと。そしてその手術は失敗したことだった。
さらに、何故ここまで真実を話すのかマルコ先生に尋ねると、それはヘルダーが今回の任務で「命令外の事はやらない」「余計な事は聞かない」「視覚から不用意に情報を取得しない」その全てを期待通りこなし工作員(エージェント)として完成したからだと言う。
全てを知ったヘルダーは、研究所を「悪魔達の巣」であると断定。手始めにマルコ先生を手にかけ、研究実験のためなら非人道も辞さない連中を次々始末してまわる。
最後に局長室を訪れたヘルダーは、保存処理された母の遺体と対面。父は彼女を蘇らせる研究をしており、そのためにヘルダーだけでなく様々な人々から臓器を奪ってきたのだ。
父が執着する母の遺体に彼の目の前で火をつけ、そのまま失意の父を殺害…二つ奪われたから二つ奪うだけ。そう言い放つとヘルダーは燃え盛る研究所を後にした―――。