憂国のモリアーティ 原案/コナン・ドイル(「シャーロック・ホームズ」シリーズ) 構成/竹内良輔 漫画/三好 輝

前回までのあらすじ

ストーリー

 19世紀末――。古くから根付く完全階級制度により、上流階級の人間達に支配されている「大英帝国」。生まれ落ちた時から一生涯の身分が決まるこの社会制度は、必然的に人間同士の差別を生んだ。そんな中、階級制度による悪を取り除き、理想の国を作ろうとする青年がいた。これはジェームズ・モリアーティ、或いはシャーロック・ホームズの敵の話――。


 モランの元・部下ダリルがマネーペニーを人質にして現れ、モランの部隊配属前から公爵の手下であることが判明する。大戦を恐れ、ロシアをアフガンに足止めするため、アフガン戦争の継続を計り、英国兵に死を与えてきた公爵。その所業を悪だと承知の上で、それを少しの兵士の犠牲で三千万の英国民を救うという正義だと言い切り、愛国者であることを訴えるダリル。そんな二人は、このパーティーにもテロに見せかけた爆破工作をしていた。そんな中、ダリルに「仲間になりませんか?」と持ち掛けられたモラン。その申し出を了承した直後、モランの手によりマネーペニーは銃殺されてしまう。


 屋敷は爆破され、喜ぶダリルに銃を突きつけ、裏切ったモランは、今まで仲間を駒として扱ってきたダリルに怒りをぶつける。けれど、彼の慈悲によりダリルに自害を選ばせるが、大義よりも自分の命が大事だったダリルは、モランを撃つ。でも、その銃弾はペイント偽装弾で!? その頃、同じくペイント弾で撃たれていたマネーペニーは、パーティーの出席者を退避させていた。任務通り、ダリルを殺し、公爵を事故死に工作したモランは、2度の任務達成により、公式にMI6の工作員となる。


 公爵とウィリアムのやっていることが同質のものと思うマネーペニーだったが、モランに理想の国を作るため、自らの命を犠牲にしてでも目標を達成するという覚悟の違いを諭される。そして、復讐に囚われていたモランに過去のしがらみがなくなり、彼のすべてがウィリアムに捧げられ…。

キャラクター紹介
  • ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ
    孤児であったが、字の読み書きができ博識。アルバートの実弟になりすまし、実弟の名である“ウィリアム”を名乗っている。現在は、数学教授と私立相談役を生業にしている。
  • アルバート・ジェームズ・モリアーティ
    モリアーティ家の長男。階級制度や貴族である家族をも軽蔑していた。慈善活動先の孤児院でウィリアムとルイスを養子に迎え入れた。現在は公には陸軍を退役した扱いだが、MI6の指揮官"M"。
  • ルイス・ジェームズ・モリアーティ
    ウィリアムの弟。病を患っていたが、モリアーティ家に引き取られ手術を受けて完治した。現在はモリアーティ家領地の管理や屋敷の執務をしている。
  • セバスチャン・モラン
    ウィリアムに絶対の忠誠を誓う右腕。カードの達人、狙撃の名手。音のしない銃を扱う。普段はモリアーティ家で使用人をつとめる。
  • フレッド・ポーロック
    ウィリアムの犯罪相談の窓口をつとめる。イギリス中の犯罪ネットワークに通じる情報屋。密偵や暗号解読に長ける。
  • シャーロック・ホームズ
    自称、世界でただ一人の諮問探偵。自分の興味があることだけにしかかかわろうとしない。抜群の推理力だけではなく、格闘術など身体能力にも長ける。労働者階級の訛った話し方をする。
  • ジョン・H・ワトソン
    アフガン戦争で軍医をしていたが、負傷し送還された。ホームズと221Bでルームシェアを開始する。
  • ハドソン
    ホームズとワトソンが住む221Bの家主。自分を省みないホームズを心配している。本人曰く、永遠の17歳。
  • レストレード警部
    ロンドン警視庁の警部。未解決のものなどヤードが手に余る事件をホームズに依頼していた。ヤードの中でもホームズを信頼している。
  • マネーペニー
    元MI5所属の諜報員。現在はMI6の指揮官"M"の秘書。アフガン戦争の終結という任務でモランのサポート役となった。ウィリアムに忠誠を誓っている。
  • フォン・ヘルダー
    MI6の仕事の時のみ"Q"を名乗る。盲目の天才ドイツ人技師。音のしない銃を開発製造したり、作戦に必要な装備品を生み出している。
  • マイクロフト・ホームズ
    シャーロック・ホームズの兄。情報部の長官の職にあり、アルバートの直接的な上司。
  • グラハム・ダンダーデール公爵
    インド総督にして、ヴィクトリア女王の大叔父。アフガン戦争を継続する目的のため、英国から武器をアフガン軍に密輸している。