憂国のモリアーティ 原案/コナン・ドイル(「シャーロック・ホームズ」シリーズ) 構成/竹内良輔 漫画/三好 輝

前回までのあらすじ

ストーリー

 19世紀末――。古くから根付く完全階級制度により、上流階級の人間達に支配されている「大英帝国」。生まれ落ちた時から一生涯の身分が決まるこの社会制度は、必然的に人間同士の差別を生んだ。そんな中、階級制度による悪を取り除き、理想の国を作ろうとする青年がいた。これはジェームズ・モリアーティ、或いはシャーロック・ホームズの敵の話――。


 アフガン戦争に従軍していたモランは、人望の厚い隊長であった。貴族社会を嫌っていたモランだが、彼の工兵部隊はそういった見栄や権謀術数といったものがなく、肩を寄せ笑い合う家族のような存在となっていた。そんな中、部隊の移動時、待ち伏せていた敵に襲われ部隊はモランを残し全滅。部隊全員が名誉の戦死となり、モランは公式に戦死として片付けられた。その襲撃のきっかけとなった部隊への移動命令を出したのが、他でもないインド総督であるダンダーデール公爵ではないかと疑念を抱く。さらに、部隊の誰かの手引きなしには起こりえない事態に、モランは裏切りものに復讐を果たすべくロンドンへ戻ることに。


 モランの過去をウィリアムから伝達されたマネーペニーは、計画を予定通り遂行すべく、モランの行動に気を配るよう命が下る。 そして、ダンダーデール公爵のパーティーに乗り込んだ二人。モランと公爵を二人きりにし、室内で事故に見せかけ殺害するプランは、容易く事を運び、モランと公爵は二人きりに。仲間の恨みを晴らすため、モランが公爵に銃口を向けたとき、かつての部隊の仲間だったダリルがマネーペニーを人質にしてやってきて…!?

キャラクター紹介
  • ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ
    孤児であったが、字の読み書きができ博識。アルバートの実弟になりすまし、実弟の名である“ウィリアム”を名乗っている。現在は、数学教授と私立相談役を生業にしている。
  • アルバート・ジェームズ・モリアーティ
    モリアーティ家の長男。階級制度や貴族である家族をも軽蔑していた。慈善活動先の孤児院でウィリアムとルイスを養子に迎え入れた。現在は公には陸軍を退役した扱いだが、MI6の指揮官"M"。
  • ルイス・ジェームズ・モリアーティ
    ウィリアムの弟。病を患っていたが、モリアーティ家に引き取られ手術を受けて完治した。現在はモリアーティ家領地の管理や屋敷の執務をしている。
  • セバスチャン・モラン
    ウィリアムに絶対の忠誠を誓う右腕。カードの達人、狙撃の名手。音のしない銃を扱う。普段はモリアーティ家で使用人をつとめる。
  • フレッド・ポーロック
    ウィリアムの犯罪相談の窓口をつとめる。イギリス中の犯罪ネットワークに通じる情報屋。密偵や暗号解読に長ける。
  • シャーロック・ホームズ
    自称、世界でただ一人の諮問探偵。自分の興味があることだけにしかかかわろうとしない。抜群の推理力だけではなく、格闘術など身体能力にも長ける。労働者階級の訛った話し方をする。
  • ジョン・H・ワトソン
    アフガン戦争で軍医をしていたが、負傷し送還された。ホームズと221Bでルームシェアを開始する。
  • ハドソン
    ホームズとワトソンが住む221Bの家主。自分を省みないホームズを心配している。本人曰く、永遠の17歳。
  • レストレード警部
    ロンドン警視庁の警部。未解決のものなどヤードが手に余る事件をホームズに依頼していた。ヤードの中でもホームズを信頼している。
  • マネーペニー
    元MI5所属の諜報員。現在はMI6の指揮官"M"の秘書。アフガン戦争の終結という任務でモランのサポート役となった。ウィリアムに忠誠を誓っている。
  • フォン・ヘルダー
    MI6の仕事の時のみ"Q"を名乗る。盲目の天才ドイツ人技師。音のしない銃を開発製造したり、作戦に必要な装備品を生み出している。
  • マイクロフト・ホームズ
    シャーロック・ホームズの兄。情報部の長官の職にあり、アルバートの直接的な上司。
  • グラハム・ダンダーデール公爵
    インド総督にして、ヴィクトリア女王の大叔父。アフガン戦争を継続する目的のため、英国から武器をアフガン軍に密輸している。