憂国のモリアーティ 原案/コナン・ドイル(「シャーロック・ホームズ」シリーズ) 構成/竹内良輔 漫画/三好 輝

前回までのあらすじ

ストーリー

 19世紀末――。古くから根付く完全階級制度により、上流階級の人間達に支配されている「大英帝国」。生まれ落ちた時から一生涯の身分が決まるこの社会制度は、必然的に人間同士の差別を生んだ。そんな中、階級制度による悪を取り除き、理想の国を作ろうとする青年がいた。これはジェームズ・モリアーティ、或いはシャーロック・ホームズの敵の話――。


 プリマドンナになるはずの自分と同じ平民出の後輩女優が階級制度により自死に追い込まれたことから、貴族に取り入り、努力が報われる世界に変えようとしていたアイリーン。だが、犯罪卿・アルバートの階級制度にとらわれた世界を犯罪によって変えていくという目的に感化され、アイリーンは彼に文書を渡すことを決意する。


 そして、シャーロックに気づかれぬよう文書を持ち出すために221Bに戻ろうとしたとき、アパートが爆発。手段を問わなくなった政府からの襲撃を恐れ、アイリーンは真っ先に文書の隠し場所へ行くが、221B爆発はシャーロックの策であり、文書をあぶり出すことが目的だった! その文書の内容は、「大英帝国がフランス革命を密かに陰から操っていた——」という作戦書であった。アイリーンの手に負えない内容だと悟ったシャーロックは、アイリーンの態度から彼女に取引を持ち掛けたのは政府ではなく“犯罪卿”だと勘づいて…!?

キャラクター紹介
  • ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ
    孤児であったが、字の読み書きができ博識。アルバートの実弟になりすまし、実弟の名である“ウィリアム”を名乗っている。現在は、数学教授と私立相談役を生業にしている。
  • アルバート・ジェームズ・モリアーティ
    モリアーティ家の長男。階級制度や貴族である家族をも軽蔑していた。慈善活動先の孤児院でウィリアムとルイスを養子に迎え入れた。現在は公には陸軍を退役した扱いだが、MI6の指揮官"M"。
  • ルイス・ジェームズ・モリアーティ
    ウィリアムの弟。病を患っていたが、モリアーティ家に引き取られ手術を受けて完治した。現在はモリアーティ家領地の管理や屋敷の執務をしている。
  • セバスチャン・モラン
    ウィリアムに絶対の忠誠を誓う右腕。カードの達人、狙撃の名手。音のしない銃を扱う。普段はモリアーティ家で使用人をつとめる。
  • フレッド・ポーロック
    ウィリアムの犯罪相談の窓口をつとめる。イギリス中の犯罪ネットワークに通じる情報屋。密偵や暗号解読に長ける。
  • シャーロック・ホームズ
    自称、世界でただ一人の諮問探偵。自分の興味があることだけにしかかかわろうとしない。抜群の推理力だけではなく、格闘術など身体能力にも長ける。労働者階級の訛った話し方をする。
  • ジョン・H・ワトソン
    アフガン戦争で軍医をしていたが、負傷し送還された。ホームズと221Bでルームシェアを開始する。
  • ハドソン
    ホームズとワトソンが住む221Bの家主。自分を省みないホームズを心配している。本人曰く、永遠の17歳。
  • レストレード警部
    ロンドン警視庁の警部。未解決のものなどヤードが手に余る事件をホームズに依頼していた。ヤードの中でもホームズを信頼している。
  • マネーペニー
    元MI5所属の諜報員。現在はMI6の指揮官"M"の秘書。アフガン戦争の終結という任務でモランのサポート役となった。ウィリアムに忠誠を誓っている。
  • フォン・ヘルダー
    盲目の天才ドイツ人技師。音のしない銃を開発製造したり、作戦に必要な装備品を生み出している。MI6では兵器課長を務め、"Q"と呼ばれる。
  • マイクロフト・ホームズ
    シャーロック・ホームズの兄。情報部の長官の職にあり、アルバートの直接的な上司。シャーロック曰く「政府そのもの」。
  • アイリーン・アドラー
    米国生まれの元プリマドンナ。男装の麗人。盗みの腕も立ち、バッキンガム宮殿から機密文書を盗み出す。