青の祓魔師 加藤和恵

前回までのあらすじ

ストーリー

 人間の住む物質界<アッシャー>と悪魔の住む虚無界<ゲヘナ>。本来は干渉することすらできない二つの次元だが、悪魔はあらゆる物質に憑依し、物質界に干渉していた。しかし人間の中には、そんな悪魔を祓う——祓魔師<エクソシスト>が存在していた。燐の父、藤本も優秀な祓魔師だったが、燐を狙ったサタンに憑依され、命を落としてしまう。サタンの血を引く燐は人類の脅威。死を要求される燐だったが、彼は父親と同じ祓魔師として戦う道を選ぶ——!


 祓魔師達は、受肉したサタンを崩壊させることに成功するも、地球そのものと融合をし始めたサタンの心臓は、それを核として巨大な城塞を建造。内部は迷路状となっており、さらにその入り口はイルミナティによって占拠。サタンの城塞迷路を攻略し、その心臓の破壊、もしくは封印をしなければ人類に明日は無い中、祓魔師たちは班分けをして城塞へ突入を開始する!


 A班の四大騎士・オセオラと、シュラが、魔導書に名を連ねる悪魔・アモンとアスモデウスを抑え、燐たちB班の城塞突入の道を切り拓く。

 アモンの前に力尽きたオセオラ。アモンが自身の受肉体諸共周囲一帯を滅ぼす火球を形成し始める中、走馬灯を見る。
 「死に方」を求め祖国を飛び出した彼は、成り行きから祓魔師となり、最愛の妻と出会い、愛娘を得た。しかしその幸福は長く続かず、愛娘の事故死を境に悲しみから仕事に逃げ、妻にも去られ、全てがどうでもよくなっていった。そんな中出会ったのは天性の才能を持った子供…後に四大騎士の一角を担うことになるルーイン・ライトであった。
 周りから危険視される彼を捨て置けず、引き取ったオセオラは、彼の山のような質問に答え続け、愛情を注ぎ、彼に笑顔と居場所を与えるのだった。


 目を覚ましたオセオラは、転生してまで生きるアモンに、それは何故かと問うと同時に「私はここで死ぬ」と宣言。その言葉を聞き、意図を汲んだルーイン・ライトが制止する声も聞かず、オセオラは、手製のチョコバーを頬張る。
 チョコバーに含まれていたのは鬨剤(ウォークライ)と呼ばれる高揚誘発剤であり、これを摂取することで一時的に悪魔を強制憑依させる秘術で、圧倒的な力を得る一方代償として、使用者の死は避けられない禁術であった。


 悪魔の力を身に宿し、その怪力でアモンを圧倒するオセオラは、遂にはアモンの胴を真っ二つに引きちぎり――――!?

キャラクター紹介
  • 奥村 燐
    (おくむら りん)
    修道院暮らしの普通の少年だった。実の父親がサタンだったと判明し、その力も受け継いでいたため、サタンや悪魔たちに狙われることになる。祓魔師の道を志す。
  • 藤本 獅郎
    (ふじもと しろう)
    燐・雪男を始めとする修道院の子供の後見人。神父であり、祓魔師だった。サタンに身体を乗っ取られるも、燐を傷つけないよう自害する。
  • 奥村 雪男
    (おくむら ゆきお)
    燐の双子の弟。燐と共に超名門の正十字学園に通う。医者になるのが将来の夢。身体が弱く未熟児で生まれたため、サタンの力は受け継いでいないが祓魔師の資格を持つ。対・悪魔薬学の天才。
  • メフィスト・フェレス
    藤本の友人にして正十字騎士團の名誉騎士。公私混同はしない主義だが、面白い面白くないで物事を判断する節がある。正十字学園の理事長もしている。その正体は悪魔の王族・八候王<バール>の一人にして、時間と空間を掌る虚無界の第二権力者・時の王サマエル。
  • サタン
    燐の真の父親にして虚無界を統べる悪魔の頂点。サタンの血を引きながらも物質界に存在できている燐を利用して、物質界も我がものとしようとしている。
  • 杜山 しえみ
    (もりやま しえみ)
    祓魔師御用達の用品店の娘。自分のせいで、祖母を失ってしまったと後悔する弱みに付け込まれ、花の悪魔に取りつかれていた。悪魔を祓った後は祓魔師の塾に自分を鍛えるために入塾する。
  • 勝呂 竜士
    (すぐろ りゅうじ)
    成績優秀で身体能力も高い、祓魔師の塾生で、見た目とは裏腹に授業態度もいい。京都の由緒ある寺の後継ぎ。サタンを倒し落ちぶれた実家の寺を再興させるため、祓魔師を目指す。
  • 神木 出雲
    (かみき いずも)
    巫女の血統の塾生。悪魔を召喚し、使い魔にする才能がある。しかし精神面はやや弱く、友人の朴の塾をやめたいという発言に心が乱されてしまう。
  • アマイモン
    悪魔の王様で燐の兄のようなモノだと名乗る。燐に興味を持つようだが…!?その正体は八候王の末席で、虚無界の第七権力者・地の王。
  • 霧隠 シュラ
    (きりがくれ シュラ)
    上一級祓魔師にして上級監察官。日本支部の危険因子の存在を調査するため、正十字騎士團ヴァチカン本部から派遣された。祓魔師の候補生に紛れていた。藤本に師事していた。
  • 志摩 廉造
    (しま れんぞう)
    勝呂の父(和尚)の弟子。女の子大好き。虫が絡むと途端にダメになる。イルミナティのスパイとして祓魔塾に潜入していた。
  • 三輪 子猫丸
    (みわ こねこまる)
    志摩と共に勝呂の父の弟子。マジメだが、気さくで周囲を和ませる。
  • アーサー・オーギュスト・エンジェル
    ヴァチカン本部勤務の上一級祓魔師。現聖騎士にしてシュラの直属の上司。聖人のような顔だが、悪魔に対してはまったく容赦はない。
  • 志摩 柔造
    (しま じゅうぞう)
    宝生家と共に明陀宗の門徒をまとめる僧正血統・志摩家の次男。上二級祓魔師。
  • 宝生 蝮
    (ほうじょう まむし)
    志摩家と共に明陀宗の門徒をまとめる僧正血統・宝生家の長女。中一級祓魔師。
  • 勝呂 達磨
    (すぐろ たつま)
    竜士の実の父で明陀宗の当主。当主らしからぬ行動・放蕩ぶりに不信感を抱く者も多い。
  • 藤堂 三郎太
    (とうどう さぶろうた)
    正十字学園「最深部」の部長を務める、上二級祓魔師。しかし悪魔落ちし、正十字騎士團の敵に回る。
  • 宝 ねむ
    (たから ねむ)
    あらゆる人形を召喚し操ることができる傀儡師<パペットマスター>。燐達と同じ祓魔師塾塾生だが、称号がないだけでその実力は一般祓魔師以上。燐達の1学年上。玩具会社「宝ホビー」の社長子息でもある。
  • ルシフェル
    啓明結社イルミナティの総帥にして、虚無界の実質最高権力者・光の王。「苦悩から解き放たれた真に平和な世界」を目的に掲げ、サタンの復活と虚無界・物質界の融和を企む。
  • 神木 玉雲
    (かみき たまも)
    出雲とその妹・月雲の実の母。神木家、六十四代目の宮司として“玉雲”を名乗る。頼りないが、強力な神通力を持つ。恋に心惑わされたところを魔に魅入られ、鎮めていた九尾と同化してしまう。
  • 外道院 ミハエル
    (げどういん ミハエル)
    稲生ゆめタウン内のイルミナティ研究所の最高責任者。九尾の力を得られる出雲達親子を研究・調査し、人体の細胞を活性化させる不死の妙薬・エリクサーを作ろうとしている。
  • ルーイン・ライト
    ライトニングと呼ばれる。正十字騎士團の四大騎士で聖騎士の右腕。奔放に振る舞うが、実質、騎士團のNo.2。
  • アザゼル
    八候王でありながら三賢者を務めている、人の味方をした氣の王。現在は肉体が劣化しても自然に朽ち果てることを選んだため結晶化し、話が出来ない状態。
  • ユリ・エギン
    燐と雪男の母親ですでに死亡している。サタンの子を宿した重罪人として、ほとんどの情報が機密扱いとなっている。明るくてやさしい綺麗な女性。
  • 藤堂 誉
    (とうどう ほまれ)
    イルミナティのメンバー。ルシフェルを崇拝していて、親衛隊 金の星(フォスフォロス)の隊長を務めている。