明治十六年。剣心が不殺を誓った流浪人として東京に流れ着いて5年。神谷道場に、剣心の宿敵・志々雄の遺刀「無限刃」を継ぐ青年・明日郎と、白人との混血児・阿爛、更に謎の女・旭を道場に迎え、かくも平穏な日々を過ごしていた。
そんな中、西南戦争で死んだはずの薫の父・越路郎が北海道・函館で生きていることが判明。剣心と薫は越路郎を迎えに函館に行く事を決める。しかし、剣心たちを北の地で待っていたのは、日本中の“猛者”を集め、時には戦乱を故意に引き起こすことで“実戦経験”を積ませ、外国勢力に対する戦力増強を掲げる「劍客兵器」たちとの戦いであった―――!!
五稜郭にて始まった剣心一行VS劍客兵器。劍客兵器の仕掛けた土煙によって分断され、劍客兵器に手分けをして対処する剣心一行。その中で剣心と、十本刀最強の剣士“天剣”の瀬田宗次郎と相対する凍座。
最強二人の技を受けきった凍座は、自身が初めて視た「闘姿」を想起する。
江戸末期、赫力さえも会得しつつも“猛者を育む地獄”と縁が無かった氷座は、終ぞ劍客兵器に選ばれることはなく、それでも諦めきれず実戦本意の武者修行に明け暮れていた。
そんな中、吹雪吹きすさぶ越後の雪原の中「雪ノ怪」の姿を見る。この世で地獄を得られぬなら、せめてこの世ならざるものと戦おうと、その影を追い続ける氷座。
しかし追えども一向に近づけぬ影。吹雪も激しさを増し、振り上げた刀で気づかされる正体…それは吹雪と白い闇に映り込んだ自分の影であった。空で、虚ろで、何者にもなれなかった、まさに自分自身であったことに高笑う氷座。
その時、氷座の身に異変が起こる。全身が固まるような氷塊を目の当たりにする。それは彼が初めて目にした「闘姿」であり…凍座自身の「闘姿」であった。
地獄は見れなかった氷座。しかし自身の真の姿を視た氷座は確かに“掴んだ”のだ。如何なる刀も弾も「鎮座する氷塊」の如く全身を固め無効とする「不動凍奴」の真髄を―――!!