大正処女御伽話 桐丘さな

前回までのあらすじ

ストーリー

 時は大正。事故で右手の自由を失い、千葉の田舎で養生する青年・珠彦の元に夕月という少女がやってくる。彼女は、珠彦の世話をさせるためにと彼の父親が買ってきた嫁。世の中の全てに嫌気がさし、引きこもりの厭世家(ペシミスト)となり果てていた珠彦だが、天真爛漫で献身的な夕月と一緒に暮らすことで、少しずつ変わっていく――!


 志磨の名を捨て、婿入りの承諾をもらうために、夕月の実家へと挨拶にきた珠彦と夕月。その晩、珠彦の全てが欲しいという夕月の強い気持ちに負け、珠彦は夕月と同じ布団で初めての一夜を過ごす…。翌朝、珠彦は夕月と共に叔父・曲直部が住む神戸へと戻ることに。


 神戸に戻った珠彦は、叔父の強い勧めで、曲直部の家で立花珠彦として新しい生活を始めることになる。珠子は曲直部の家に養子として引き取られることが決まり、策も医者を目指すことを決心する。各々、自分の道を歩き始め…。

キャラクター紹介
  • 志磨 珠彦
    (しま たまひこ)
    金持ちの家に生まれ、愛情以外は不自由なく育てられた。しかし事故で母親と右手の自由を失う。父親から千葉の別荘と嫁を与えられ養生していたが、試験に合格し晴れて高等学校に転入した。19歳。
  • 夕月
    (ゆづき)
    珠彦の世話をするために、彼の父親に1万円で買われた。天真爛漫な15歳。年齢の割に家事が完璧にできる。珠彦からはユヅと呼ばれることも。
  • 志磨 珠子
    (しま たまこ)
    珠彦の妹。高身長で綺麗な髪を持つ、いわゆる美少女であるが、珠彦曰く他人の負い目につけこんで毒舌を吐く「悪女」。しかし、甘いものが好きで暗闇は苦手など年相応の一面を見せることも。

  • (りょう)
    珠彦・夕月と同じ村に住む娘。二人をからかって楽しんだりするものの、酒浸りの父にかわって弟たちの世話をしたり、面倒見がいい面もある。
  • 美鳥
    (みどり)
    夕月の女学校時代の親友。夕月が珠彦のところへ来てからも、ずっと文通を続けている。
  • 白鳥 ことり
    (しらとり ことり)
    老若男女問わず日本中が夢中の大人気歌姫。京都出身で幼少時代を外国で過ごした。ピアノ、ギター、ヴァイオリンなど様々な楽器を弾きこなす。
  • 白鳥 策
    (しらとり はかる)
    珠彦と同時に私立歌枕(かつらぎ)高等学校に編入した美男子。大人気歌手・白鳥 ことりの双子の兄。
  • 志磨 珠代
    (しま たまよ)
    珠彦の姉。美しい見た目とは裏腹に残忍な面を持つ。羅刹と呼ばれる父親に忠実。