ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」星野 桂 先生 & 肘原えるぼ 先生

《7》洋画やファッション雑誌でインプット

肘原 AKUMAやイノセンスなどのデザインは何から着想を得ているんですか?

星野 AKUMAに関しては卵っぽい形状から始めて、どんどん人型に進化させていこうと決めていました。だからJC第2巻で「育んでくれてどうもありがとう…」とレベル2が言っているんです。ただ細部のデザインについてはその場その場の感覚で描くことが多かったです。今はインターネットの画像検索とかで手軽に写真が見られたりしますよね。でも、当時は大型書店や図書館に資料を探しに行く必要があって…その時間が取れなかったんです(苦笑)。

肘原 AKUMAのデザインはご自身のセンスだけで描かれていたんですか!?

星野 レベル3までは自分の感性のみで描いていました。レベル4は漠然と大人の人間みたいにしようと考えていたんですが、当時の担当さんが「子供の方が怖さが増すんじゃないか」と助言を下さって子供のデザインになりました。

肘原 イノセンス(対AKUMA武器)のデザインはどうやって作られたんでしょうか?

星野 イノセンスのデザインもキャラクター設定を作る時に自然と出てきたデザインです。細部は連載しながら考えて固めていった部分が大きいと思います。というのも、『D.Gray-man』はとてもスムーズに連載が決まってしまったため、ド新人にも関わらず準備期間がほぼ取れなかったんですよ。

肘原 時間が足りなかったということですか?

星野 正直、連載前はデザインを深く考える時間がありませんでした。当時の私は1か月に1本しかネームを作れなかったんです。その状況下で週刊連載を始めることが決まってかなり焦りました。ただ「週刊少年ジャンプ」はとても厳しい雑誌だと理解していたので、『D.Gray-man』は10週で打ち切られると確信し、次回作こそはきちんと準備をしよう!とずっと心に決めていたんです。しかし幸い連載が続き、そこから本格的にデザインを詰めていくことになったわけです。

肘原 キャラクターデザインはいかがですか?

星野 キャラクターについては連載前にある程度固まっていましたが、やはり細部は描きながら決めていった部分も多いですね。そのため、自分でも無意識にデザインを間違えることがあります(苦笑)。キャラクターごとに「顎」の形が違うんですが、アシスタントさんに「アレンの顎がリンクの顎になっていますよ」と指摘されることがあったり…。私よりアシスタントさんの方がしっかりしています(笑)。

肘原 私はデザインに詰まると他のイラストレーターさんのイラストをたくさん見たりするのですが、何かを参考にされることはあるんですか?

星野 今は実写の映画とかドラマですね。あとは雑誌の「装苑」もよく見ます。ファッション系の雑誌をたくさん読んでいた時期もありますし、ゴシック系の洋画をひたすら見ていたこともあります。『D.Gray-man』でデザインに迷った時は、長年一緒にやっているアシスタントさんたちに意見を聞き、多数決で決めることが多いです。

肘原 では団服のアイデアは何かの洋画から得ているんですか?

星野 団服は違います。一番初めの団服だけはモデルとなるコートを資料として購入し、それを参考にデザインしました。