ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」星野 桂 先生 & 肘原えるぼ 先生

《4》緻密な背景はファンタジー作品に必須

肘原 コマ割りや画面作りで意識されていることはありますか? 

星野 読みやすさでしょうか。よく母親から「お前の漫画は描き込みすぎて見づらい!目が疲れる…」と言われるんです。目には優しい画面じゃないことはわかっているんですがその一方、少年誌は背景や小物をしっかりと描きこんだ画面にしなくてはいけないという意識もあってバランスをとるのが難しいです。

肘原 『D.Gray-man』の画面は緻密ですよね。雑誌で読んでいてビックリしました。

星野 私はファンタジーを描いているので、背景や小物にはとても気を遣います。現代劇であれば、蛇口の形とかを読者も知っているじゃないですか。でもファンタジーはゼロベースなので、世界観を綿密に画面で作り上げないと読者に興ざめされるという恐怖感があるんです。この時代の屋根には雨どいはあるのか、この階級の屋敷にあるものは何か、など気になったら逐一スタッフと話し合っています。アシスタントさんも建築を学ばれていた方がいらっしゃって、すごくこだわって下さるんです。さらにその小道具を世界観にフィットさせるために、どの程度の汚しを施すかも考えたりして…。ファンタジー作品は地盤をしっかり固めて、読者がその世界に浸れるようにしないとダメだという気持ちがありますね。

肘原 作品の世界観はアシスタントさんと協力して作り上げられた部分も大きいんですね。

星野 そうです。世界観については全てを1人で構築したわけではないです。モノ作りが好きなアシスタントさんたちが協力してくれたおかげだと思っています。

肘原 最近では、ネアとマナの回想で出てきた麦畑がすごかったです!

星野 あの麦畑は…やりすぎました(苦笑)。植物など自然物はスタッフと私のイメージチャンネルを合わせるのがすごく大変なんです。実は私の心の中にあった麦畑の情景になるまで、部分的なものも含め、15回ぐらいリテイクを出しました。

肘原 1シーンごとにかなり力を入れられているんですね。

星野 麦畑の場合は、読者がページをめくった瞬間にあの世界へ入り込んできて欲しいという思いがあるんです。そこでハマってもらえれば、次回も読んでもらえるじゃないですか。次号も買ってもらいたいという一心で努力をしている部分が大きいです。本来はめんどくさがりや屋なので、現代が舞台ならこんな苦労しないのに…と思うこともあります(苦笑)。