ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」星野 桂 先生 & 肘原えるぼ 先生

《8》1枚絵も漫画のシーンのように制作

肘原 雑誌表紙を担当されることも多いと思いますが、表紙イラストで心がけていることはありますか?

星野 表紙イラストは、その雑誌をお客さんに手に取ってもらえるかどうかを一番意識します。一番初めに読者が目にするイラストなので、まずは表紙として成立するイラストを描きたいと思っているんです。なので、自分の作品らしさが出ているかという点はあまり気にしません。といっても、これを意識できるようになったのは5年前くらいなんですけどね。

肘原 その意識を持たれたきっかけは何ですか?

星野 きっかけ…というよりは経験です。週刊時代によくダメ出しを食らっていたのでそこで随分鍛えられました。『D.Gray-man』はダークファンタジーですが、暗い雰囲気のイラストはジャンプの表紙としてはイマイチだと指摘されることが多くて。当時は編集さんから「ジャンプらしい明るい色を使って」とよく言われていたんです(苦笑)。

肘原 星野先生の表紙イラストは毎回とても素敵ですよね。

星野 ありがとうございます。でも表紙イラストを描くのは一番苦手なんです。表紙は編集部から大まかなラフを頂いて描くのですが、私は何も考えずに「格好良いキャラクターのイラスト」は描けないんです。「格好良い漫画の1シーン」なら悩まず描けるんですけど。

肘原 それは具体的にどういうことでしょうか?

星野 要はイラストのために漫画のシーンを作らないと描けないんです。例えば「CRWN WINTER」のアレンと神田の表紙はとても苦戦しました。どんな状況に置かれた2人なのか、全然思いつかなかったんです。後ろにいる神田は最初ラフでは正面向きだったんですが、「神田はどうして上を向いているのか」という疑問が出てきてしまってボツに。その後、アルマを想っている神田にしようと思いつき、下を向いている神田で決着しました。アレンの場合は、編集部の要望が勇ましい戦闘モードの表情だったので、アルマ=カルマ編で神田とアルマのために戦っているアレンを想像しながら描きました。

肘原 では、「CROWN」創刊号の表紙も描きづらかったんですか?

星野 「創刊」という明確なテーマがあったので、あの時は悩みませんでした。編集部から凛々しい表情で正面を見据えたアレンと千年伯爵のラフを頂いたんですが、個人的に創刊のおめでたい感じを出したいと思ったので、アレンに動きをつけて「こんにちは!」と言っているような構図に変えさせてもらったんです。ちなみに千年伯爵のシルクハットには「絶対に花を乗せてやる」と心の中で決めていました(笑)。

肘原 イラスト1枚を描く時にかなり考えられているんですね。

星野 本当は何も考えず「カッコイイ絵を描けるようになりたい」と思っているんですよ。自然体でそういった絵を描ける先生は、個人的にすごくうらやましいです。