暁の世界漫画賞 結果発表

【最優秀賞】賞金100万円 + 本誌3月号掲載
KELBELO 53P
園見 喝(28)/千葉
【あらすじ】
皮膚が鎧のように変容し自我を失う奇病・鎧病。ニルヴァとレイの兄弟は鎧病患者を葬る組織「ケルベロ」に所属していて?
【審査員コメント】
・圧倒的作画でアクションやキメ画なども安易なカメラアングルを避けるカッコイイ画面づくりが素晴らしいです。なにより鎧病者(メカケモノ)への萌えが強く伝わってくるのがよかった!しかし設定説明はやや頼りない。ケルベロがどんな組織で、兄弟がそこでどんな立場だったかは描いて欲しかった。結果、ドラマにも入り込みにくくなってしまいました。あと一つ、人物に興味が薄いのか、ニルヴぁちゃんの魅力が薄く感じるのも気になります。(加藤)

・アクションの構図や迫力はとても上手い。兄弟のやりとりも微笑ましい。ページに対しては内容不足。疑問は抑制剤があるのに何故兄は殺されそうになったのか?もう少し妹がかわいく描けるとGOOD。(鈴木)

・絵がものすごく上手いね。凄みのあるアクションがかっこイイ。また漫画見たいなァ。その君の次の課題はストーリーというものを考える。というコト。何が起こって何が変わったか…というのがドラマなんだわ。人の心情や設定をできるだけ親切にそのドラマに組みこんでみて。それに君の絵が加わったら無敵だから!がんばって!(藤田)

・世界設定と作画された情景に整合性が感じられない。アクションシーンが多いのは評価できる。画力は伸びそうです。(星野)

・絵の表現力が素晴らしいです。戦闘も、とても迫力があり、一気に読んでしまいました。話はシンプルで読みやすいのですが、物語の展開にもうひとひねりあってもよかったのではないでしょうか?(堀井)

・描きたい絵と熱量がとても伝わる漫画でした。惜しいのは兄と妹のキャラが戦い前と後で、ブレてしまっている点。組織のイメージがもっとあるとそれがキャラにもつながったと思います。(吉田)
【優秀賞】賞金50万円 + RISE2021 WINTERに掲載!
『99's+1』55P
弐毛原赤明(27)/沖縄
【あらすじ】
「九十九神」は百に一つだけ足りない存在。その一つを探し求め旅をするアルパとメイムは山奥で人間の少女と出会い?
【審査員コメント】
・非常に世界観や設定がとっ散らかってしまっている印象で恐らくディストピアなのでしょうが、そこに加わる九十九神の設定も世界観との整合性が感じられず居心地が悪いです。それでもやりたいドラマは伝わってきましたし、さくらちゃんもカワイイ。でも結局、アルパやさくらちゃんが何者か予測も立たないのは致命的な気がします。(加藤)

・今イチあやふやな設定、キャラの動機が物語を読みにくくさせています。男性をもっとかっこよく、女性はもっとかわいく描いてほしい。(鈴木)

・絵が上手いねえ。かっこイイなァ。すごい武器になるよ。次も必ず描いてな!君の次の課題は、読者の弱さを知ること。読者というのは驚く程、おれ達漫画家の描くことに歩み寄ってはくれないのさ。世界、キャラクター、ストーリー、どれも優しく親切に説明してあげなきゃね。特に人の心情はエピソードも入れて「変化」させてな。がんばれ!(藤田)

・九十九神というキャラクター、世界観はうまくできています。せっかくの人外バトルなので、もっと突飛でトリッキーな戦闘シーンが作れたら面白かったと思います。(星野)

・冒頭から、なかなか引き込まれる展開です。それぞれの登場人物の心の葛藤もよく描かれていると思いました。絵も魅力的で海底に続くであろう物語を読みたくなりました。(堀井)

・しっかりと自分の描きたいものが描けていると思います。細部に一工夫あるとよりよくなった印象。たとえば衣装や武器や技など。キャラの設定ももう少し+部分があってもよかったと思います。読者が楽しんでくれるポイントへの意識を。(吉田)
【奨励賞】賞金30万円 + RISE2021 WINTERに掲載!
『ALPHABET』43P
吉田誠一(28)/京都
【あらすじ】
人の記憶を奪う化物・寂器と戦う組織「ALPHABET」に所属するマルクは単独行動が目立ち、部隊から孤立していた。
【審査員コメント】
・画風のブラッシュアップは必要かと思いますが、個人的には嫌いじゃないテイストで、アクションなど、全体的に少年漫画イズムを感じる勢いや味わいがよかったです。やりたいドラマや世界観もまとまっていますが、もう少しこの世界が「寂器」によってどう危機に瀕しているのか「アルファベット」がどんな存在か、軽く描くとよりよかったと思います。あと、マルクくんが記憶を吸われる前までの仲間達とのエピソード不足もかなり惜しいです!(加藤)

・キャラクターよりも設定が前面に出ていて言葉がうわすべりしている。主人公に仲間との絆が大事だと気付かせるのであればもっと仲間とのやりとりを描くべき。敵や星形の存在もインパクト弱いかも。(鈴木)

・魅力的な画面作りができる人だね。広い画面が見えるのは気持ちいいですよ。君の次の課題は、人の心情を「具体的」に表現し、読者に伝えること。『苦しみ』『悲しみ』はどんな風なのか?読者がよりわかるように。そしてかっこいい大きなキャラクターが少なくて残念なので、表情やアクションで見せゴマを意識して描いてな。ヘコたれるなー!(藤田)

・説明が多すぎるのは良くないが、さすがに少なすぎるのではないでしょうか。世界の広がりを感じられませんでした。画力の素質は感じます。(星野)

・人の記憶を奪う化け物『寂器』。ネーミングと化け物のデザインは、なかなかいいと思いました。ただ後半部分の戦闘、なにがどうなったのか展開が少しわかりにくい気がしました。ラストシーンはいい感じです。(堀井)

・キャラのセリフが自然でいい。要素がシンプルなことはストーリー展開への理解につながっていたが、バトル面のアイディアが足されていくとさらにレベルアップできると思います。(吉田)
【特別賞】賞金10万円
『革命の黒竜』54P
コダケノコ(24)/神奈川
【あらすじ】
獣を操る魔力を持ち、闘技場での戦闘を強制させられていたゼグは、同じ魔力を持つ少女・マノリスに出会い?
【審査員コメント】
・今っぽくキャッチーな絵柄で、画力もあり画面自体も読み易かったです。オールドスクールな「綺麗な魔法やドラゴン」が存在する世界に目新しさはないものの「なろう系」が馴染んだ昨今では逆に入り易いのかな?ちょこちょこ「何故シャルの気持ちは今まで聞こえなかったか?」「シノリスの弟くん必要だったか?」など気になる点はあるものの、ドラマも設定もほどよくまとまっていて即戦力の実力があると思いました。(加藤)

・個性的ではないもののキャラの絵柄はかわいく描けている。ただ話に合わせて強引に動かしているので敵味方それぞれの行動に違和感が。この内容でこのページは長い。(鈴木)

・ファンタジーをわかりやすく描くとても素敵な力を持っているね。次の君の課題はストーリーがどういうクライマックスを迎えるか?描きたい一枚絵にどう流れ込んでゆくかを考えて漫画を描くことです。全てのエピソードがラストにつながってくる、そんな漫画を描けるようになれば読みごたえができるよ!がんばってね!(藤田)

・よくまとまっていてキャラクター造形にも嫌味がない。その分先が読めてしまうので、意外性をだす工夫が欲しい。作劇の基礎的な理解はできているので、画力の向上を優先してみるといいでしょう。(星野)

・カッコいいドラゴン、可愛い少女、そしてとても厭らしさが出ている学長。表現力が豊かで、ともすると有りがちな設定ですが、安心して気持ちよく読むことができました。(堀井)

・服装などしっかり考えて描いている意識が感じられた。女性キャラもかわいい。やや暗さが勝っているので、キャラのポジティブさやビジュアルの派手さがあると、より読者が楽しめるポイントが増えます。(吉田)
【特別賞】賞金10万円
『Re:Book』52P
吉田誠一(28)/京都
【あらすじ】
深い雪に覆われた世界。遺跡を巡る旅をしていたユウリは、遭難していた少女・エンデを助け、介抱するが…?
【審査員コメント】
・最初から映画的な演出で引き込まれます。画風はやや懐かしいというか、青年誌的な魅力で丁寧で読み易いです。最初はディストピアをサバイバルする物語かと思って読み進めたのですが、後半、思わぬファンタジー展開に…?ここをどう感じるか…個人的にはやや置いてきぼりを喰らってしまいましたが、伝えたいメッセージは何とか受け取れました。作中の本の物語や、細かいエピソードづくりにもセンスを感じます。(加藤)

・設定を口にしてしまう、ひとりよがりの主人公には正直感情移入も憧れも抱けません。終始自己満足の世界観と展開は正直読んでて辛い。読む側の目線をもっともっと意識してほしい。(鈴木)

・絵が上手。目がキレイだね。背景を描くのを恐れていない所もイイねえ。次も絶対描いてね。次の君の課題は人の心の「変化」を読者に親切にていねいに描くということ。戦いのエピソードはその「変化」と関係していないと盛り上がらないからね。一体何と出会って主人公が変わったかをがんばって描いてね。(藤田)

・キャラクター、世界観、ストーリーがバラバラで繋がりがなく物語として成立していない。表情や構図などが変化に乏しくすべて同じ絵に見えてしまう。(星野)

・助けた少女にいきなり殺されそうになる、と思いきや、単に本を燃やしたことに対する文句だった、とか展開にわかりにくい部分はありますが頑張って描いていると思いました。書庫で精霊が目覚める見開きは素晴らしいです。(堀井)

・雰囲気のある(映画的な)導入部は期待が持てました。整理しきれていない(説明が足りない)部分が多かったのが、もったいない点。せっかくの個性が読みにくさになってしまっているので、構成力を磨いてほしい。(吉田)
【特別賞】賞金10万円
『宝石と奴隷』49P
渡慶次美妃(23)/沖縄
【あらすじ】
奴隷のザビは投獄され、勝気な少女・チェリーと出会う。翌日処刑されるザビは父の形見の石をチェリーに託すが?
【審査員コメント】
・まだ粗削りで雑な印象な画面ですが、少年や、特に女の子はカワイイし、エピソードづくりなどにもセンスを感じます。ただ、物語としては起こった事柄を描きつらねた状態でまとめることも演出することもまだできていない印象です。世界観設定も「何となく」そうした雰囲気で、全く構築できていません。まだまだこれからたくさん描く必要がある作家さんに感じました。(加藤)

・絵柄は可愛いだけにもっと描線を丁寧に描いてほしい。背景も然り!世界観がフワっとしていてわかりづらい。主人公とヒロインの出会いはもっとドラマチックに描いてほしい。(鈴木)

・緊張感を作るのが上手いですね。これは漫画のクライマックスを盛り上げるのにスゴイ武器です。これからの君の課題は物語に大切な「変化」をどうストーリーに組み込むかという事です。キャラクターの心情がどういうエピソードを通じてどう変わったのか、これが「ドラマ」です。必ず次作もがんばってな!(藤田)

・誰のストーリーを描きたいのか明確でなかった。タイトルに宝石とつけるならもっと宝石のエピソードを膨らませて。作画技術の基礎的な知識から勉強しましょう。(星野)

・どんな物語か、読む前から興味を惹かれるタイトルです。美少女同士の戦い。脚を切断される主人公。ハラハラドキドキの展開でしたが、ラストのほのぼのとしたシーンに心が救われました。(堀井)

・いい絵柄を持っていると思います。背景がしっかり入ったコマが増えると画面がどんどんよくなるはず。ストーリーがやや一本調子になってしまったのが惜しい。もっと主人公を中心に描く意識を持つと、描くべきことが見えてくると思います。(吉田)
【特別賞】賞金10万円
『人形笑記』44P
魑魅 蓮(21)/兵庫
【あらすじ】
人形職人の紡は、森の中で呪動人形たちの戦いに巻き込まれる。紡は自分を庇い負傷した人形を修理するが?
【審査員コメント】
・画力は粗く拙いです。何となくまとまっているし、やりたいことも伝わるんですが、結局呪動人形たちは軍の殺戮兵器として開発されたってことなのか?この世界の大正日本は戦中なのか戦後なのか、設定も漠然としてしまってますし、何故紡は人形に一番大事なのは自由だと思うのか、クラウンが主を殺さないのは変…、などなどキャラ動線もツッコミどころが多くなってしまってます。とにかく丁寧につくろう!(加藤)

・クラウンのキャラは悪くない。が故に無駄の多い説明ゼリフがもったいない。それとあまり大正感を感じられなかった。絵をもっとキレイに描く努力を!(鈴木)

・よく最後まで描けた!君は物語を語りたいという大きな意思を感じます。それを信じて次作も描いておくれ。君の課題は人物の「視点」を統一すること。そして各々のキャラクターになり切ってその心を読者に伝えようとすること。心の動きを優しく丁寧に描いてな。がんばって!(藤田)

・全体的に創作として昇華されておらず、課題は多いです。セリフの一つ一つまで血の通ったものでなくてはいけません。(星野)

・大正ロマンを思わせるような主人公と街並みやお店。雰囲気はとてもよいです。主人公の片腕がからくりというのも意表を突きましたが、戦う理由が少し浅い気がしました。(堀井)

・主人公のまっすぐさには好感が持て、見栄を切ろうという意識もあります。画力とコマ割りのメリハリがよくなると、読者に伝えるべきことが、しっかり伝わっていくようになるはずです。(吉田)
年齢幅が広く、作風もバラエティに富んだ作品が集まって面白かったです。今回は普段の審査でもあまり見かけないアクションに力を入れた作品が多かったのが驚きでしたしすごくよかったと思います。ですが今回のテーマがファンタジーだったことを踏まえて残念に感じたのが世界観設定の練り込み不足や説明不足です。全体的にものすごく視界の狭い望遠鏡から世界を覗いているような気分で読みました。興味がなかったり未知を嫌がる読者を自分の空想の世界に引きずり込むためには画力、表現力、設定、キャラクターなど、どれ一つ何となく描いているヒマはありません。頑張って練り込んでみて下さい!応援してます!
まず全体に共通していたのが読者不在の設定。そしてその設定を喋りまくるキャラクターたち。漫画は読者を楽しませるためのエンタメということをお忘れなく!!そういう意味で「KELBELO」は頭一つ抜けていました。話でキャラクターを強引に動かすのではなくキャラで動かしてください!!(それと全部がディストピアもの…。読みつかれました)
楽しかったです。アクションや暗い展開がみんな元気いっぱいでした。漫画は、いかなる設定であっても人の心を見せるものだと思うので、キャラクターの心情、そしてその「変化」に意識の行っている作品を選びました。絵は描いているうちに上手くなります。でもキャラクターを魅力的に描くのは気がつかないとなりません。〈ギャップ〉です。面白いギャップに早く気がついて、主人公を面白く作って下さいね。みなさんめちゃくちゃ考えてね。応援してます!がんばって!
ダークファンタジーに必要なのはグロさや暗い世界観だけではありません。人を陰鬱とさせながらも物語に引き込む演出の工夫です。キャラクターだけでなく、背景から小物に至るまであなたの世界観を染み込ませてください。どの作品もテンポがよく読みやすかったです。
どれも力作揃いで、作者の熱い思いが、ひしひしで伝わってくるような作品ばかりでした。どんな物語も作者の頭の中にあるうちは傑作です。それを作品として形にするのは、とても大変な作業ですが最後まで描き上げて完成させたことは素晴らしいです。たとえ賞を取らなかったとしても、その経験は将来の糧になっていくでしょう。たくさんの応募、ありがとうございました。
各作品、自分の描きたいことを描いている、己の核の部分は感じられました。ただ漫画としては、それが読者にちゃんと伝わるように描かれているかが大きなポイントなので、そこへの意識が今後の鍵です。もちろんキャラが大事なのですが、それぞれの世界の様子やそこで生きている人たちをもっと見せてもらえると世界観の魅力が増したと思います。お忙しい中、審査していただきました先生方、ありがとうございました!