生まれつき頭に枝のような角を持ち“音の見える”リュカは、親に捨てられ傭兵団のゲルハルトに育てられた。ラッパ手としての確かな腕と楽師になる夢を持つも、兵団を抜け出せず死屍累々の戦場から新しい楽器を漁る毎日。樹木歴1294年のある日、正規軍の指揮下としてラッパ手ではなく歩兵として戦場に立ったリュカ。自軍に余裕のある戦場と思われていたが、敵軍に現れた角の生えた女が一人で無双し始め、戦場は大混乱に。謎の頭痛に襲われ身動きの取れなくなったリュカは腹部に大怪我を負ってしまう。大量の出血で意識が朦朧とするなか、ゲルハルトの「生きた証を残したい」という言葉を思い出し、唯一自分のことを知っている傭兵団の連中を死なすまいとラッパを吹いたリュカ。するとその音はリュカの意志をのせ戦場にいる味方全員に届き、絶望的だったはずの撤退成功に繋がる。昔から音が見えたものの他人に見せたいとは思わなかったリュカは、初めて演奏が楽しいと感じることができて…。