あめとうみ ヤマガタアツカ

前回までのあらすじ

ストーリー

音坂逢芽(おとさか あめ)が高校生になって1週間。入学式から今日まで無断欠席していた空咲宇海(からさき うみ)が登校してきた。2人は同じ中学からこの学校にやってきたが、ただ、それだけの関係で友達でもなんでもなかった。


 1週間も間を空けて現れたクラスメイトに興味津々な生徒たち。好意的に絡まれる宇海だったが、彼女自身はその“馴れ馴れしさ”に笑顔で返しつつも、少しその顔はひきつっていた。
 そんな宇海の様子を遠目に見ていた逢芽は、少ない交流ながらも中学時代に見かけた彼女の印象とそう変わっていないという感想を抱くのだった。


 そんな中、HRでみんなが初日にやった「クラスメイトへの自己紹介」を先生に求められる宇海。集まる視線と容赦ない質問攻めにしどろもどろになっていた。それを見かねて助け舟を出したのは逢芽だった。自己紹介から解放され安堵する宇海だが、一方で逢芽は基本何事もめんどくさいことには一線置くスタンス的に「やりすぎたかな」と、自省するのだった。


 中学時代吹奏楽部に入っていた逢芽は、高校でも吹奏楽部に入部する。先輩に誘われ屋上でトロンボーンの練習に向かう際中、クラスの陽キャが去った後、うつむく宇海の姿が目に入る。そこで逢芽は楽器をひと鳴らしして音で彼女を小突く。あっけにとられる宇海に「猫背が気になる」からだと言い「また明日」と残し、屋上へ去るのだった。


 学校を後にした宇海だが、道中クラスの男子から連絡先を交換したいと声をかけられ、笑顔で対応するものの、スマホの通知画面に並ぶ今日だけでたくさん増えた「繋がり」からの通知の山にまた少しうつむいてしまう。そんな時、聞こえてきたのは逢芽の吹いた楽器の音色だった。
 その音に、彼の言葉を思い出した宇海は意識して背筋を伸ばし、彼の演奏をBGMにして引き続き帰路に着くのだった。

 翌日逢芽に自己紹介で助けてくれたお礼にとチョコを渡してきた宇海。ついでに「宇海さん」と呼んでもいいというお達しが。しかも、中学時代は吹奏楽部のユーレイ部員だった宇海がまたしても吹奏楽部に入ろうと言い出す始末。 下の名前、でもさん付け。クラスメイトで同じ部活…。少し距離が近づいた事に「ちょっとめんどくさそう」と感じる逢芽だった…。

キャラクター紹介
  • 音坂逢芽(おとさか あめ)
    高校1年生。中学から続けて吹奏楽部でトロンボーンを吹く。どこか達観して見えるのは、学校生活にも人生にも何も期待していないからだと当人は語る。「めんどくさいこと」は好きじゃないので何事にも基本首は突っ込みたくない性格。
  • 空咲宇海(からさき うみ)
    高校に入学するも1週間無断欠席していた。馴れ馴れしいクラスメイトに心底うんざりしているが、拒めず笑顔で接する。中学時代は逢芽と同じ吹奏楽部に所属しコントラバスを担当していたが、ユーレイ部員で、逢芽とも顔見知り程度の仲だった。