Mr.Clice 秋本治

前回までのあらすじ

ストーリー

 国家特別工作機関(特工)のエージェント・繰巣 陣(くりす じん)は任務中の事故により死亡。しかし、最優秀であった彼を失うことを良しとしない特工の判断により、女性テニスプレイヤーの死体に脳を移植することで、女として復活。女性エージェント・クリスとして様々な任務を言い渡されるが、圧倒的なスキルによりそのことごとくを遂行していくのだった。


 アメリカ副大統領護衛のため中国へ来ていたクリス。爆破テロを未然に防ぎ、今回も完璧に任務をこなしたまではよかったのだが、書道マニアの局長から「書道祭」の限定品購入をお願いされてしまう。当然嫌がるクリスだったが、局長が用意した現地案内人が知り合いの中国情報局の美稟(メイリン)だったため、テンションが上がったクリスは彼女とのデートのついでに局長のお使いをすることに。


 中国の書道にも詳しい美稟の案内で「書道祭」とその歴史についてレクチャーされるクリス。歴史的な書聖に倣ってお酒を呑みながら「詩」を書く美人「女流書家」41名に少しだけテンションが上がる中で、彼女たちの「詩」が完成したことが告げられる。集まったファンたちが発表を楽しみにする中、なんと巨大なドラゴンと、それを操る乱入者・竜姫が出現! 会場を荒らし「女流書家」たちが書いた「詩」を根こそぎ奪ってしまったのだ。


 何かに気づき、ドラゴンの前に立ちはだかるクリスだったが、ドラゴンのブレスに焼かれ、竜姫の鞭によって、無惨にもクリスの体が引き裂かれてしまう。 しかし、次の瞬間まったく別の場所から、竜姫を捉えたクリスが出現! ドラゴンや、対峙していた竜姫とクリスは跡形もなく消え去り、その場から慌てて走り去ろうとする車を発見したクリスは即座にタイヤを狙撃。大切な「詩」を取り返すことに成功したのだった。


 クリスの口から明かされたドラゴン登場のトリックとは、宴でふるまわれた酒や料理に微量の天然麻薬が混入されており、催眠術を介し集団幻覚を見せられていたのだというものだった。そしてクリスは匂いを頼りに本物の敵の場所を見抜いたのだという。 「詩」を救ったクリスに「女流書家」たちがお礼に「書」をあげたいと申し出てきた。41人全員の手書きの「書」ともなればものすごく貴重なお宝…となるハズだったが、字の良さなどまったくわからないクリスは、名だたる書道家にクリスをモデルにしたキャラ屏風を描いてもらうのだった。価値ある「書」よりも、美女たちのお礼の気持ちを自分に伝わる形でもらえて、大満足なクリスであった。

キャラクター紹介
  • 繰巣 陣/クリス
    (くりす じん)
    特工の最優秀エージェント。任務中事故で死亡してしまったが、脳移植により女性の体で復活した。実績を積めば男の体に戻すという言葉を信じ、日夜無理難題な任務に挑む。
  • アレキサンダー・ベラマッチャ
    特工のイタリア支部の諜報員。クリスとは男時代からの仲で、現在でもクリスと共に任務をこなし、世界中を飛び回る良き相棒である。
  • 雨笑笑 笑太
    (うひょひょ わらった)
    特工の中央工作局工作局長で、クリスの上司。いつもクリスに難関な任務を言い渡す。クリスは女の体のほうが成績も良く、予算も無いため、男に戻したくないのが本心のようだ。