極楽街 佐乃夕斗

前回までのあらすじ

ストーリー

 華やかに賑わう“極楽街”でどんな難題にも報酬次第で引き受ける「解決屋」を営むタオとアルマ。その裏では人や動物の死体を使って造られた「禍(マガ)」という怪物専門の「殺し屋」として活動。この世の全ての禍を駆逐するその日まで戦うことを誓う―――!!


 9年前に行方不明になっていた弟のジンが、禍として生まれ変わったと気づき始めたタオ。すると夜から「会わせてやるよ」と言われ、タオの知るジンの雰囲気へと変化する。その様子に気づいたタオはジンに声をかけるが、タオを見た途端ジンは酷く動揺し<門>を開いて大量の禍を呼び出してしまう。ジンの様子に困惑し、身動きが取れないタオだったが自分の意思で繋縛の杭を抜けられるようになったアルマが禍へ挑み、ピンチを救ってくれて…。


 ジンの元へ辿り着いたアルマだが近づくことを拒まれ、首を絞められてしまう。それでもアルマはタオがずっとジンを捜し続けていたことを必死に訴えかける。しかし絞める力は強くなる一方だった。アルマの息が持たなくなりかけたその瞬間、タオはアルマを助けるために最愛の弟であるジンの腕を撃ち落とす。
 その行動がアルマの存在が自分の“代わり”だと思ったジンは心を閉ざし、再び夜と入れ替わってしまう。


 タオが幽閉されている間もタオを信じて待っていたジンだが、父親の暴力に耐えきれず、ジンは自分を守るため別の人格である“夜”を生み出す。ジンのために夜は父親を殺すが、うまく人格の切り替えができず、殺した後元のジンに戻ってしまう。その瞬間、父親の死体を見たジンは首を吊って自死を選択する。しかし黄泉の力で禍として蘇り、生前ジンが求めていた安全に過ごせる環境を与えられ、生きていたころより幸せな笑みを浮かべながら“家族”の元へ帰っていき――。

キャラクター紹介
  • タオ
    ドライな性格。怒ると怖い。表は「解決屋」裏では対禍専門の「殺し屋」を営んでいる。
  • アルマ
    身体能力が高く、大食い。人や動物の死体を使って造られた「禍」という怪物と人間の間に生まれた「半禍の子」。心まで禍になりかけていたところをタオに拾われる。
  • 辰臣
    (タツオミ)
    珍事件が殺到する極楽街の情報屋。情報代は高いが、女好きのためタオには安く情報を売っている。
  • ネイ
    蛇穴に属する凄腕剣士の少女。禍に対して誘発作用がある血液を持つ。
  • 黄泉(よみ)
    謎多き白髪の青年。タオしか抜けないはずのアルマの繋縛の杭を抜くことができる。
  • ヨキ
    蛇穴所属。明るく優しい獣人。タオたちの武器を作っている。お金持ち。
  • ダラ
    蛇穴所属。一見クールな女性だが愛情深い性格。ヨキと同じようにタオたちの武器を作っている。
  • 劉(リュウ)
    タオやネイを訓練していた男。厳しく、容赦のない指導者だが、酒好きでめんどくさがりな性格。
  • 夜(よる)
    行方不明になっていたタオの弟・ジンのもう一つの人格。自殺するが、黄泉の力で禍として蘇る。直接首に触れずに、絞め殺すことができる力を持つ。