片翼のミケランジェロ 伊藤砂務

前回までのあらすじ

ストーリー

 1488年…後にルネサンスと呼ばれる時代。イタリアのフィレンツェに若き日のミケランジェロはいた。彼は当時の時世では地位が低く見られていた絵画や彫刻…手先の技術で一から何かをつくり出す「職人」に対して憧れを抱いていた。しかし裕福な身の上の彼は、父の決めた将来を拒めず、職人への道は閉ざされていた。そんなある日、彼に才能を見出した工房主のギルランダイオから弟子にと声をかけられる。後に「巨匠」とまで称される芸術家・ミケランジェロとしての人生が、今始まる――!!


 見習いとして、仕事をこなすミケランジェロ。成績次第では飛び級でいきなり見習いから助手になれるかもしれないグループでの「試験」が始まる。
 ミケランジェロのグループは、フランチェスコとロメオに加えて、年端もいかない8歳の見習い2人と非協力的な見習いのダリオ。このチームでの「試験」とは、ミケランジェロが個人の技術よりも“教える力”を重点的に見られていることを意味していた。


 「試験」のお題の模写を進める中、ミケランジェロは8歳の二人が暗いことに気づき、楽しくないのかと声をかけるが、「楽しくない」「生きるためにやっているだけだ」と二人にハッキリ言われてしまう。
 学校に行くことすら難しい時代、ミケランジェロはほかの人が得られない立場を捨てこの世界へ足を踏み入れた。その「職人」に対する想いのギャップに落ち込むミケランジェロにダリオが追い打ちをかけるように「職人」が、いかに自由が利かなく窮屈な世界かを語り出す。そんなダリオに対し、ミケランジェロは全てわかった上で、それでも自分がやりたいからやるだけだと宣言する。さらに、ダリオの「職人」に対する私見は全て、自分が仕事に打ち込まなくていいように言い訳を並べているようにしか聞こえないと断ずるのだった。


 ミケランジェロの「職人」への想いと、姿勢を見た8歳の二人は「しかたなく」とふてくされて仕事に向かうのはやめてみようと思い直し、ミケランジェロを慕うようになる。


 模写の「試験」の終わり、思いもよらぬことが起きる。ダリオの模写が完成していたのだ。その模写の出来栄えに驚くミケランジェロは、その技術力の理由を耳にする。なんとダリオは、一度助手に昇格してから、自らの意思で見習いに戻った経歴の持ち主で…!?

キャラクター紹介
  • ミケランジェロ
    裕福な家に生まれるも、一から何かを生み出す「職人」に憧れる青年。隠れて絵を描き続ける中で、ギルランダイオに声をかけられ工房に弟子入りすることに。
  • ギルランダイオ
    フィレンツェの人気画家。街で工房を構える職人で、ミケランジェロを弟子にとる。
  • ルカ
    ミケランジェロの学友で、彼を気に掛ける。
  • フランチェスコ
    ギルランダイオに師事する職人。ミケランジェロが隠れて絵を描いていた頃から、彼を何かと手助けしていた。
  • ロメオ
    ギルランダイオの弟子で、歳の近いミケランジェロに、先輩として色々工房の仕事を教える。ある出来事から工房という“協力する場”を人一倍大切に思っている。