有限世界のアインソフ 日高十三男

前回までのあらすじ

ストーリー

 【吸血鬼】呪いを受けて復活した死者にして人の生き血を糧にする怪物。呪いの起源は、未だ解明されていない―――。
吸血鬼と人類の大戦乱が終結した世界。それでも各地では吸血鬼による大小様々な事件が起こっていた。
狩人協会の調査員であり、吸血鬼の父を持つアイン・ソフは人間と吸血鬼の両方を救うため、それらの事件解決にあたっている。


 アゼリア領での一件後、家へ帰宅したアインにユラはある相談をする。
 ある日ユラはアインがオーナーを勤める「記憶の記録社」内の工房で、荷物運びを率先して手伝った。しかしそれを見たメイの父親である社長に、今後工房に立ち入ることを禁じられてしまったのだ。アインはユラの話を聞き、彼女とバンとバンの妹を連れ、「記憶の記録社」にあるメイの塾へ行く。
 そこでまずアインはバンに最低限の読み書きができるよう塾に通う事を命令する。さらにダリルからユラに吸血鬼の雇用が法律で禁止されていることを伝えられる。ユラはそれを聞きショックを受けるが、塾に通う女子生徒から勇気づけられるのだった。
 アインの提案でユラはバンの妹・モモに読み聞かせをすることに。手に取った本はクレイトン社という印刷工房の『ポポルの冒険』というものだった。そこへクレイトン社を解雇された従業員が職を探して「記憶の記録社」を訪れ…!?

キャラクター紹介
  • アイン・ソフ
    狩人協会の調査員の少年。父親が吸血鬼の為、普通の人間として育てられず、吸血鬼たちに育ててもらう。人と吸血鬼を救うために活動している。学術書とノンフィクション専門の出版社「記憶の記録社」のオーナー。
  • ユラ
    アインに助けられた吸血鬼の少女。弟の生きた意味を見つけるためにアインの家で生活をしながら、メイの私塾に通う。
  • ユーリ
    ユラの弟。吸血鬼となったユラを人間に戻すために戦うが寿命を迎え死んでしまう。「放浪医者ユリアス」と呼ばれていた
  • クロ
    アイン邸で働く使用人の吸血鬼。
  • バン
    狩人の青年。吸血鬼を瞬時に見抜くことができ、吸血鬼を全員殺すという野望を持っている。妹のモモの目を治すために狩人として働き始めた。
  • ユーゴ
    狩人の青年。実家が織物商を営んでおり裕福。吸血鬼に対して寛容な視点を持っている。
  • メイ・クリストフ・ラーデン
    「記憶の記録社」創業家の一人娘で父親が「記憶の記録社」の社長をしている。従業員向けの託児所を兼ねた私塾を運営しており、そこにはユラも通っている。
  • ダリル
    メイの私塾に通っている少年でメイのことが好き。頭の良さはアインにも認められている。