ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」加藤和恵 先生 & 廣瀬ゆい

《3》新人の方々に向けて

廣瀬:今!新人の方々にアドバイスをするなら?

加藤:私は現在、時間のある新人の頃にネームを大量に描いておけば良かったと後悔しているので、皆さんはそうならないようにして欲しいです。私はデビューしてから連載を始めるまでの10年間で、実質20本も描いていないので…。

廣瀬:しかしネームってそうそう何本も描けるものではない印象があります…。実際に私も物語を考られないんです。起承転結が付けられないというか…。

加藤:現状だと、廣瀬さんはどれくらい描いているんですか?

廣瀬:今の担当さんになってから、会議に出してもらったものが4作品です。前の担当さんの時は2本提出しました。

加藤:私と似たような感じですね。物語が考えられないのは、単純にネームを描いた経験が少ないからだと思います。なので、これからは悩まずにガンガン割り切って、ネームを量産することを勧めます。同じようなタイプだからこそ…!!

廣瀬:先生ありがとうございます…!参考にします…!!他に今のうちにしておくべきことはありますか?

加藤:自分が目指す漫画のジャンルを決めた方が良いかもしれません。自身の立ち位置が分かれば、進むべき道も明確になるかも。

廣瀬:自分の進みたいジャンルですか…。

加藤:ちなみに廣瀬さんは、今後どんな漫画を描いていきたいと思っていますか?

廣瀬:全くの架空のファンタジーよりは、現代ものを描きたいと思っています。前作は経験があったので、バドミントンの漫画を描きました。

加藤:確かに絵柄的にも現代劇の方があってそうですね。

廣瀬:それと女性を描くのが好きなので、やはり女の子が登場する漫画が良いなと思っています。

加藤:そうするとやはりラブコメですかね?今は色々なことを試していくのだと思いますが、いずれは廣瀬さんにぴったりの作風が決められると良いですね。

廣瀬:そうですね!ちなみに、先生はネタ帳みたいなものは持っていますか?今のうちに作っておくべきかと思いつつ、着手していないのですが…。

加藤:もちろん作っておいた方が良いと思いますよ。アイデア以外にも、参考にしたい作品の感想も書き留めておきたいですよね。ただ私の場合は、文で作品の感想をまとめるのが苦手で…断念しました(笑)

廣瀬:なんだかとても親近感のわくエピソードです(笑)。

加藤:お恥ずかしい限りです。あと今のうちに挫折は体験しておいた方が良い。若いうちの挫折は、絶対にその人を大きくする力になりますので。

廣瀬:先生も挫折経験があるんですか?

加藤:ありますね。かつて作品が不本意な形で終わってしまった時は、本当に怒りと悲しみで何もできずに、3日間ほどずっと寝込んだことがあります。ただその時、物の捉え方を変えたら気分が晴れて、成長できた気がします。意図的に挫折しろとは言いませんが、若いうちの挫折は糧になると思います。怖がらずに色々なことに、挑戦して欲しいです。

廣瀬:なんだがすごくやる気が湧いてきました…!私も精進して、SQ.で連載できるようになりたいです…!!

加藤:是非頑張ってください!連載始めたあとも、次から次へと自分への課題が生まれて、連載する前よりもっと辛いことが起きたりもしますけれど、いつまでも初心を忘れないでいて欲しいと思います!

廣瀬:最後に私を含めた新人の方々、そしてこれから漫画家を目指す漫画家の卵たちにメッセージをお願いします!

加藤:これからのSQ.を支えて、さらには盛り上げていって欲しいです!私たち連載作家陣も若いパワーに負けないように、全力で漫画を描いていきたいと思いますので、一緒にSQ.を最高の漫画雑誌にしましょう!皆さんの想いの詰まった投稿作、待ってます!

廣瀬:本日は貴重なお時間を割いて頂き、ありがとうございました!
取材&マンガ 廣瀬ゆい
ジャンプSQ.19に『最弱なボクと最強な彼女』掲載の期待の若手ギャグ漫画家!!