ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」加藤和恵 先生 & 廣瀬ゆい

《1》漫画の描き方<背景およびパースのコツ>

廣瀬:次に背景やパースについてお伺いさせて頂きます。背景を描く際、何を参考にされていますか?

加藤:参考になりそうな資料用の写真を集めて、それを組み合わせて描いています。最近はもっぱら、アシスタントさんに背景を描いてもらうことが多いですね。ただ爆発と食べ物に関しては、時間がない時でも意地になって未だに自分で描いていますよ。それに植物などの自然物は、けっこう手を入れることが多いかな?

廣瀬:自分で描く、描かないの基準は何かあるのですか?

加藤:有機物はなるべく描きたいんだと思います。爆発の煙とか、自分の中に好みのイメージがあって、自分で描いた方が早い場合が多いですね。読む人はあまり気にならないところだとは思います。

廣瀬:先生はアナログ派なので、やはり全てペンで描くんですよね?

加藤:全てつけペンですね。もしかすると廣瀬さんはデジタル派ですか?

廣瀬:私はフルデジタルで漫画を描いています。

加藤:すごい!

廣瀬:背景に関して言うならば、デジタルは写真をそのまま加工して背景として取り込むという手法もあるので、先生の全て手描きという話を聞いて少し驚いています…!

加藤:デジタルとアナログの漫画では、そういった違いがあるんですね。では廣瀬さんは背景を描く際、写真を加工しているんですか?

廣瀬:いえ、PC上ですが、私も加藤先生のようにペンで背景を描いています。ただ、どうしてもパースをとるのが苦手なので、写真を加工して背景にしたいと思うことが多々ありますね…。

加藤:私はアシスタント時代に、パースの取り方を覚えましたね。やはりプロの作家さんの下で背景を描かせてもらうと、否が応でも身に付きますよ。

廣瀬:だからアシスタントなんですね?

加藤:そうですね。特に週刊の作家さんのもとで働くと、毎週背景を描くことになりますからオススメです。それに漫画の技術だけでなく、自分がプロの漫画家になった時の心構えみたいなものも身に付きますね。仕事の進め方とか、アシスタントさんとの付き合い方とか、現場の雰囲気とかも分かるので、行って損はないと思いますよ。

廣瀬:今度、担当さんに相談してみたいと思います!

加藤:是非!あとパースは正確さよりも絵的な雰囲気が重視されるので、あまり神経質にならない方が良いかもしれませんね。自分が読者の立場の時を考えてみると分かるんですけど、読者はパースよりも、その場面のかっこよさや雰囲気、ニュアンスを見ているので。

廣瀬:確かに!私自身も違和感なく読めれば、特に気にしないです。

加藤:廣瀬さんに漫画家の目があるからこそ気になってしまうんだと思うんです。極端にパースが狂っていたとしても、それが漫画の一場面としてカチッとはまっているのなら大丈夫だと思いますよ。というか、むしろその誇大表現が漫画だけに与えられた面白さで、作家の個性が出るところですから、大事にして欲しいです。

廣瀬:勉強になります。例えで言うなら、漫画における女の子の胸が、現実ではありえない大きさだとか…。

加藤:そうですね(笑)。でもそれが良い!と思って、作家さんは描いているので、それもまた個性ですよね。廣瀬さんが感じる「自分的に気持ちいい部分」を探すことが大切だと思います。私もいまだに、自分にとって気持ちいい部分をずっと追い求めている(笑)

取材&マンガ 廣瀬ゆい
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