ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」地獄のミサワ 先生 & 左藤真大 先生

《2》ミサワ流キャラ&ネタの極意!

左藤:ミサワ先生が、あの独特の絵に至ったきっかけを教えて下さい。

ミサワ:あのキャラの絵は、井上雄彦先生の絵を模写して練習している内になっていったものです。

左藤:ええ~。本当ですか…?

ミサワ:はい。中学生くらいから25歳くらいまで、ひたすら井上先生のキャラを模写していましたね。

左藤:つまり、10年くらいずっと模写をし続けて至ったということですね!?…では各キャラにモデルはいますか?

ミサワ:友達とかTVに出ている人をモデルにすることが多いです。『米澤先生』のグーグルストーカー(井上部長)は、実在の友達がモデルです。彼は気になる女の子の家を聞けなくて、待ち合わせの場所とか終電の時間からアタリをつけて調べていたんですよ。二人でご飯とか行っているくせに、住所は恥ずかしくて聞けないとか言って。

左藤:そうして生まれたキャラは、話に応じて当てはめていく感じでしょうか?

ミサワ:『米澤先生』の場合、ただただ自分が好きなキャラを入れていく感じです。僕、嘘つきな人間が凄く好きなんですよ。例えば友人に、僕が過去に話した話題を、さも自分のことのように言ってくる人がいる。しかも色々盛ってきて、自分が話したものより面白かったりして。「こいつ、どういうつもりでこんなに嘘ついてるんだろう」と考えると楽しくて。そんなキャラを出していったのが今の作品です。

左藤:そんなキャラを魅力的に見せるには、何か工夫はされていますか?例えば嘘つきなだけだと、読者に嫌われてしまいますよね。

ミサワ:そうなんですかねー。でも俺は好きですからねー。

左藤:ミサワ先生はネタ探しのために、特別意識してやっていることはありますか?

ミサワ:敢えて言うなら、興味のないものも見るようにしていることかな?実家で親が観ているTVを一緒に眺めるとか。漫画のネタにはならないかも知れないけれど、当時、「ああ、韓流ドラマって本当に流行ってるんだなー」と実感したりして。あとは人の話を聞くことが好きですね。左藤さんともSkypeでよく話していますよね?

左藤:そうですね。この前はTVで見た漫画の評論番組について、僕の「あの出演者、何様なんだよ!」みたいな話を聞いてもらったりして。

ミサワ:僕は人の、そういった話を聞くのが好きなんですよ。よく友人に連絡しては「最近ムカついた話」を聞いたりするんです。

左藤:ミサワ先生って、時々「最近どうですか?」みたいに連絡下さいますが、あれはムカついた話を仕入れるためだったんですね(笑)。

ミサワ:ムカついた話って、どんな人でも熱が入って面白いんですよ。それに、わざわざムカついたフリをする人もいないですよね。だからその手の話は嘘がないというか、その人のことがよく分かるんですよ。

左藤:ではそういった話を集めて、自分の漫画に活かしたりとか…?

ミサワ:全然活きた感じがしないです。もしかしたら単純に趣味なのかも。

左藤:ミサワ先生が日常で、創作意欲が沸く瞬間はありますか?

ミサワ:原稿で忙しい時です。忙しいと他のことがやりたくなるんですよ。

左藤:それで早く今の原稿を終わらせよう、と…?

ミサワ:いや、思うだけです。

左藤:ではネタに詰まった時はどうされていますか?

ミサワ:結局、思いつくまでどうにもならないですね。

左藤:でもミサワ先生は原稿を落としたことはないですよね。

ミサワ:ええ。自分では落としたら終わりだと思っています。一度落としたら、多分描かなくなっちゃうのでは…。

取材&マンガ 左藤真大
『誰しもみんな秘めている』『home & away』で大好評の俊英!