ボイスコミック漫画賞 結果発表!

入 選
賞金100万円+ジャンプSQ.8月号に掲載!+ボイスコミック化!
『モルト』31P
カナエアオ神奈川(24)
あらすじ
国を脅かす魔物を全て討ち滅ぼし、長きに渡る戦いに終止符を打った騎士団長のモルト。国の英雄となったモルトだが、共に戦って殉死していった仲間たちの墓標を前に、自分だけが生き残ってしまったことに強い憤りを感じるのであった…。
津田健次郎さんコメント
あまり見たことのない主人公像で、何でこんなにも乾いた主人公を描けるのだろうと不思議なくらい目を引きました。「死に損なった」と大きくモノローグが描かれるシーンなど、はっとするようなセリフがいくつかあってセンスやオリジナリティを感じました。もう少しダイアローグで話が進んだり、展開にひと捻りあると良かったですかね。絵が緩めなのはネックだと思いますが、そのようなテクニックは努力次第でどうにでもなると思います。尖った個性に非常に伸びしろを感じました。
編集部コメント
ファンタジーの世界観でありながら、戦いそのものではなく、戦いによって「生き残ってしまった」戦士の葛藤を克明に描き出す企画に独創性がありました。画力には向上の余地がありますが、はっとさせるようなコマ割りや端的に突き刺さるセリフのセンスが随所に見られたのも良かったです。責任や後悔を抱えながら、戦いの場でしか生きることのできない主人公・モルトのキャラクターが津田健次郎さんの声によってどのように命が吹き込まれるのかが楽しみになる作品でした。
準入選賞金50万円+ジャンプSQ.8月号に掲載!
『ファントム・ヴォイス』55P
瑾玖珠 玲北海道
あらすじ
状況に合わせ人々の発言を矯正するAIを搭載したスマートマスク「ヴェール」が普及した時代。元俳優の警察官・宵黙は、ヴェールによって本音を隠す社会に疑問を持つ新人女優のリサと出会い…?
津田健次郎さんコメント
とてもよくできていると思いました。作画がとても丁寧で作者さんの真面目さがとても伝わります。一方で色々考えて描かれているが故に、作者本人の「これが描きたい!」という真っ直ぐな衝動は伝わりにくかったかもしれません。本音を制限された世界のお話でしたが、作者自身も言葉を選びすぎずに、もっと本音のエネルギーをぶつけてみてほしかったです。これだけの技術があればきっと何でも描けるはずです。
編集部コメント
難しいSF設定を破綻なくまとめきった構成力と、圧倒的な画力の高さ、丁寧に仕上げられた原稿の完成度が魅力的な作品でした。主人公は渋さとカッコよさを備えており、今回の応募作の中で、もっとも賞の趣旨に合った企画であったと思います。一方で、設定や状況の説明にページを使いすぎてしまっていたり、物語の軸が絞り切れていないところが読みにくさに繋がってしまっていたのが惜しいです。
佳 作賞金30万円+ジャンプSQ.RISE 2026 SUMMERに掲載!
『メメント』31P
尾張優太栃木(33)
あらすじ
養護施設で育った樹生はある日、赤子から「力が欲しいか?」と問いかけられる夢を見た。その晩、同じ施設内で兄妹のように育ったささらを探しに行った先で謎の化物に遭遇し?
津田健次郎さんコメント
家族を守るために戦う主人公のストレートさに心を打たれました。年を重ねるとだんだん捻くれていってしまうものですが、この真っ直ぐさはこれからもぜひ大事にしていってもらいたいです。主人公は見た目も行動ももっと大胆に、エッジの利いたキャラクターでも良かったと思います。
編集部コメント
家族を守りたいという真っ直ぐな信念を持つ主人公の魅力がよく出ていた作品で、見開きを使ったアクションの迫力やアップの表情に力が込められていました。短いページにまとめられている一方で、キャラクターの奥行きまでは掘り下げらていないので、やや印象に残りにくかったです。
最終候補賞金10万円
『冬ざれの眼』47P
高瀬八朔長野(18)
あらすじ
怪物「氷鬼」討伐部隊のトウマは、氷鬼の弱点を視認する眼を持っているが、独断専行が問題視され、新人のイチカとバディを組まされることになり…?
津田健次郎さんコメント
主人公が寡黙ということもありますが、モノローグや言葉に頼りすぎず感情を表現できていたのが良かったです。絵がとても上手できれいにまとまっているのですが、優等生で収まらずに18歳らしい若さを爆発させるような瞬間も見てみたかったです。
編集部コメント
物語の展開をバディを喪った主人公の心情に絞っているので読みやすく、ドラマ性がストレートに伝わる作品でした。作劇の中心であるアクションシーンにもう少し描き込みと構図の工夫があるとキャラクターの魅力がより伝わったと思います。
津田健次郎さん総評
限られたページ数で皆さんとても上手にまとめられていました。欲を言えばもっとエッジの利いた個性や執念も見てみたかったですね。僕たち声優も、芝居をやればやるほどテクニックは身についていくのですが、一方でエッジの利いていた部分がなくなっていってしまうことがあります。逆に新人が恐ろしいエネルギーで下手な芝居をしている方が優れている瞬間があります。きっと素晴らしい作家さんは、技術に加えて新人の頃の新鮮な衝動やエネルギーをずっと持ち続けているのだと思います。ぜひそのような熱い思いをもっと作品にぶつけてください。僕たち声優が演じる時に、びっくりしたり、緊張してしまうような執念の籠ったセリフやキャラクターを皆さんが描かれることを楽しみにしています。
編集部総評
「主人公を津田健次郎さんが演じる」という前提を設けることで、主人公のキャラクター性をより具体的に、リアルにイメージして作品づくりに取り組んでいただくことが今回の賞の目的の一つでした。初めての試みでしたが、そのお題に対して真摯に向き合ってくれた素晴らしい作品が集まりました。中でも、センスの光るセリフ回しとキャラクターの表情でリアリティのある心情を表現した『モルト』と、高い画力を活かし、渋い大人の魅力を持つ主人公や重厚な世界観を描き切った『ファントム・ヴォイス』は入選を最後まで争いました。津田さん及び編集部での協議の結果、最終的には独創性や将来性がより高く評価された『モルト』が入選を受賞する結果となりました。受賞者の皆様にはこの賞をきっかけにさらなる研鑽と飛躍を期待しております。