ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」許斐剛 先生 & 入尾前 先生

《2》漫画の執筆方法
キャラクター作り

入尾:次はキャラ作りについてです。先生は展開の作り方だけでなく、キャラの作り方も「読者が第一に!」と考えているのですか?

許斐:「このキャラは、読者にこう思われたい」という読者視点で考えます。ちょっと泥臭いイメージを持たれたい、強いけどちょっと冷たい人物と思われたい、みたいに考えて作ります。そのあとで、学校に合ったテーマカラーを考えて、キャラをバランスよく配置します。とにかく読者に好かれないとダメです。嫌われ者のキャラでも、「嫌われ役」として好かれるみたいな。

入尾:無関心が一番まずいというやつですね。

許斐:そうですね。空気になるキャラは作らないようにしています。ただ『テニス』の場合は、ファンの皆さんがキャラを補完して下さっているところもあって。どんなキャラを出しても、必ず良いところを見つけてくれるんですよね。ですので、私は自分がキャラ作りがうまいとは思っていなくて、むしろファンの皆さんの方がすごいんです。

入尾:ちなみにキャラを作る上で、「この要素があると良いキャラになるよ」といったポイントはありますか?

許斐:そのキャラがその漫画じゃなくても、見てみたくなるようなキャラですかね。例えば『テニス』のキャラは、野球をやっても面白いと思うんですよ。乾だったらデータを使って野球をやるだろうし、海堂だったら曲がる打球になるとか、色々な想像ができるじゃないですか。どんな漫画に登場していても、そのキャラの行動が想像できて面白いことが良いキャラの条件だと、私は思います。

入尾:ただなかなか魅力的なキャラを生みだすのは、難しいですよね…。

許斐:昔、ある編集に言われた言葉を借りると、キャラクターを産むのは子供を産むのと同じですね。苦労するのは当たり前のことです。

入尾:その中でも、先生自身に似ているキャラはいますか?

許斐:特定のキャラは思い浮かばないけれど、根本的な性格はみんな私に似ていますね。私もすごく負けず嫌いだし、悪いことをするのは嫌。ゴミをポイ捨てするのとか許せないんですよ(笑)。それは『テニス』の全員に備わっている性格だと思いますね。

取材&マンガ 廣瀬ゆい
ジャンプSQ.19に『最弱なボクと最強な彼女』掲載の期待の若手ギャグ漫画家!!