ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」あらゐけいいち 先生 & 白無新木 先生

《6》ギャグは飽きたらお終い!

あらゐ 昔、植田まさし先生の『コボちゃん』の4コマのオチを隠して、自分で描いてみる練習をしたことがあるんです。まぁ…僕の描いたものは全部つまらなかったですね(笑)。

――他にあらゐ先生がやってきた、特殊な練習方法はありますか?

あらゐ 出版社から雑誌の献本が来るので、それをバーっと見て面白いコマを見つけたら、話も読まずにそこをオチにした話を考えたりとか。

白無 僕はよくTVのバラエティを見ますが、芸人同士の返しを予測するんですよ。フリがあったら「自分だったらこう返す!」というのをすぐに考えて、実際の返しと比べてみたりします。相手が発言する前に考えなきゃいけないんですよ。

あらゐ バラエティはヒントをかなりもらえますよね。ただ、自分にとって面白い人は大体決まっていて、その人からもらってばかりだと偏ってしまいますよね。

日暮 僕はバラエティは当然として、なるべくギャグから遠いものも見るようにもしています。NHKの真面目なドキュメンタリーとか。

あらゐ わかります!でも、結局ネタを拾えずに終わってしまうんですよね。これをギャグにしようとすると、大抵誰かがやっているんです。他に僕がよくやっていたのは、色んなギャグ作品を骨組みまで分解して、自分のネタで肉を付けていくんです。ギャグの文法というのは人それぞれあって、フリ、オチ、間が独特で、その骨組みを使うとかなり印象が変わってくる。逆に骨組みだけ自分のものを使ったり、自分の絵がつくとどうなるか検証したり。そうすることで、自分が何が好きで、どんな作風に可能性があるのか見えてくるんです。

――持ち込みと同様に、自分の個性を一番発揮できる場を探るんですね。

あらゐ 難しいのは自分にとって面白いものが、必ずしも自分の絵柄と合致するわけではないこと。絵柄と話が合う時って、大抵は自分に予想外のところでしっくりきたりと、描き続けていかないと見つからないんです。そして見つかったところで、続けていると飽きてしまうんですけどね(笑)。

――ギャグは「これでずっとやっていける」というものがありませんよね。

あらゐ マンネリがOKな作風で、描いていて飽きなければいいのでしょうが、基本は自分が飽きたらそのネタはお終いだと思っています。

――あらゐ先生はネタが枯渇することはありますか?

あらゐ 描き始めた頃からずっとネタはないですね。いつもギリギリまで考えるしかない。ストックがある人がうらやましい!

――それでは最後に、ギャグを作る際に一番大事にしているものは何ですか?

あらゐ 「ギャグを描くぞ!」とたまに思うくらいで、基本はギャグに気負いしないようにしています。あと、つまらなくてもとにかく形にすること。そうして描き上げたものは、大抵やっぱりつまらないのですが(笑)。でも、1個でも面白い部分があればそこから広げられるし、いずれは本当に面白いものができるかも知れない。ギャグは何が正解なのか、本当に分からない。でもたった一つ分かったのは、「ギャグ、意外と描いたなぁ…」ということです!(※決め顔!!)

――ありがとうございました!