ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」鏡貴也 先生 山本ヤマト先生 降矢大輔 先生 & アラカワシン 先生

《6》キャラは作り、ビジュアルは託す…!?

アラカワ 鏡先生は脚本を書かれる時、山本先生の絵を想定されますか?

鏡 あまり意識していませんが、頭のどこかで山本さんの絵が付くという気持ちがあったのかも知れませんね。ライトノベルの場合、大体イラストレーターさんは後から決まるので、最初から絵が決まっていたのは珍しいケースかも知れません。

アラカワ 山本先生の絵が上がって、鏡先生がイメージしていたものと違いはありましたか?

鏡 ありません!というか『セラフ』の世界観は降矢さんの中にも、山本さんの中にもそれぞれあるのだと思います。まだまだ細部まで説明していない部分も多いので、描く段階で山本さんから質問が来るんですよ。答えると「じゃあ、こうしていいですか」みたいに、山本さんからアイデアが来ることも。『セラフ』のビジュアルはそれでどんどん育っていったんです。
降矢 君月は山本さんの意見でメガネキャラになったんですよね。あのデザイン力は凄かった!

アラカワ つまりキャラクターなどのデザインは、山本先生が主導して作られるのですね?

鏡 絵的なデザインはそうです。キャラクター自身は、最初に僕が作ります。主要キャラは文字情報を作り、それでイメージを固めてもらう場合もありますが、それ以外は脚本の段階で完成していると思っています。そこから先は山本さんにお任せするのが大事だと思っています。例え「僕の思っていたデザインと違うなぁ」と思っても、山本さんがデザインしたらそちらの方が正解なんです。

アラカワ それぞれの職域に委ねるわけですね。

鏡 僕は絵を描けませんから。山本さんは絵が凄く上手く、その上で「読者と絵でどう繋がっていくか」を一番考えている方だから。今後の展開に問題ない限りは、僕から何か言うことはないですね。
降矢 僕の方も新キャラの絵は、ネームではデザインなしで進めています。こちらで適当に入れておくと、思いっきり変わって原稿になっています(笑)。

鏡 ルカルって吸血鬼が出てきた時、僕たちはびっくりしましたよね。帽子被っているキャラなのですが…。
降矢 しかも脱ぐと特殊な髪形をしているらしいですよ(笑)。残念ながら、見せる前に死んでしまいましたけれど。

取材&マンガ アラカワシン
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