ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」鏡貴也 先生 山本ヤマト先生 降矢大輔 先生 & アラカワシン 先生

《9》山本ヤマト先生による、カラーイラストの極意!

アラカワ 鏡先生・降矢先生とは別日のお願いとなってしまいましたが、お忙しい中ありがとうございます!それでは早速、山本先生のカラーを描く時の制作過程を教えて下さい。

山本ヤマト先生(以下、山本) ラフ→下描き→ペン入れ→レイヤー分け→色決め→色塗り…の順で描いています。色決めまで到達すれば、自分の中では9割完成です。ラフから最後まで、全部デジタル作業になります。

アラカワ 『セラフ』のカラーは迫力があり、尚且つ面白い構図で描かれていますが、どのように考えられているのでしょうか?

山本 構図を考える時は、「その絵で何を一番見せたいのか」を決めます。その後、色々な角度からラフを描いて、より良いカメラを探しますね。良い構図が思い浮かばない時は、今まで描いてきた未使用のラフを見てアイディアを出します。難しいポーズを描く場合は、ポーズ集の資料を見て参考にすることもありますね。

アラカワ カラーを塗る際はどこから塗り始めますか?

山本 その絵の全体の色あいを決めてから塗り始めます。雑目に色を置いていって、全部の色が決まったらそれを整えていきます。整えと塗り込んでいく作業は、大体画面の手前からやりますね。

アラカワ 作画は全てデジタルということですが、使っているソフトやブラシを教えて下さい。

山本 よく使うソフトは「Photshop」と「SAI」、たまに「Painter」を使うこともありますね。まだ機能を使いこなせてはいませんが、最近は「CLIP STUDIO PAINT」も少し使っています。ブラシ設定は描く部分によって少し調整し、自作ブラシも使います。主に使うブラシはペン入れで1種類、色塗りで4種類くらいです。

アラカワ よく使うフィルターなどのエフェクトがあれば教えて下さい。

山本 よく使うフィルターは「ぼかし」です。背景や光らせたい部分などによく使います。

アラカワ 僕は『セラフ』7巻の口絵が好きなのですが、これだけのキャラクターを一枚に収める際、気を付けていることはありますか?

山本 大人数のキャラを入れる時はまず、キャラの優先順位を決めて、そこに関連するキャラは近いポジションに配置します。また、目線を使って関係性の伏線にもなればいいな、と思いながら描いていますね。あとキャラが多いと色が多くなってしまうので、濁って汚くならないように気を付けるようにしています。

アラカワ これだけのキャラ数だと、レイヤーも相当増えてしまいますよね?

山本 レイヤーは本当はあまり増やしたくはないのですが、記事や広告など、キャラ単体で他の媒体に使われることもあるので、取り回しがしやすいように分けて描いています。7巻のピンナップはデータが重くなるので、できる限りレイヤー数を抑えて描いたのですが…1キャラにつきレイヤー4~5枚くらい使っています。

アラカワ 貴重なお話、ありがとうございました!

取材&マンガ アラカワシン
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