ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」和月伸宏 先生 & 中田貴大 先生

《1》和月先生、デビューまでの道のり

中田貴大先生(以下、中田) 子供の頃から和月先生の大ファンです!今日は大変緊張しておりますが、宜しくお願いします!ではまず最初に、和月先生が漫画を描き始めた頃についてお聞かせ下さい。

和月伸宏先生(以下、和月) 小学生の頃、3つ上の兄の影響で描くようになったのが最初です。大学ノートにコマを割ったものでしたが、友達が読んでくれることが嬉しくて。周囲にも上手い友達がいて、ライバル心で頑張っていましたね。そして周りは中学生になってやめていったけれど、自分だけずっと描き続けていました。

中田 その頃、特に影響を受けた漫画は何ですか?

和月 小学生時代は『ドラえもん』『パーマン』(ともに藤子・F・不二雄)で、中学では「週刊少年ジャンプ」(以下、「WJ」)を買うようになって『キャプテン翼』(高橋陽一)『キン肉マン』(ゆでたまご)『北斗の拳』(武論尊・原哲夫)『ドラゴンボール』(鳥山明)を、並行して「週刊少年サンデー」の『タッチ』(あだち充)『うる星やつら』(高橋留美子)などを読んでいました。そして中学3年生の時「高校生になったら漫画を描いて投稿しよう!」と決めて。で、高校1年生の夏に描いた投稿作が月例賞の佳作に入り、担当がついて道が開けた感じですね。ちなみに自分より少し前、小畑健師匠が手塚賞で準入選を取っていたんです。16歳で、しかも同じ新潟県!当時は勝手にライバル視していました(笑)。

中田 そこから漫画家への道を進み始めたのですね。

和月 最初、次原隆二先生のアシスタントをさせて頂くことになって。ちょうど連載が決まった小畑師匠とすれ違いで。その後も岡野剛先生や高橋陽一先生の仕事場でお世話になり、やがて小畑師匠が『魔神冒険譚ランプ・ランプ』を始められることを知り、直談判してアシスタントに入れて頂いたんですよ。もっとも、後々編集部から紹介がある予定だったそうですが…(笑)。

中田 小畑先生の仕事場はいかがでしたか?

和月 とにかく天才性を見せつけられっぱなしでした(笑)。あと仕事場には先輩のひのき一志先生もいて、自分の一歩先を行くライバル的存在も大きかったです。その頃、読切『戦国の三日月』(以下、『三日月』)でようやくデビューできました。

中田 アシスタント時代の和月先生は、どのように仕事をされていましたか?

和月 最初の頃は本当に…酷かったです。特に次原先生には迷惑をかけっぱなしで、頭が上がりません。自分は目の前に与えられた原稿を「一番いい形で仕上げよう」ということばかりに気を取られ、時間をかけ過ぎて先生の足を引っ張ることになって…。悩んで手を止めるくらいだったら先生に聞きにいけば良かったんです。仕事を「一定時間内に上げる」ということの重要性を知り、今でも反省しています。

取材&マンガ 仲英俊
『かなの一筆』『妹ひえらるきあ』でSQ.19掲載の俊英…!