ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」和月伸宏 先生 & 中田貴大 先生

《5》キャラクターは自身の分身!

中田 和月先生のキャラクターの作り方を教えて下さい。

和月 まずは「こういう人物が描きたい」という核があります。性格、使命、信念といった内面があり、あまり外見は考えていません。それでネームに入れてみて、物語やエンターテインメントに落とし込めるか試します。そぐわないようであればボツにしますが、やはり描きたい気持ちが強いので、9割方は原稿になりますね。

中田 キャラクターの内面は、何を参考に考えられますか?

和月 漫画のキャラクターとは、結局は作者の分身なんですよ。例えば『剣心』の志々雄真実は、自分が考える悪漢の集大成です。ピカレスクの強い信念を持ち、周囲には凄腕が並び、美女をはべらせて…と。同じく武田観柳はお金に汚い人物ですが、言っていることは正しい面もあるし、それは自分の考えでもあります。あるいは自分の抱えているものを逆に捻ったり、「こんなヤツは嫌いだ!」という気持ちから生まれたり。作り出すというよりは、そのキャラクターに自分の分身を当てはめる感じです。そしてうまく当てはまったキャラは、読者の人気が高かったり、あるいは凄い嫌われる傾向がありますね。

中田 和月先生のキャラクターはそれぞれ信念を持っていて、それが台詞に表れていますよね。ああいった台詞はスッと出てくるものでしょうか?

和月 いえいえ、台詞は凄く頭を使います。そして「どのような台詞で伝えるか」と同じくらい「このキャラはどうすればこの台詞を口にしてくれるか」を考えます。無口なキャラがいきなり自分のことを語りだすとおかしいですよね。その場合は台詞以外で伝える方法、あるいはそんな人物でも口を開くような状況を作る…とか。その辺りは、『武装錬金』の頃に特に考えるようになりました。

取材&マンガ 仲英俊
『かなの一筆』『妹ひえらるきあ』でSQ.19掲載の俊英…!