ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」内藤泰弘 先生 & 川崎 宙 先生

《2》自分の中に漫画の「型」を作る!

川崎 最初から今のネームの描き方をされていたのでしょうか?

内藤 昔は描き方に結構悩んでいて、文字プロットを作ったりシナリオを書いたり、色々な方法を試してきました。ある日知り合いの漫画家さんと漫画談義をしていて「白い紙を開いたら、見開き単位で漫画が浮かんできません?」と言われたことがあって。その時は「この人は一体何言ってるんだ!?」と思いましたが、今のネームの切り方を振り返ると、自分も同じ状態になってるんだなと気づきました。

川崎 漫画が浮かぶ!?それはどんな感覚なのでしょうか?

内藤 例えば白い見開きページを眺めていると「ここでキャラが走ってきて」「ここで押し問答があって」「ここは決めが入るからこれくらいの大ゴマ」みたいな流れが自然と出てくるんです。そもそも物語を読者に伝えるための絵や台詞、演出等には規則性があって、いわば「てにをは」からなる作文みたいなものです。さんざん漫画を描くことを繰り返してきた中で、自分がいいと思う「型」が出来上がっているんでしょうね。

川崎 新人としては、まずその感覚が想像できません!

内藤 たくさん描くしかないです(笑)。結局のところ、自分の中にどれだけ漫画の「型」が入っているかです。

川崎 その「ここはこの型しかない!」と判断ができるようになるまで、描く以外にも、多くの漫画を読んで勉強されたのでしょうか?

内藤 他の作品を参考にしたことは殆どありませんね。せいぜい「最近の漫画は1ページに沢山コマを割っているなあ。自分もちゃんと描かねば」と思うくらい(笑)。「この構図と流れカッコイイなぁ」という感動は覚えていますが、だから自分も同じように…みたいな感覚はないです。少なくとも、勉強しようとして漫画を読むことはありません。

取材&マンガ 川崎宙
『強欲家の天職』『林檎飴騒動』でSQ.19に掲載の俊英!