ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」矢吹健太朗 先生 & 御木本かなみ 先生

《7》誌面修正で読者との一体感!

御木本:矢吹先生は「ジャンプフェスタ」のステージにも出られることが多いですが、実際の読者を前にしていかがでしたか?

矢吹:まず「本当に読んでくれる人たちがいるんだ」という気持ちがあります(笑)。ずっと仕事場に籠っていると、漫画の先に読者がいることが実感しづらいんですよ。だから本屋で単行本が売られていると「ああ、ちゃんと世に出ているんだ」と安心します。そして同時に「やばい!あんなものを描いてしまった!!」と焦ったりもします(笑)。

御木本:原稿から離れると冷静になってしまう感じですか?

矢吹:そうです!執筆中は自分の世界に入り込むので、どんどん昂ぶって描写も過激になっていってしまう(笑)。もちろん守りに入らないように、敢えて冷静にならないよう努めているのですが…。だから描き過ぎて編集部にお色気シーンを修正された時も、本当なら次の回から遠慮すべきですが、反省せずアクセルを踏み続ける方向で!(笑)

御木本:『とらぶる』は単行本での修正もされていますよね。最近の12巻だと、番外編のお風呂シーンで、美柑の顔に「ぺちっ」と何かが当たる文字が描き加えられたりして。

矢吹:あれは正確に言うと「SQ.19」掲載時に消されたものを復活させたんです(笑)。ちなみに修正が入る時は何かの圧力があったみたいに、わざと雑に消しています。「ここに消した痕跡があるけど…みんな察して!」と。そして『とらぶる』読者はちゃんと気づいて盛り上がってくれる。この一体感は嬉しいですね。

取材&マンガ 仲英俊
『かなの一筆』『妹ひえらるきあ』でSQ.19掲載の俊英…!