ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」矢吹健太朗 先生 & 御木本かなみ 先生

《1》キャラクターの鍵はコンセプトと脚本!

御木本かなみ先生(以下、御木本):初めまして。今日は宜しくお願いします!まず最初に『To LOVEる-とらぶる-』(以下、『とらぶる』)のキャラクターはどのように作られているのでしょうか?

矢吹健太朗先生(以下、矢吹):キャラを作る場合、最初にコンセプトというか、キーワードを考えます。ネメシスだったら「ドS」というイメージがあって、そこに肉付けしていく感じです。その後、長谷見(沙貴)さんと打ち合わせをして脚本を作ってもらい、アイデアを加えたり調整したりして、少しずつ性格や行動が見えてくる感じです。新キャラの場合は特に、作画中も脚本修正が続きますね。

御木本:ビジュアル以上に台詞を重視されているのですね。

矢吹:絵もそうですが、台詞は印刷所に入れるギリギリまで手を加えます。自分の中では、キャラを象徴する決め台詞が出てきたら完成だと思っています。

御木本:ではビジュアルはどの段階で決められますか?

矢吹:実はコンセプトの段階では、ビジュアルは本当にふわっとしています。ネメシスだとせいぜい「ドSだからツリ目」くらい(笑)。こちらもネーム、下描き、ペン入れ…と、原稿の過程で少しずつ決まっていくんです。

御木本:脚本やネームができたらお終い…というわけではないんですね。

矢吹:ええ。キャラクターは練り続けることが大事だと思っています。自分にとっては台詞が特に重要で、「その人物がどういう発言をするか」がキャラを作っていくんです。

御木本:例えばヤミの「えっちぃのは嫌いです」という台詞とか…。

矢吹:ヤミはあの台詞がカチッとはまって、自分の中にキャラが確立されたんです。本当に原稿の最終段階で浮かんできた台詞で…。キャラの絵が見えてきたからこそ出てくるものも多いんですよ。

御木本:矢吹先生はキャラの設定画やラフイメージは作られますか?

矢吹:よくアニメにあるような設定資料は基本的に作りません…というか、作る時間がない(笑)。『とらぶる』だと「週刊少年ジャンプ」の連載前にリト、ララ、春菜のデザイン案を作ったくらいでしょうか?

御木本:では、他のキャラクターたちは…?

矢吹:その時その時で考えます。ララや春菜が持っていない要素からコンセプトを探したりして。その際、読者が最初に抱くであろう印象も意識していますね。読者が友達と会話する時「今度出てきたキャラはこういうキャラ」と、タイプや属性を一言で説明できるように。

御木本:やはりキャラは分かりやすく見せることが重要なのですね。

矢吹:主役級は自分で動かす存在なので、純粋に描きたいキャラとしての面もあります。周囲に追加されるキャラは、話を運んだり盛り上げたりして、その主役たちを立てる役割で考えていくんです。ルンだったらララのライバルポジションとして出して、ルンと一緒にララの新たな魅力も見えるように…とか。

御木本:キャラを生み出す際、特に気を付けている点はどこですか?

矢吹:色々ありますが、台詞回しやさりげない仕草など、そのキャラらしい存在感が大事だと思っています。読者に「このキャラはこんなことしない!」と言われてはいけない。一人の人物として筋が通っていることが、読者に伝わりやすい良いキャラだと思います。

取材&マンガ 仲英俊
『かなの一筆』『妹ひえらるきあ』でSQ.19掲載の俊英…!