ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」矢吹健太朗 先生 & 御木本かなみ 先生

《11》新人作家へアドバイス!

御木本:それでは新人作家に向けて、漫画家としての心得を教えて下さい。

矢吹:最近実感しているのは、外に出て何でも経験した方がいいということです。僕は学生時代から漫画ばかり描いてきたので、知らないことが結構あって…。『BLACK CAT』の連載時は、外国が舞台なのに雰囲気を知らないからすごい手間取っていましたね。

御木本:実際に人生経験を積むことが大事なんですね。

矢吹:昔はその重要性に気づきませんでしたが、今から考えると、実体験は一つの武器です。もちろん体験ばかりを重視して、何でもリアルにしなければいけないということでもありませんが。あまりルールを知らない方が、スポーツ漫画を大胆に面白く描ける場合もありますし(笑)。滅多に旅行に行かない僕が最近、初めて草津温泉に行ったのですが、直後に完成したイラストが、古手川と美柑の「足湯」をテーマにした巻頭カラー。やはり経験することは大事だな〜と。

御木本:確かに漫画家の多くは、放っておくと部屋に籠りがちになりますね。

矢吹:あとはよく言われることですが、常に読者を意識すること。担当であれ友達であれ家族であれ、人に読んでもらうことが大事です。読者を念頭におけば、いつでも「もっと面白い漫画にしよう」という意識が働いて、ギリギリまで頑張れる。自分がただ描きたいものを描くだけでは駄目です。

御木本:矢吹先生がいつでも絵や話を練られるのも、常に妥協しない姿勢からなのですね。…そういえば『とらぶる』のお色気シーンは、ペン入れが終わっても描き直すことがあるとか!?

矢吹:あります!散々検証してペン入れまでしたのに、下描きの線を消すと「何か違うなぁ…」となって。そういう時はボツのコマを切り取って、原稿用紙を継ぎ足して描き直します。だから自分の原稿って、所々ツギハギなんです(笑)。でも、妥協しないことは漫画にとって大事だと思います。

御木本:ペン入れまでいって描き直すなんて…お色気シーンはこだわりの塊ですね!

矢吹:あと個人的にですが、新人の方には苦手なものにチャレンジして欲しい。描きたいものや得意なものを突き詰める方法もあるので、一概には言えませんが。ただ自分としては、幅広く描けた方が面白いし、色々なことに挑戦できるのも新人の内だけだと思うんです。ぜひ向上心を持って頑張って下さい。

御木本:今日はすごくためになるお話をありがとうございました。私も連載獲得に向けて頑張ります!

取材&マンガ 仲英俊
『かなの一筆』『妹ひえらるきあ』でSQ.19掲載の俊英…!