キャラや世界観のデザインを怠らず、しっかり作っているのが好印象でした。バトルシーンの作画も良かった！主人公がイケメンではない時点で既にビジュアル売りはできないので、もっと極端に異形らしいキャラデザで良いと個人的には思います。作中の「心の美しさ」とのギャップがあればあるほど、読み手の心を打つかなと。あとタイトルが少しもったいないです。パッと見て概要のわかるタイトルだと読者の手が伸びやすいと思います。

絵が抜群にセンスいいです！話や設定の型自体はポピュラーなのですが、新鮮に読ませる高いアレンジ力も魅力。キャラ数とセリフの多さも気にならなかったです。今後は「どうやったら売れるか」が課題になってくると思いますが、私は作者さんの描くヒューマンドラマものが読みたいです。このおしゃれな絵が最も活きるフィールドを見つけて欲しいです。

血生術の設定などは面白かったので、バトルシーンの攻撃だけでなく「血生術を使えばこんなことができる」アイデアをもっとたくさん見たかったです。Ｗ主人公ものなのだと思うのですが、男主人公の添え物感が否めない。画力は低くはないですが、キャラデザに古さを感じます。タイトルも安直すぎるかと。おそらく設定の面白さにキャラが負けているからタイトルがこうなるのだと思います。

キャラ数が多いせいか、全体的にキャラ・ボケが薄味で、ギャグ漫画として読むと少し厳しいと感じてしまいました。「ギャグ漫画」というジャンルは超面白いキャラクター・未体験の笑い・独特の間・高いワードセンスなどの強い作家性がなければ生き残れない厳しく険しい道なので、こだわりがなければ「コメディ色のあるストーリー漫画」に挑戦してみて欲しいです。

セリフ量のバランスがよく、読みやすい点は良かったですが、圧倒的に「ひねり」が足りないです。吸血鬼というかなり使い古されたモチーフを扱うのであれば、作者さんならではの新しい吸血鬼像を見せて欲しいです。変身後のデザインもパブリックイメージそのままなのは残念。キャラクターをもっとこだわって作ってみてください。