描きてえ事が渦巻いているのが何よりの評価。頭の中に見えている画を原稿用紙の上に落とし込もうと必死になっている様子が伝わってきます。世界観は広がっているのですが、それを支える理屈の構成が不足しているので、そこを考え尽くせばもっと説得力が上がります。まずは海軍というものがどれぐらいの規律で運用されているかを調べましょう。あなたの世界を表に出せるのはあなただけです。頑張って! !

表情もモンスターデザインも秀でている部分があるが、人物の掘り下げや世界観の説得力などであちこち脇の甘さが見られます。生まれてからずっと暮らしている村の儀式にまるで初めての観光客の様に目を輝かす弟。何となく歩いていけばすぐ出られそうな平坦な森。老人に無抵抗で殺される若者など。もっと作品世界と登場人物一人一人にダイブしてしっかり構築して欲しいです。影響を受けた作品はその辺りの説得力がずば抜けているのですから。

非常に魅力的な絵。特に描線に惹かれました。技術的には即戦力に一番近いのではないでしょうか。ただ、どうしても描きたいという衝動というか芯の様なものが見えてこないのが勿体なく感じました。手には高性能の武器が揃っています。あとは様々な経験を経たり良くできた作品に沢山触れたりして、物語ることへの興味を爆発寸前まで深め（高め）て欲しいです。

最初の2ページのドライブ感が急激に失速したのが残念でした。ハッとする言葉とちょっとズレた表情が紡げる人なので、会話の応酬とオフビートな展開で畳み掛ける技術を磨いてみてはどうでしょうか。読み口の良さだけでも勝負できるのが漫画の幅広さです。そのグルーヴで優しい本心の部分を少しだけ残して包むと、とても良い味わいが出そう。

アイディア自体はありがちですが、これは魅力的なキャラクター群をしっかりと動かせるなら十分楽しいものになる構造です。主人公の巻き込まれエピソードの説得力など、昔の少女漫画のコメディ読み切りなどが参考になりそう。こういう作品は様々なキャラクターの個性を立てるのがキモなので、瞳の処理や骨格の違いや性格描写など、バリエーションを増やすために更に色々考えてみてください。実は味方の番長と敵の番長の髪型が似ていて混乱しちゃいました。