才能という暴力にぶん殴られました。「意味不明」と紙一重なんだけど、そんなことどうでも良くなる独特のテンポと高いテンションが非常に魅力的です。強い作家性を感じます。読んでる間ずっと脳汁が出続ける「キマる」感覚があります。ただ…この作家性を「売り物」にするためにはもう少しチューニングが必要です。キャラが読者を置き去りにしすぎなので、読者にも共感できるような行動原理があるとよいかと思います。

面白かったです!絵もお話も非常に高い水準で仕上がっています。クジマのキャラが魅力的なので、ラストにあと3ページほど追加してキャラを深掘りするような余韻があればなお良かった…というか、知りたかった!一方で、世之助とクジマ、主人公がどちらなのかわかりづらい点が惜しいです。演出を工夫してどちらか一方を極端に魅せるか、あるいは「バディもの」として描くか、秤の針を振り切ったほうがよいかと思います。

絵がものすごく上手いです!売り物になっています。キャラや状況だけでなく、「空気」を描写できているのがすばらしい。少女の成長物語という繊細なテーマにもぴったりハマっていて、作家自身の武器を十二分に使いこなしている印象です。瞳の作画にこだわりを感じるのも◎。ひとつだけ言うなら、キャラのアップがもっと見たい。せっかくこんなに可愛い女の子が描けるのですから、「顔」で読者を魅了しなくてはもったいないですよ!

画力はもうひとつですが、不思議と読みにくさは全くない。味になっていると思います。「傷貌」の正体が明らかになる後半の展開が痛快でよかったです。オーソドックスな企画ですが、この手のやつは読者に「この二人の物語がもっと読みたい！」と思わせられたら勝ちなので、二人組の関係性をもっと踏み込んで描いて、キャラ描写を磨いて欲しいです！

キャラデザ、世界観がよかったです！お話は綺麗にまとめられてはいますが、一から十まで全部描きすぎている印象です。退屈なところはカットして、主人公のキャラがよくわかるシーンや、「主人公かっこいい！」という気持ちいいシーンをもっと沢山見たいです！

画力はもうひとつではありますが、年齢を考えれば充分うまいです。モブキャラ含め、キャラデザに色気を感じます。関係性を描こうとしているのもいい。「キャラ萌え」は強い魅力になるので、引き続き磨いていってほしいです。一方でキャラ立てがうまくいっておらず、主人公が忍者であることがあまり活かされていません。忍者ならではのキャラクター作りや、ネタ数をもっと増やしてほしいです。