新人漫画賞SPARK 24年5月期 結果発表

新人漫画賞 SPARK 結果発表

RISE新人漫画賞 結果発表

過去最多!!準入選1本!!! 佳作3本出る!!!!!
[総評]葦原大介 先生

今回も楽しく審査させて頂きました。完成度が高い作品、若くて粗削りなセンスのある作品、それぞれに光るものを感じました。全体的に気になったのは、作家さんの『キャラクターが読者にどういう印象を持たれるか』という意識が弱かったな、という点です。主人公に、後ろ暗い過去や欠けた部分があってもいいと思います。気が弱かったり、コミュニケーションが苦手だったり、学校での立場が低かったりしてもいいでしょう。ただ、序盤から中盤で主人公の魅力がある程度伝わっていないと、クライマックスで「こいつ、なんか急にかっこいいこと言いだしたな」「急に事態がうまく収まったな」という印象になったり、そもそも途中で読むのをやめられたりしてしまいます。弱い、暗い、卑屈、ネガティブ、見た目が冴えない、性格が悪い、取り得がない、集団になじめない、歳を食っている、停滞している、やる気がない、心の闇が深い、過去が重い……などのような、『読者にとっての負担・マイナス要素』が強い主人公を描く場合は特に、どこか1つでも、『読者が前向きに主人公を追いかけられるポイント』を作ることを意識してみましょう。抽象的になりますが、「期待感」「独自性•専門性」「利他性」「問題解決能力」「読者が応援できる目標」などがその一例です。他にもたくさんあると思うので、いろいろ探してみてください。ご応募ありがとうございました。

[総評]ジャンプSQ.編集部

今回は最終候補5本のうち準入選1本、佳作3本と、新人賞SPARK創設以来最多のデビュー人数となった。特に今回は総合力が高い作品が集まった印象だ。技術の平均値は高い水準にあるので、次の目標は自分にしかない個性をどう活かすかになってくる。自分だけの武器となる要素を見つけて次回作に取り組んでみてほしい。

月間TOP 準入選 賞金75万円
滝の街と蟲王42P
鳴屋32歳 台湾
あらすじ
病の治療の依頼を受け、とあるスラム街に訪れた主人公。そこで大量の寄生虫に侵された子供たちを目の当たりにする。主人公は1匹ずつ寄生虫を体から取り除き、それを持参した籠の中にいる「何か」に食べさせて処分していると、ひとりの子供が突然籠を盗んでしまった!籠を盗んだ理由とは…?「何か」の正体とは…?
GOOD POINT
独特な世界観を作れており、それを表現するための画力・構成・演出・キャラクター造形が全て高い水準にあった。気持ち悪さもエンタメとして描くことができていた印象。グロテスクな表現を通して、読者の興味を引くことができていた。即戦力級の才能!
NEXT STEP
主人公達が目指す外の世界はどのようなところなのか、蟲王とは具体的にどのような存在なのかなど、物語にとって重要な情報が少し不足していた印象。この要素を足すだけで、さらに魅力的な物語になる。また、キャラクターに名前を付けてあげるのも大切。
葦原大介先生からのコメント

全体的に画面のバランスが良く、絵もコマ運びも、読みやすくてスムーズな印象を受けました。脇役の少年と重ねて主人公の闇を匂わせる構成も丁寧です。全編通してグロい描写がいい味を出していますが、他の要素がおとなしすぎて、「グロかった」という部分ばかりが記憶に残る感じがあります。キャラやストーリーも、「グロさ」などの視覚的なインパクトに負けないように、しっかり演出してあげてください。

佳作 賞金30万円
チキンハート31P
玖膿 基 32歳 神奈川
あらすじ
体が変形する奇病を持つコジマとタナカ。ある日コジマは奇妙な占い師にタナカに殺されると予言されてしまう。タナカが凶行に走る原因とは…?ちょっと奇妙な青春譚!
GOOD POINT
デザインセンスが高く、それだけで読ませる力があった。画面の構図にも工夫があり、迫力のある作品だった。暗い題材をポジティブに描くという意識があってよかった。
NEXT STEP
友達のために勇気を出す、という展開はよかったが、さらによくするためには、二人の友情など、関係性をもっと深く描くのが効果的。奇病の情報も詳しく描くと作品への解像度が上がる。
葦原大介先生からのコメント

読みやすく、31ページでまとまっていて、全体的に絵に力がある印象を受けました。主人公が、いじめっ子たちのやる事は全然止めなかったのに、いじめられた怒りと絶望で怪物化した女の子の復讐はアツい感じで止める、というところがどうしても引っかかってしまって、クライマックスの展開に乗り切れない感じがありました。絵と勢いではごまかせないこともあります。ネームで展開と感情の流れをしっかり整理しましょう。

佳作 賞金30万円
Hello,World.54P
暦田紗寿23歳 福岡
あらすじ
自分だけの空想の世界にこもり、退屈な日常から逃げる香村。ある日突然公園に空想の中のタイムマシンが現れる!しかもその中から出てきたのは苦手な級友の藤森で…!?
GOOD POINT
思春期特有の少し複雑な感情を丁寧に描くことができていた。映画のワンシーンのような構図など目の引く画面構成も良い。随所にある独特な演出も雰囲気があってよかった。
NEXT STEP
味のある絵柄だった一方、全体の古さに繋がっていた印象も受けた。今の画力を底上げすることができればこの絵柄も、大きな武器になり得る。同時にデザインセンスも磨けるとなお良し。
葦原大介先生からのコメント

終盤、主人公が「未来の自分」と会話するシーンはないほうがよかったような気がします。未来の自分が上手くいっている→ だから現在を頑張れる、という形になってしまうのが、打算的で微妙なので。絵はまだ描きなれていない印象ですが、所々の画面作りに熱意とセンスが感じられて、特に物語の重要な分岐点になる見開きが自然かつ印象的に描かれていてよかったです。画力を磨いて、センスの良さをもっと活かしましょう。

佳作 賞金30万円
ヴィエラと悪魔31P
黒藤きう26歳 神奈川
あらすじ
軽い気持ちで悪魔を召喚したヴィエラ。なんでも願いを叶える代わりに、悪魔は「質問に答える」ことを要求。ヴィエラは死んだ友人ふたりに再会したいと願うのだが…?
GOOD POINT
会話のテンポがよく言葉選びのセンスもあるので会話劇として楽しく読むことができた。ひとつの願いを叶えるためには、質問に答える必要があるという設定もよかった。
NEXT STEP
キャッチーで可愛い絵柄で描けていた反面、線が太く野暮ったい印象も受けた。また、展開に驚きがあって良かったが読者の読後感を意識したクライマックスにできるとさらにいい作品に。
葦原大介先生からのコメント

最初に読んだときは「なんか強引な展開で終わったな」と思いましたが、2度、3度と読むと、意外とルールがしっかりしているなと感じました。全体的に淡白な演出で、話が長く感じられて、情報が頭に残りにくいので、「最後の質問に嘘をつかなければ殺されずに済んだかもしれないのに」という悪魔からの解説は必要だった気がします。また、主人公を殺して読者を驚かせたいなら、もっとしっかりとキャラを立ててからにしましょう。

最終候補 賞金10万円
スクラッチホール53P
井月 三21歳 東京
あらすじ
霊能力者の友人と除霊をしに学校へ向かう玲司。しかし、怪異は学校ではなく玲司の身体から出現した…!玲司の正体とは。霊能力者・晴臣は怪異を祓うことができるのか!?
GOOD POINT
背景や小物の書き込みが凄く、作品の雰囲気を底上げできていた。怪異のデザインにもこだわりを感じ、ホラー作品として恐怖を感じられた。話のテーマが明確なのも良い。
NEXT STEP
話のテーマはわかりやすく作れていたが、過去回想の回数が多く、時系列が分断されてしまうため、分かりにくい部分があった。また、画力は高いが、表情が固いので柔らかく描く意識を。
葦原大介先生からのコメント

しっかりした描き込みがホラー描写に合っていて、「怪異」が現れる大ゴマなども迫力がありました。視点役である主人公の記憶が混濁しているため、読者が状況を理解する手がかりが乏しく、物語に入りにくい印象を持ちました。また、回想を除くと、主人公と友人以外の会話が無いため、「実は主人公はもう死んでる?」のような、無用の勘違いが発生しました。自分が描いた場面から読者がどういう情報を受け取るのかを意識しましょう。

最終候補まであと一歩 賞金1万円
空く魔の女20P
キニハエキ29歳 東京
GOOD POINT
絵柄の好感度が高く、特に女性をキレイに描けていた。恋愛の一筋縄ではいかない様子を、丁寧に表現することで、大人の男女の距離感の微妙さを解像度高く描くことができていた。
NEXT STEP
コマ割りが独特で、それが読みにくさに繋がっていた。話の行間をあえて空ける演出は雰囲気がでていた反面、読者には伝わりにくいと思う部分もある。基本に忠実に描くのも大切。
最終候補まであと一歩 賞金1万円
SLUMBER51P
圡屋煙太郎25歳 東京
GOOD POINT
画力が高くキャラのデザインも、かっこよく描けていた印象。主人公と依頼人達の掛け合いも楽しんで読むことができた。主人公に強い信念があったため感情移入できる構造だった。
NEXT STEP
全体的に画面が白くすこし寂しい印象を受けた。描き込みを増やすことで画面の密度を上げる意識を持ってみてほしい。ストーリーも難解なため情報を整理してネームを描く意識を。