新人漫画賞SPARK 26年1月期 結果発表

新人漫画賞 SPARK 結果発表

RISE新人漫画賞 結果発表

もう一段階洗練された作品を!
審査員特別賞1本 編集部特別賞1本出る!
[総評]城戸みつる 先生

漫画の基礎を分かっている方が多くて感心しました。好感の持てるキャラクターと分かりやすいストーリー、変化していく心理の描写や結末に向けて盛り上がる展開もしっかり描かれていて偉いです。ただその反面キャラにも物語にも驚くようなアイデアはあまり感じられず、無難な作品に収まってしまっている印象です。アイデアの構築は数を重ねるほど練度が上がっていきますので思いつく限り試してみてください。面白いかどうかは形にしてみないと案外わからないものです。基礎があれば大胆なアイデアでも大きな破綻はしないはずなので何でも描いてみましょう。応援しています!

[総評]ジャンプSQ.編集部

今回は、作画の面でも話の面でも基礎基本を抑えた地力のある作品が集まった。だが、どの作品も読者意識に欠けてしまっていたのも事実。現実味の薄い描写や、序盤に提示した軸から逸れてしまう展開などから、その課題が見受けられた。単に自分の描きたいものでなく、読者を楽しませることを念頭においた作品を期待する。

月間TOP 審査員特別賞 賞金20万円
ヒロインボーイズ54P
原作:十兵衛 作画:川村祐介 23歳 熊本 23歳 岩手
あらすじ
男子中学生の神崎・藤本・吉田の3人はふざけた会話に終始する平凡な日々を送っていた。そんな中彼らはある日のHRで、街に出た変質者のことを耳にする。変質者を撃退し、街のヒーローになることを目論む神崎だったが、その作戦は、まさかの女装…!?
GOOD POINT
3人組の中学生のばかばかしいやりとりを一貫して描いており、彼らの会話で読者を楽しませる意識を持てていた。また、1つの題材を軸にネタを展開できており、話全体の満足度が高かった。作画の面では、おかしな表情や状況を丁寧かつ的確に描けていた。
NEXT STEP
素直に笑えない人もいる、難しい題材だった。際どい話題で目をひくのではなく、読者が楽しめることを優先に企画を考えてみてほしい。また、主人公たち3人が、学校内でどういう立ち位置の人物かが伝わると、さらに彼らのキャラを楽しめるようになる。
城戸みつる 先生からのコメント

面白半分の変質者退治から女装の沼にハマっていく少年達の成長(?)が丁寧に描かれていて良かったです。男子三人組のバカな掛け合いは基本的に品がないので読者を選ぶとは思いますが、みんな真剣なせいかさほど不快感はなく面白いと感じる人も多いでしょう。終盤、変質者の登場からその退治までをクライマックスとして盛り上げられてはいますがちょっと長くなってしまってます。ここをテンポ良くまとめられていたらより勢いが生まれたはず。漫画を描く地力のある方なのでもっと色々な作品に挑戦してほしいですね。

編集部特別賞 賞金15万円
うちのミイラはダメ神様!?40P
林藤秀磨 23歳 韓国
あらすじ
エジプトの遺物を集めた風変りな展示館で育った真面目な男子高校生サイ。海外に行く両親に留守を任されたサイは、ある夜突然ミイラから蘇った、絶対神アトムに遭遇し!?
GOOD POINT
アトムを、様々な表情や髪型、服装などでかわいらしく描けていた。更に、緻密に描かれた背景から高い画力を感じた。また、各キャラの性格を会話や表情で表現できていた。
NEXT STEP
楽し気な序盤に対し後半は真面目な話が増えており、何を楽しむ漫画かがわかりにくくなってしまった印象。描きたいものを絞り、何を読者に楽しませるか明確にして更なるレベルアップを。
城戸みつる 先生からのコメント

エジプト展示館を嫌々守ってきた少年サイ君が遺物に対する自身の想いを自覚するまで、少ないキャラ数でも密度が濃く盛り上がる物語を構築できていますね。エンターテイメントをしっかり意識して描かれているなというのが伝わります。できればアトムとサイ君の日常をもっと見せてほしかったです。アトムの登場からその過去、そして住み着くまでが長くて現代日本で堕落した生活を送る「ダメ神様」の描写が少なかった。過多気味な演出を控えめにして構成を整えられたらより良くなるかと思いますので頑張ってください。

最終候補 賞金10万円
今日のベンチ24P
大上 28歳 東京
あらすじ
卑屈な大島、不良の蛇川、バカの佐藤は、野球部で万年ベンチ。監督の目を盗み、試合中にサボリや雑談に興じていたところ、アクシデント発生により大島が代打に選ばれ…!?
GOOD POINT
野球という王道の題材でベンチに着目した企画は新鮮。その中で、3人のキャラクターの楽し気な会話を描くことができていた。少ないページ数でまとめていた点も好印象。
NEXT STEP
雑談が面白い漫画であった反面、後半ではその長所が活かされず勿体なかった。野球がわからない読者でも楽しめる構造になるとより良い。また、絵を細部まで丁寧に描く意識を持とう。
城戸みつる 先生からのコメント

会話が全体的に自然で、スムーズに読めました。会話劇として読ませるには少々パワーが不足していますが明確な長所だと思いますので伸ばしていってほしいです。ベンチの控え選手にスポットを当てるという着眼点が面白くてどういう話が展開されるのかと期待したのですが、日常会話したり虫を獲りにいったり、かと思えば真面目に野球して青春モノになったりと方向性が定まっていない印象を受けました。ベンチからの光景をもっと深堀りできたら良かったですね。絵は下手ではないですがもう少し丁寧に描きましょう。

最終候補 賞金10万円
神様のおいとま20P
せんやや 22歳 宮城
あらすじ
神を自称するおっさんは、公園で「力が欲しい」と涙を流す女の子・まきに遭遇する。自分のことをいじめる男子へ仕返しを望むまきに、おっさんはある能力を使用して…!?
GOOD POINT
神様の能力を使うことで、伏線回収をさせる展開に工夫があった。ギャグのネタは手数が多く読者を楽しませる意欲を感じた。また、絵柄にはこの作家ならではの個性があった。
NEXT STEP
おっさんが神であるという意外性あるスタートだが、それを読者に信じてもらうための描写が少し不足していた。序盤から神の能力を見せることで、早い段階で読者の心を掴んでみよう。
城戸みつる 先生からのコメント

絵が上手くて読みやすいです。クセはありつつも好感の持てるキャラクター達と独創的な台詞回しが楽しいですね。残念なのは、物語の軸になる「神様」が終始聞き役である上「時間を戻す能力」にもあまり必要性を感じない為、魅力に乏しい事。女子をいじめてた男子が実はその子を好きだった、という良くも悪くも普通のお話で分かりやすくはあるのですが今ひとつ物足りないというのが正直な感想です。絵柄と演出の面白さはあるので物語でも読者を惹きつけられるよう努めてもらえればなと思います。今後に期待です。

最終候補 賞金10万円
新生佐倉の定善50P
秋元快晴 25歳 新潟
あらすじ
ヤクザの一人息子・定善。皆からジョゼと呼ばれる彼は心優しい性格のため組の次期当主になるのを拒んでいた。だがある日、彼の幼馴染である加奈が誘拐されてしまい―。
GOOD POINT
剣を持つことで、性格が豹変する主人公の設定に魅力があった。キャラが付けている家紋も印象的。アクションのシーンでは動きが読者に伝わるよう丁寧に作画がされていた。
NEXT STEP
アクションや展開に勢いがある一方で、やや現実味に欠ける話になってしまった。フィクションとなる部分を絞り、話に説得力を持たせよう。また、キャラの顔は更なるアップデートに期待。
城戸みつる 先生からのコメント

キャラクターとその関係性から筋の通った物語を構成する力があります。しかし全体的にセリフが端的かつ説明的で、物語を読んでいるというより設定と展開の羅列を見ている感覚になりました。ジョゼや加奈がどんな人物でどういう考えを持っているのか、それを設定だけでなく実感として読者に伝えるためにもまず「普通の会話」を書ける様になりましょう。掛け合いが自然であるほど読みやすく、感情移入もしやすくなります。

最終候補まであと一歩 賞金1万円
KINGDOM UNDEAD45P
ゆの 26歳 オーストリア
GOOD POINT
ヒロインの2人を、可愛く描けていた。また、様々な表情を描けており、感情が的確に伝わってきた。作品の設定や状況がシンプルで、それをわかりやすく伝えている点も良かった。
NEXT STEP
メインの人物以外も細部まで気を抜かず作画してみてほしい。アンデッドをさらに丁寧に描くことで、読者に臨場感を伝えられるとなお良い。後半の意外な展開は、前フリがあると丁寧。
最終候補まであと一歩 賞金1万円
墓石に飛び蹴りを31P
松田虎之丞 27歳 京都
GOOD POINT
王道の題材の中で、ヒロインのドラマやキャラのやり取りを丁寧に描けていた。ストーリーの終盤に主人公の生い立ちが明らかになったため、彼の言動に説得力が出た点も良かった。
NEXT STEP
成仏師が何者なのか、喋る骸骨はどういう存在なのかといった、彼らの状況に対する不明点が多かった。描きたい話に対して必要なページ数を、上手く見極める力をつけていってほしい。