新人漫画賞SPARK 26年2月期 結果発表

新人漫画賞 SPARK 結果発表

RISE新人漫画賞 結果発表

意欲作が続々!
佳作1本&審査員特別賞1本&編集部特別賞1本出る!
[総評]近藤憲一 先生

年齢を鑑みると、どの方も画力が高く好感が持てました。しかしながらほぼ全員が、物語の進行においては不要なセリフやシーンが目立ち、そういった部分がカルピスを水で薄めすぎてしまったがごとく、作中の他の面白い部分の魅力を薄めてしまっていたように思います。話の骨子は悪くないので、肉付けにおいて取捨選択できるように努力すると、短いながら面白いページの割合が多い作品になるはずです。どの方も才覚は感じましたので、今後も努力を続ければ、より良い漫画が描けると確信しております。頑張ってください。

[総評]ジャンプSQ.編集部

冒頭からインパクトがあったり、世界観やコンセプトを提示できている作品が多く、期待度の高い回だった。ただそこから読者の期待とは展開がズレてしまったり、序盤と狙いが変わってしまったりと勢いが落ちていく印象だった。まずは作品の軸をしっかり定めたうえで、最後まで自分のやりたいことを貫いていってほしい。

月間TOP 佳作 賞金30万円
ヘンケンマリオネット38P
八重葉いつき 24歳 岡山
あらすじ
パソコン部の部員・守留くんは、同じ部活の愛美ちゃんに恋心を抱きながらも行動に出られずにいた。意気地なさを先輩に馬鹿にされ続けた彼はついに思い切って愛美ちゃんに話しかけるが..!?
GOOD POINT
可愛い絵柄で画力も高く、既に商品としての強みを感じる作品。タイプの違うヒロイン二人それぞれの魅力もしっかり描けている。ヒロインたちの思いが明かされる後半の展開では、読者にとって嬉しいシーンを入れようという意識、サービス精神を感じられた。
NEXT STEP
会話を充実させようという意識は良いが、内容を詰め込みすぎて分かりづらくなってしまっている。セリフはしっかり推敲しよう。ラブコメディから過激な内容へと変化が大きいので、作品の軸がぶれてしまった印象もあり、どちらかに振り切ってほしかった。
近藤憲一 先生からのコメント

画力が高評価点です。技術的なものというより、絵柄の魅力に分類されるタイプの良さがあると感じました。かわいいです。画風もありラブコメが向いていると思うのでこの方向で売って行くと良いと思います。他方、セリフが多く物語の展開が遅い事・キャラの掛け合いが物語の進行を邪魔する程度に多いのが気になったので、面白さを損なわない範囲で、なるべく進行に不要な部分を切る判断ができるようになるとより良くなると思います。絵や展開自体は高評価点なのでこのまま伸ばしつつ、物語の進行に不要なセリフ、展開のテンポ感を洗練させることをお勧めします。センスを感じたので今後を期待しています。

審査員特別賞 賞金20万円
極悪非道☆俺様のヒーローズジャーニー55P
高山 望 25歳 香港
あらすじ
No1ヒーローと謳われるマイティマン。彼に勝つことを夢見るヴィランのダークマターは、ある日彼が倒されたことを聞く。しかし彼は、この事態を利用しようと目論み..!?
GOOD POINT
描きたいキャラクターが明確で気持ちよく読めた。原稿も仕上げまで丁寧に描かれ、熱意を感じる。主人公の行動や敵の正体など、驚きを作り読者を楽しませる意識を感じた。
NEXT STEP
ヒーローものとして、何か一つでもオリジナリティが欲しい。デザインなど絵の面でも、セリフや展開など内容の面でも、これで勝負したいという一点を決めて意識的に強化していこう。
近藤憲一 先生からのコメント

シンプルに面白かったです。ネタとしてはヒーローとヴィランのお話なので他の漫画に強力なライバルが多い…という部分で苦労は多そうというのはありますが、このお話一つを評価した時、キャラクターとその内面、ドラマが描けていて楽しく読めました。作画もこのページ数で崩れず安定しているので非常に評価が高いです。さらに作画と話作りを突き詰めればとても期待できると感じました。あとはキャラデザをより他作品と大きく差別化できれば強力な武器になると思います。今後の作品を楽しみにしています。

編集部特別賞 賞金15万円
TwoHeights36P
浦松ゴンベエ 17歳 広島
あらすじ
カワイさんは完璧な美少女。学校中から注目される彼女を守ろうと、同じクラスのコワイさんはストーキングじみた行動に出ていたが...
GOOD POINT
魚眼風など、凝った構図に挑戦しており、それぞれのコマから演出意図が伝わる。キャラクターの怖さ可愛さがしっかり伝わる表情も◎。
NEXT STEP
いきなり化け物が登場する展開はかなり突飛に感じてしまった。作品の世界観を壊さないよう、リアリティに注意して展開を作ろう。
近藤憲一 先生からのコメント

楽しいという意味で面白い作品でした。作画は粗削りではあるものの、年齢を考えるとしっかり描けていて高評価です。ただし、タチキリまで描くなど、原稿を描く上での決まり事をもう少し勉強し遵守した方が良いでしょう。コワイさんのキャラや、コワイさん・カワイさんの関係性&取り巻く環境を楽しくシーンで描けているので好感が持てました。惜しいのは最初、日常もののノリで進んでいたのに急にファンタジー要素が入ってしまったことです。カレーを食べたくてカレー屋に来たのにカレー以外のメニューを提供された…という感じになってしまい、これを商業作品でやると人気低迷につながる致命的なポイントです。敵キャラを現実にいる変質者に変えて日常ものの範囲に整える…とする方が良いかと思います。そういった点を修正できれば、読む上での引っ掛かりがなくなり、より楽しめる作品になると思います。将来性は非常に高いと思うので今後も頑張ってください。

最終候補 賞金10万円
べにくらげ30P
漆矢カイ 20歳 埼玉
あらすじ
花巻透は放課後の旧校舎で、クラスメイトの深紅くらげの死体を見つける。驚く花巻だが、傍らには生きている深紅もいて!?
GOOD POINT
冒頭にインパクトのあるシーンが入り、その先の展開に期待させられる。演出やキャラが独特で、印象に残る作品だった。
NEXT STEP
ホラー漫画としては怖さの演出が弱く、2人の物語としては、それぞれの感情が見えずドラマが弱く感じてしまった。狙いを明確に。
近藤憲一 先生からのコメント

年齢からみて絵が安定していて且つ、背景等の雰囲気が良く高評価です。 サイコなキャラ達に読者がついていけるかどうか判断が難しい…とは感じるものの、ストーリーが進むにつれて、人命について、罪と罰、倫理、責任についてを話の流れで適当にうやむやに描きそうなところを、しっかりとキャラが向き合う描写が出来ていて良いと感じました。惜しいところは、ヒロインの自殺に付き合う主人公の思考・価値観を読者が納得できるようにもう少し説得力を付けてほしかったです。共感はせずとも、納得できるかどうかは重要なポイントかと。それができれば大衆向けになると感じました。ラストのオチは好みが分かれるところなので、作品をどういった層に売り込みたいかで判断するとよいかと。今後は全体的な技量を底上げしつつ、商業雑誌故に理解できる人だけに向けた『作品』より、多くの人が読みやすい『商品』とは何かを考察していく事をお勧めします。

最終候補 賞金10万円
半分ロボット51P
あおと 24歳 愛知
あらすじ
古代人が、人工知能と、生命を融合させることで生み出した人工生命体、半アンドロイド。彼らを追う考古学者のミユシノは、並外れた力を振るう少年ノアルと出会う..!
GOOD POINT
長尺の作品だが、綺麗な絵柄で、細かい部分の絵にもこだわって最後まで描けている。敵キャラも含め、それぞれのキャラの良さを伝えようという意識が感じられる作品。
NEXT STEP
半アンドロイドの設定が、非常に難しく、ほぼ全てがセリフで説明されるため、かなり分かりづらかった。読者は設定そのものに興味を抱きづらいので、まずは情報の引き算を徹底しよう。
近藤憲一 先生からのコメント

51ページという長尺を絵を崩さず描き切った点は高評価です。ただ、モブキャラのおじさん達が若干見分けがつきにくいので差別化を意識するとよいかと思います。設定は面白いところはあるものの、半アンドロイドの定義及びその子孫の設定が理解しにくく感じました。説明が多く展開が遅くなってしまっているので、エピソードを厳選し情報を取捨選択すればテンポよく面白くできたと思います。面白い情報と必要だけど面白くはない情報、不要な情報…と情報量の合計がかなり多くなってしまい、面白さの味付けを薄め、結果、話が平坦になってしまっているように感じました。要不要の見極めができるようになればもっと良くなるかと思います。今後も頑張ってください。

最終候補まであと一歩 賞金1万円
やくそくをやぶって51P
小塚ぬいす 19歳 広島
GOOD POINT
可愛らしい絵柄と、独特の世界観の組み合わせで、この作品にしかない雰囲気を作れている。ネヂと主人公の会話も丁寧に描かれているので、それぞれのキャラが自然に伝わってきた。
NEXT STEP
シンプルな絵柄は、魅力でもあるが現状描き込みが少なく、背景の密度の低さもあって、漫画の絵としては物足りなさを感じてしまう。基礎画力の向上と絵柄の探求に取り組もう。
最終候補まであと一歩 賞金1万円
夜明けのプラネット33P
夕波朔 26歳 東京
GOOD POINT
獣人たちが航海する様子がしっかり想像できており、内容に説得力を与えている。エピソードや風景の描写からも、世界の広がりを感じられ、ファンタジーとして満足度の高い作品。
NEXT STEP
ロディが現在行っている仕事の内容が、あまり具体的でなく、彼の運び屋としての矜持が伝わりづらい。どんな荷物なのか、エピソードを入れることで、ドラマにも更に厚みが出るはず。